国語施策・日本語教育

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次第 文化庁長官のあいさつ/前回の議事要録について

福島会長

 それでは,第97回国語審議会総会を開会する。まず,文化庁長官の交代があったので,事務局からの紹介並びに新旧長官のあいさつがある。内山次長,どうぞ。

内山文化庁次長

 9月12日に文化庁の人事異動があり,安達長官が退任し,その後任として安嶋初等中等教育局長が3代目の長官として就任した。御報告申し上げる。

福島会長

  安達前長官のあいさつがある。

安達前文化庁長官

 ただいま報告がありましたように,私は9月12日に文化庁長官を退任しました。昭和47年7月長官を就任し,3年3か月在任しました。この間における国語審議会委員各位の,非常に熱心な御審議に対し,心から敬意と感謝の意を表したいと思う次第であります。若干回想的になって恐縮ですが,国語審議会に対し「国語施策の改善の具体策について」の文部大臣諮問がなされ,審議が始まったのが,昭和41年のことであります。私は,当時,文化庁の前身とも言うべき文部省文化局の審議官をしており,国語審議会に関係するようになりました。以来,42年に文化局長,43年に文化庁次長として,国語審議会の期で申しますと,今日まで足掛け5期,10年間委員各位と同席させていただいたことを大変感謝している次第であります。
 昭和41年は,国語施策の問題については一種の転回点だったのではないかと思います。当時の中村文部大臣のあいさつの中に「当然のことながら国語の表記は,漢字かなまじり文によることを前提とし」て御審議いただきたいという言葉があり,審議を始めていただいたわけであります。
 そしてこの10年の間に,第9期には「当用漢字音訓表」及び「送り仮名の付け方」の改定試案をまとめられ,第10期には昭和47年6月に,6年余の御審議の成果として答申いただき,併せて「国語の教育の振興について」の建議をいただいたわけであります。この答申は,従来の国語施策の制限的色彩を改めて,一般の社会生活において当用漢字を用いる場合の音訓使用及び送り仮名の付け方について目安・よりどころを示すこととした画期的なものでありました。また,国語施策の実施の方法としては,内閣告示・訓令によるという方針をもお決めいただいたわけであります。私もこの審議会の非常に重要な意思形成の一端に連なり得たことを大変幸せに存じている次第であります。この答申は約1年後の昭和48年6月に国語審議会の決定どおり内閣告示・訓令となったわけであります。
 この間,非常に熱心に御審議いただいた中で,漢字部会とかな部会の考え方などについて調整に苦労したということもありました。
 また,「送り仮名の付け方」について,これを教育面でどう適用するかということが非常に大きな問題であったわけでありますが,幸いにして学校教育における「送り仮名の付け方」は,本則と例外による,許容は中等教育段階になってから,そういうものが世の中で行われているということを知らせるということになって,この審議会の考え方が教育界にも徹底することになり,また,音訓の使用について法令と公用文の間に従来は若干の違いがありましたが,内閣法制局等の御協力を得て,これの完全統一ができるようになりました。今,こういうことについて文化庁の人たちと協力して苦労したことなど思い起こしていささかの感慨なきを得ないのであります。
 今期の審議会に先立つ第11期審議会において,国語施設のうちで最大の問題である「当用漢字表・字体表」について審議を開始されたわけであり,今期審議会においても従来に変わらざる御熱意と御尽力により立派な成果を上げられることを期待している次第であります。
 最後に長年にわたる委員各位の格別な御指導,御協力に対し,心からお礼を申し上げるとともに併せて委員各位の御健勝をお祈りして,お礼のごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手。)

福島会長

 文化庁長官として長年御在任になった間,審議会としてもお世話になり,また長官御就任以前から長い間,国語の問題について御心配をいただいた。御退官になっても,今後とも国語問題について御心配いただけるものと考えている。御健勝,御発展をお祈りする次第である。
 後任の安嶋長官は,先ほどお話があったとおり初等中等教育局長から文化庁長官に御就任になった。今後お世話になることと思うが,一言ごあいさつをお願いしたい。

安嶋文化庁長官

 ただいま会長から御紹介があった安嶋です。安達前長官の後を受けて9月12日付けをもって文化庁長官に就任しました。これまで私は官房長,あるいは初等中等教育局長等のポストを通じて国語問題の重要性について一応心得ているつもりであり,また,かねて国語審議会の御努力,御功績に対し,敬意と感謝の念を持っているものであります。
 国語問題は,いうまでもなく,我々国民の日常にも非常に大きな関係のある問題であるのみならず,日本の教育・学術・文化の基本に触れる大きな問題でもあると存じます。現在委員各位には「当用漢字表・字体表」について御審議いただいているわけでありますが,従来に引き続きましてよろしくお願い申し上げます。簡単ですが,就任のごあいさつといたします。(拍手。)
 (安達前文化庁長官退席。拍手。)

福島会長

 それでは議事の本題に入る。最初の前回総会の議事要録の確認をしたい。これは前もって届けてあるので,御覧いただいたと思う。御自身の発言について訂正の箇所があったら,御発言いただきたい。あるいは別の機会に事務局の方へ御連絡いただいても結構である。(発言なし。)それでは一応前回総会の議事要録を承認したということにしておく。
 前回総会とのつながりを付けるために前回総会の審議の骨子を申し上げる。議事要録にあるとおり前回総会では,まず字体表の問題について問題点整理委員会で整理した「字体検討の方針に関する問題(案)」を基にして,意見交換をしていただいた。その結果,それらの意見を参考に再度問題点整理委員会で検討願い,適当な質問票ができ,アンケートが実施できるようであれば,それを実施することはどうか,ということになった。
 次に,漢字表の問題については,漢字表委員会主査から同委員会での検討状況の報告を聴いた。そして今後いろいろと具体的な細かい検討作業を行うために,第11期の場合と同じように漢字表委員会の中に小委員会を設け,更に具体的検討を進めることになった。
 前回総会の模様は以上のとおりであったと思う。その後も問題点整理委員会及び漢字表委員会で熱心な検討が行われ,またアンケートも実施したわけであるので,まず両委員会の報告を聴いた上で,意見交換をしたい。

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