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漢字部会 第1回〜16回概況

〔概 況〕

<第1回,第2回>

 始めに前期の漢字部会が部会試案として公表した「当用漢字改定音訓表(案)」(以下「試案」という。)に対して各方面から寄せられた意見を,どのように整理し,資料化するかを話し合った。話し合いの結果に基づいて作成した資料を検討しながら,その後の審議の進め方を話し合った。その結果,音訓の出し入れ等の具体的な問題は,前期同様に「音訓に関する小委員会」を設けて検討していくことになり,小委員を決定した。また,「目安」の解釈,教育との関連など基本的な問題について話し合った。

<第3回,第4回>

 音訓に関する小委員会で,音訓の出し入れについて検討するかたわら,部会では引き続いて基本的な考え方などを話し合った。その中で,音訓審議の基本方針としては,「現代の漢字かなまじり文」を前提として考えること,「一般の公共生活」における漢字使用のためのものであること,現代の国語を「書く」ためのものであること,また,漢字を使用する場合の「目安」であることを再確認した。また,副詞や接続詞にだけ使われる訓を広く認めるべきかどうかについては,かなり多くの意見が寄せられてもおり,特に問題があると思われたので,これについての考え方を話し合った。
 音訓に関する小委員会は,この間に11回開き,試案について日本新聞協会,日本書籍出版協会,官公庁,都道府県教育委員会等の団体や,その他一般の個人から寄せられた音訓の採否に関する意見を分析しながら検討を重ねた。
 以上の経過を第77回総会(昭和46.3.29)に報告した。

<第5回〜第7回>

 音訓に関する小委員会での審議の結果をもとにして,試案の音訓の出し入れについて審議を重ねた。
 音訓に関する小委員会は,この間に6回開き,おもに異字同訓のある訓,数字の訓の掲げ方などについて検討した。
 この段階では,試案の音訓の出し入れについては漢字部会としての最終的な結論は得られなかったが,第1回漢字部会説明会(昭和46.5.31)では,音訓に関する小委員会での審議の結果を説明して,漢字部会に所属していない委員から意見を聞いた。

<第8回〜第14回>

 引き続き音訓に関する小委員会での審議の結果をもとにして,試案の音訓の出し入れについて審議を重ねた。第1回説明会で出た意見を検討し,また,表の作り方の上で問題になる点をも検討した。 その結果漢字部会として最終的な合意に達した。審議の中でいちばん問題になったのは「育」の訓「はぐくむ」の取り扱いであった。一方,「前文」と「表の見方」についても音訓に関する小委員会でまとめた修正案をもとにして審議し,成案を得た。
 音訓に関する小委員会は,この間に9回開き,表の整理のしかたや「前文」,「表の見方」などを検討した。別に前文検討委員会を2回開いた。また,形容動詞の取り扱い方など技術的な問題で漢字部会とかな部会の間に食い違いがあるので,これについて協議するため,両部会から委員が出て「当用漢字改定音訓表(案)と改定送りがなのつけ方(案)にわたる問題点を協議する会」(別項)を3回開いて話し合った。
 以上のように,漢字部会で試案を審議した結果を第2回漢字部会説明会(昭和46.11.15)で説明し,漢字部会に所属していない委員から意見を聞いた。さらに,前文中の用語・言い回し,考え方の上で,漢字部会とかな部会の両者の間で問題となっている点を調整するために,両部会から委員が出て「当用漢字改定音訓表(案)と改定送りがなのつけ方(案)の共通事項に関する協議会」(昭和46.12.2)(別項)を開いた。

<第15回>

 第2回漢字部会説明会で出た意見および,その後,審議会委員が提出した意見を参考にして,「前文」「表の見方」を検討し,修正した。また,参考資料「『異字同訓』の漢字の用法」について検討した。
 音訓に関する小委員会は1回開いた。
 こうして,漢字部会の成案を,「当用漢字改定音訓表(案)」として第78回総会(昭和46.12.20)に提出し,総会は審議の後,これを答申の原案とすることを了承した。

<第16回>

 「当用漢字改定音訓表(案)」の前文の「適用の範囲」についての考え方,および,言い回しを「改定送りがなのつけ方(案)」とそろえるために,「一般の公共生活」とある箇所を「一般の社会生活」と改めるなど,必要な修正を加えることを了承した。

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