国語施策・日本語教育

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次第 漢字表委員会の審議状況について

福島会長

 本日のもう一つの議事の予定は,漢字表委員会の審議状況の報告である。漢字表委員会の審議状況について主査に御報告をお願いしたい。なお,岩淵委員に今日まで主査として御尽力いただいたわけであるが,お亡くなりになったので,漢字表委員会での互選の結果,従来副主査をしていただいた三根谷委員に漢字表委員会主査,それから頼委員に副主査をお願いすることになった。それでは,本日の御報告は三根谷主査にお願いする。

三根谷主査

 岩淵委員がお亡くなりになり,先週の委員会で主査をお引き受けすることになって,いまさらながら岩淵委員の存在の大きかったことを痛感している。幸いにして,副主査として頼委員の御協力を得られることになったので,その他の委員の方々のお力添えを得て従来どおり進行係として,残るわずかの期間を案の取りまとめに努力したいと思う。どうぞよろしくお願いしたい。
 時間がないので前回総会から今日までの間に何をやったかということだけ取りまとめて御報告しておく。
 漢字表委員会は1回開かれただけであるが,字体小委員会はその間に5回開かれている。専ら字体の示し方について具体的な作業を進めてきた。従来に引き続いて,今日各社でつくっている,いろいろな明朝体活字の比較検討を行った。1,850字の当用漢字の字種と,試案で追加した83字の検討をようやく終えたところである。一字一字見てきたので時間がかかったわけである。
 その結果,予想されたことであるが,今日使用されている明朝体の活字は,それぞれの会議で形に多少の違いがあるものの,それらはいずれもデザインの問題であり,字体の違いとして取り上げる必要はないものが大部分であるということになった。資料2としてお配りしてあるものの中に,実際の写植の活字を並べて例示しておいた。これについて今一々説明している時間はないが,矢印で示されているような非常に細かいところで違いが見られる。これらは,一般の常用の漢字としては字体の違いとは認めないでよかろうということで意見の一致をみた。そのほか,教科書体の活字についても資料によって検討を行った。
 大きな方針としては,試案に示されたような形で発表して,漢字表という形の中で字体の示し方がその中に含まれているという処置の仕方をしたいという方向が大勢を占めている。つまり,別に字体表を用意しないで,今日普通に用いられている活字がそのまま変更なしに用いられていくものである。変更のあるものに限ってそれを指摘していくという方法をとっていけばよいのではないかということになっている。
 それでは漢字表でどういう種類の活字を用いるか,同じ明朝体の活字でも,どれを用いるかということについては,なお一つの方針をとって固めていかなければならないが,一つの字形をとったがゆえに,それ以外の少しずつ違った字形がそれと合わないからといって退けられるものではない。一つの活字で示しているが,今日普通に使われている活字は,いずれもそのまま使われるものであるということを明確に示す必要があると考えている。
 そのほか活字と手書きの間の関係ということについても,書写の場合の字体から離れて,印刷の場合の活字を中心に取り上げてきたので,最後に,手書きの場合にそれがどういうような関係になるかということについて明確に説明をしていく必要があるというので,これからの漢字表委員会ではそういう問題について検討を進める。それから表外字の問題,教育漢字,すなわち当用漢字別表の取扱いについて更に結論を出していきたいと考えている。
 非常に簡単であるが時間がきたのでこれで御報告とする。

福島会長

 ただいま三根谷主査から漢字表委員会における漢字表並びに字体表についての検討の経過についてお話を伺った。次回の総会は9月に予定されているので,そこで更に御報告を伺った上で漢字表並びに字体の検討に総会としても入っていただけることになると思う。だんだん会期の終わりに近づいてくるので,次回からあるいは若干詰めて総会をお願いするということにもなろうかと思う。とりあえず今回と次回の間はいつものとおりの間隔をおいて,9月と考えている。予定されている日は9月8日(金)である。
 特に発言がなければ,これをもって閉会とする。

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