国語施策・日本語教育

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はじめに

2 「常用漢字表」等の内容(改定の要点)

「常用漢字表」等の内容(改定の要点)は,次のとおりである。

(1) 「常用漢字表」 (昭和56年)

 @字種は,従来の当用漢字1850字に95字を加え,合計1945字とした。加えた95字の中には,例えば,「靴」,「涯」,「垣」,「蛍」,「昆」,「汁」,「斉」,「棚」,「釣」,「肌」,「僕」,「堀」などの字がある。
 A音訓は,従来の音訓表に約360の音訓を加え,新たに加えた95字についても,それに準じて音訓を選定した。
 B字体は,従来の当用漢字については「灯」 (←燈) 1字を除いて変更はなく,新たに加えた95字については, 「蛍」 (←螢), 「斉」 (←齊)のように,従来の当用漢字に準じた整理を加えた。また,明治以来行われてきた字体とのつながりを示すため,例えば「円(圓)」,「応(應)」,「学(學)」,「宝(寶)」,「竜(龍)」のように,いわゆる康熙字典体を括弧に入れて添えた。

(2) 「送り仮名の付け方」 (昭和48年)

 この「送り仮名の付け方」では,従来の「送りがなのつけ方」の26の通則を7通則にまとめて規則を簡明にしたほか,活用語尾を送ることを主要な原則とし,慣用を尊重して例外・許容を設け,読み間違えるおそれのない場合は送り仮名を省いてよいこととした。その結果,例えば,従来の「送りがなのつけ方」で「表わす」,「現わす」,「行なう」としていたのを, 「表す」, 「現す」,「行う」と改めた(従来の形も許容)ほか, 「浮かぶ」,「生まれる」, 「終わる」,「売り場」,「手続き」を「浮ぶ」,「生れる」,「終る」,「売場」,「手続」とする類の許容を大幅に認めることとした。

(3) 「現代仮名遣い」 (昭和61年)

 @「現代仮名遣い」は,語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とし,一方,表記の慣習を尊重して一定の特例を設けたものであり,従来の「現代かなづかい」に比べて構成を簡明にしたほか,歴史的仮名遣いとの対照表(語例入リ)を付表として添えた。
 A慣用の定着状況にかんがみ,不要になった許容を省いた。すなわち,従来の「現代かなづかい」では, ( )内に示すような形を許容していたが,これをやめた。
   例 私は(わ),学校へ(え),放送 ほうそう (ほおそお)
 また,必要と考えられる許容を新たに設け, ( )内に示すような形を許容することにした。
   例 せかいゅう(〜ゅう),いなま(いなま),うなく(うなく),さしめ(さしめ)
 B従来,疑義のあった諸点について新たに項目を設けたり,語例を多く示したりしてこれを明らかにした。例えば, 「経営」,「時計」などは「ケーエー」,「トケー」のように発音されることも多いが,常に「けいえい」,「とけい」と書くことを明記した。 また, 「じ,ぢ」,「ず,づ」の書き分けについて語例を多く示した。
 C歴史的仮名遣いについては,昭和21年の「現代かなづかい」の制定以前には社会一般の基準として行われてきたものであり,今日においても,歴史的仮名遣いで書かれた文献などを読む機会は多く,歴史的仮名遣いが,我が国の歴史や文化に深いかかわりを持つものとして,尊重されるべきことは言うまでもないとしている。
 Dなお,以上の諸点のほか, 「現代仮名遣い」による表記の仕方は,従来の「現代かなづかい」による表記の仕方と実際上ほとんど相違がないが,これは, 「現代かなづかい」の実施後約40年が経過し,法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活における使用状況が十分安定し,国民の間で広く支持されていると判断されたことによるものである。

(4) 「外来語の表記」 (平成3年)

 @「外来語の表記」に使用する仮名を第1表と第2表に分けて示し,第1表に示す仮名(「シェ,ジェ」 「ティ,ディ」 「ファ, フィ, フェ, フォ」等13の仮名が含まれる。)は外来語や外国の地名・人名を書き表すのに一般的に用いる仮名とし,第2表に示す仮名(「トゥ,ドゥ」「ヴァ,ヴィ,ヴェ,ヴォ」等20の仮名から成る。)は外来語や外国の地名・人名を原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合に用いる仮名とした。
 A第1表・第2表に示す仮名では書き表せないような,特別な音の書き表し方については,取決めを行わず,自由とした。
 B語形やその書き表し方については,慣用が定まっているものはそれによることとし,分野によって異なる慣用が定まっている場合は,それぞれの慣用によって差し支えないものとした。
(「ハンカチ」と「ハンケチ」,「グローブ」と「グラブ」のように語形にゆれのあるものについて,その語形をどちらかに決めようとはしていない。)

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