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次第 漢字表委員会における漢字表及び字体の問題の検討条件について(報告)

福島会長

 漢字表委員会における検討状況について,まだ途中であるので,簡単で結構であるから,岩淵主査から御報告いただきたい。

岩淵主査

 漢字表委員会の御報告を申し上げる。
 漢字表委員会を前回総会後4回,漢字表選定の小委員会を1回,字体小委員会を2回開いた。
 漢字表委員会で字体についても検討するということになって,漢字表委員会で2回ばかり字体のことについて協議した。その結果,字体の具体的検討を行う小委員会を別につくるということになって,北村,志田,長谷部,林(大),林(巨),三根谷,山本,頼の各委員と私の計9名が字体小委員会の委員になって仕事を進めている。
 漢字表選定の小委員会については,小委員会で第1次の字種選定のようなことを行ったので,それを指標にして親委員会である漢字表委員会で更に検討を加えるということにした。しかし,親委員会の漢字表委員会では字体の問題が入ったりしたので,まだ漢字表の選定については,具体的な仕事は余り進んではいない。したがって,今日御報告するようなことはないわけである。
 今後,漢字選定の小委員会では何をするかが問題になったが,小委員会では音訓をつけるという作業をして,それを漢字表委員会に上げるということにした。
 それから,字体に関しては,漢字表委員会で字体について2回ばかり協議したことは先ほど申し上げたが,そこで総会の議に基づいて大体の原則的なことを次のように考えた。
 (1)字体については,現行のものを大幅に変えるという方向ではなくて,現行のものに修正を加えるという考え方でよいであろう。ただ,新しく加わる字がもしあれば,その字体については改めて検討する必要がある。
 (2)今度できる新漢字表が,もしこれまで考えられてきたように「目安」であるということになると,当然新漢字表に出てこない字も使ってよいことになるので,やはり表外字についても考えてみる必要がある。殊に表外字の偏などについては,できるだけ統一することが望ましいのではないか。それについて具体的に表外字における問題点を考えていこうということである。
 (3)今まで旧字体とか正字体とか言われてきた,いわゆる康熙(き)字典体との関連をどう考えていき,どのように関連づけるか。これが一つの大きな問題点である。
 (4)字体表の性格は,標準的なもの,一字一字についての字の骨格を示すもの,少し比喩(ゆ)的になるが字の骨組みを示すもの,というところで検討を進めることにする。これまでの協議では,書体,字体,字形等のいろいろな用語が使われているが,それらの概念が相互に交錯してはっきりしないので,ここでは一応,字の骨格を示すものという別の表現で了解し合っておくことにしようということになった。なお,字体,字形,書体という用語の意義については,今後また詳しく厳密に検討して,使う必要がある場合にはきちんと定義を加えた上で使おうということになった。
 (5)検討に当たって大きな問題になるのは,活字,殊に明朝体活字であるので,活字を中心に考えていくこととする。手書きのことは全然考えないわけではないが,一応大きな問題として活字を中心に考えていくことにした。
 以上,五つばかりの申合わせをして,具体的な字体の例などを挙げて字体小委員会で検討を進めた。しかし,まだ全体の検討が終わっていないので,ここで具体的に報告するようなことはない。
 次回総会には字体小委員会での検討の具体的な結果を報告するようにしたい。

福島会長

 中間報告ということであったが,ただいまの報告について質問があったらどうぞ。(発言なし。)
 漢字表委員会としては,字種についても,字体についても併せて検討中で,まだ具体的に総会に報告する段階になっていないということである。引き続いて漢字表委員会で御検討いただくことになるわけである。大変お手数をかけ,ご苦労であるが,よろしくお願いしたい。
 本日の総会としては,一応中間報告を承ったことにして先に進みたい。

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