国語施策・日本語教育

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福島会長

 時間がそろそろなくなってきたので,申し上げる。将来,漢字表の成案を得た場合に,どういう字で発表するかなど,いろいろ総会で直接検討しなければならない問題はまだまだ残っていると思うが,それはそれとして,小グループによる字体問題の具体的検討を開始して差し支えないような気がするが,どうか。このことについてお許しを得たいと思っている。
 その小グループは,例えば,字体表委員会ということにするか,あるいは漢字表委員会の中の小委員会ということにするかということは,本来ならばこの総会で,もう少し意見交換をした段階で決めればよいと思うが,今日は時間的にできないと思う。総会も現在のところ,3か月に1度という日取りになっているので,運営委員会で小グループの構成の仕方,小グループの所属といったようなことを検討願うということを前提としてお任せ願うことでよいかどうか伺いたい。特に異議がなかったら,そういう運び方で近々運営委員会委員に集まっていただいて,総会の意見を踏まえて決めていただきたいと思う。(発言なし。)
 それから,また小グループによる具体的検討が始まっても,それは相当時間も掛かるであろうと思う。その間総会は休む必要はないのであって,今日話題となったようなおもしろい,かなり基本的な問題についても話合いを重ねることは結構なことであると思うし,また漢字問題以外にもいつぞやの話に出た話し言葉の問題,敬語の問題,ローマ字の問題,外来語の問題などいろいろ話題は尽きないように思う。具体的な検討のための小グループの御尽力をお願いする一方,従来どおりの間隔で総会の方も続けていきたいと思うので,御了承を得たい。

木内委員

 本日の総会の机の並べ方は3列ということで,後ろの委員は気の毒であったが,この並べ方で我慢できるものらしいので,今度は2列にしてこういう形にしたら,ずっとコンパクトに座れる。今日は少し長過ぎるが,2列にして座ったらよく相手の顔も見えるし,良いのではないかと思う。
 もう一つ,是非考えていただきたいことがある。本日の総会が証明しているように,最近の総会は報告を伺って,せいぜい質問するか,何か散発的な意見を述べて終わってしまい,はなはだつまらない。今日はおもしろかった方であるが,これでは各委員不満だと思う。だから問題を適当に選んで討議の場を作ってほしい。例えば,私がさっき申した問題点,岐路のようなものを五つ六つピックアップして,できたら,こういうように馬蹄(てい)形に座って自由討議をする。うまく運んでそれを適当にクローズアップしていくのが,議長の手腕であると思う。よろしくお願いしたい。
 その討議の題目としては,少し大き過ぎるかもしれないが,是非必要であると思うのは,戦後二十数年の国語政策(日本国を挙げての大実験だったわけであるが。)についての評価である。その中で基礎事実として,もう既に分かったことは,制限することは不可能なことであり,今使っている字はとても1,850字どころではなく,3,000字にもなろうかということである。更に字というものはどんどん変わっていくものであるということである。もしそれが認識されれば,字体表の問題でもこれで固定しようという考え方はだめであり,字というものは自然に変わるということを前提としてものを考えるようになる。(いや,それは違う。固定できるというのであれば別であるが。)そういう場をつくって討論して,意見は決定しなくてもいいと思う。意見の交換ができれば,もっと有効な討議になると思う。
 もう一つ,これは事務局に対するお願いであるが,読売新聞に「日本語の現場」という掲載のものが出ている,あの中に審議会で参考になることがかなりあるので,それをピックアップして何日の何を要約すればこういうことであるというようにして発表していただきたい。
 審議会は教育の問題を論ぜざるを得ないと思っている。教育の現場は,実に自由奔放なことをやっているという事実がある。そういうことは各委員が皆知っているべきことである。それは学習指導要領と非常に違うことをやっている。それを一体文部省ではどう処理しているのか。私は何回かその問題を伺っているが,今までの答えではどうも腑(ふ)に落ちなかった。
 「日本語の現場」を見て,実際は随分いろいろなことをやっているということで,分かったような気もする。

福島会長

 御趣旨はよく分かった。私も漢字表問題以外に総会ではもう少しほかの題目も取り上げてみようかと申し上げた。小グループによる検討を開始しても,2か月や3か月で結論を出すという注文は付けられない。その間,総会もただ待っているというわけにもいかず,指摘のあったような問題,あるいはそのほかの問題についても討論というよりは,意見交換という形で総会は今後とも続けていくべきものと考えている。
 それでは,漢字表の検討は漢字表委員会による継続審議をお願いし,字体表の検討については運営委員会でその形を改めて検討するという措置をとりたいと思う。
 最後に文化庁から国語施策に関する海外調査の関係で報告がある。

石田国語課長

 この春,中国における文字改革の調査のため,文化庁から林(大)委員,松村明委員,東京外国語大学の輿水優助教授などに中国へ行っていただいたが,文化庁では引き続いて国語施策に関する海外調査について予算を確保していて,次の調査として韓国における国語問題,国語施策についての海外調査を実施したいと計画していた。韓国政府とも連絡をとっていたが,このほど韓国政府からの返事も来た。派遣者は審議会の森岡健二委員,林四郎委員,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の大江孝男教授,国語課の小林一仁専門職員の4人である。期間は11月16日から25日までの10日間。韓国でのいろいろな問題を視察し,実情を調査してきていただくということになった。以上である。

福島会長

 次回総会は3か月に1度というところから,大体51年の1月,あるいは場合によっては2月ごろになるかと思う。会場の都合などもあるので,検討してから追って通知を差し上げることにする。
 また,席の並べ方については,今回の並べ方はそう評判が悪いようでもないので,更に古賀副会長に工夫をしていただき,研究することにしたいと思う。特に意見があったら,お聞かせいただきたい。(発言なし。)それでは,本日はこれで散会する。

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