国語施策・日本語教育

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T 総論

1 国語の改善について

 国語は一国の文化の基礎を成すものであり,また文化そのものでもある。国語の現状に照らして将来を見通し,その改善に積極的な努力を不断に試みることは,文化を守り向上させる観点から当然なすべきことである。もちろん,一方において,国語は時代性を持った大きな存在であり,文化の伝承や創造に密接にかかわるものであるから,国語の伝統を重んずることの大切なことは言うまでもない。従来,国語の改善は主として文字表記に関する事項について立案,実施されてきたが,これからは,文字表記の問題だけでなく,話し言葉,発音,敬語,共通語と方言など,広く国語の問題全般を取り上げていくことが必要であろう。
 また,従来も十分考慮されてきたことであるが,国語の問題を取り上げて何らかの目安又はよりどころ,あるいは指針を設けるに当たっては,それを適用すべき分野についての考慮,どのような形で適用することが望ましいかということについての国民的な合意が必要である。従来の,文字表記についての国語施策は,「法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活」という公共性の高い領域を対象とするものとして実施されてきたが,反面, 「科学,技術,芸術その他各種の専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない」 ということを基本的な方針としてきた。
 このような取扱いの中で,必要に応じて,時には統一的な,時には自由な文字表記が行われることが,国語にとって,また,我が国の文化にとって最も望ましい在り方だと思われるが,このような観点は,文字表記以外の問題を取り上げる場合にも慎重に考慮されなくてはならないであろう。

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