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U 現代の国語をめぐる諸問題(委員から出された主な意見)
以下に掲げる項目は,総会における自由討議・意見交換の中で委員から出された主な意見を分類,整理したものである。なお,○印を付けて掲げたものは,参考のために,当該項目にかかる委員の発言を要約,摘記したものである。
1 表記に関すること
(1) | 「常用漢字表」や「現代仮名遣い」の内容等に見直すべき点があれば,新たな見直しをすることが必要ではないか。 |
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○ | 「常用漢字表」 「現代仮名遣い」等の内容や考え方について,更に見直しをすべき点があるのではないか。 | |
○ | 現在の漢字の簡略化が不統一だという意見が世間にあるが,もし不統一だということなら,きちんとした対応や説明が必要なのではないか。例えば, 「仏(←佛)」 「払(←拂)」 「独(←獨)」は簡略化されているのに, 「沸」 「濁」はそのままになっていることなどが以前から指摘されている。 | |
○ | 漢字には略字と当て字の問題がある。略字はいいが,当て字は使いたくない。 「缺」の代わりに「欠」を採用したような,本来の意味と違った当て字的なものが持ち込まれているのが問題である。 | |
○ | 漢字の字体の変更や統一の問題は,今までの習慣を変えることになるので,簡単にいかない面がある。 |
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(2) | 「常用漢字表」等が新聞や義務教育等での準則として規制的に働く傾向があるが,個人の表記の自由度について確認しておくことが必要ではないか。 |
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○ | 「常用漢字表」等の「目安」 「よりどころ」の趣旨が必ずしも徹底しておらず,新聞などジャーナリズムや義務教育での準則が規制的に働く傾向がある。個人の表記の自由度の問題について改めて確認しておくことが必要である。 | |
○ | 学校教育の中で,例えば「信頼に応える」と書きたくても, 「応える」は表外訓だということで使えない。こういう規制について今後どう考えていけばよいか。 | |
○ | 報道機関の仕事の性質上,機関内での統一的なルールはどうしても必要であり,厳格にそれを適用することになる。芸術等の分野に関するものは別だが。
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(3) | 「補てん」 「ばん回」のような交ぜ書きは問題ではないか。 |
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○ | 「補てん」 「ばん回」 「伴りょ」のような,いわゆる交ぜ書きが新聞等に多く見られるが,何とかならないものか。 | |
○ | 交ぜ書きは戦後の国語施策の結果生じたものであり,問題である。 (教科書では振り仮名を使うようになって交ぜ書きは減る傾向にある。) | |
○ | 言い換えなどの工夫も必要だが,それができない場合には,むしろ振り仮名を付けて漢字で書いてもよいのではないか。 |
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(4) | 振り仮名をもっと活用するとよいのではないか。 |
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○ | 振り仮名を多用,活用すべきである。 | |
○ | 新聞では括弧の中に仮名で読み方を示す方式のほか,部分的に振り仮名を使っているが,新聞の文字も大きくなっているので,今後振り仮名の使用は増えるのではないか。 | |
○ | 振り仮名の使用によって,韓国の固有名詞の原音読みの問題なども解決するのではないか。 |
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(5) | 句読法に関するよりどころを立てることについて検討してはどうか。 |
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○ | 読みやすい文章を書くために,読点(コンマ)の付け方などを含めた,ある程度の決まりを国語審議会の主導でまとめていくこも必要ではないか。 | |
○ | 法令などでは句読点の用い方も非常に厳密だが,新聞などの場合には仮名が連続するときは読点を付ける方がよいとか,行が変わるときは付けなくてよかろうとか,ある程度ゆとりをもたせておいてよい問題ではないか。 | |
○ | 読点の付け方は書き手の個性や文体にもよるものだ。文体にまで手を出すのは国語審議会の仕事の枠を超えることになるのではないか。 | |
○ | 文章の種類や目的に応じて句読点の付け方も変わってくるので,画一的に決めるのは無理ではないか。 | |
○ | 現在新聞各社の手引書では,句読法についてもかなり詳細に決めてあるのが実情である。大体共通した内容であり,昭和21年の文部省調査課の「くぎり符号の使い方(案)」などが元になっていると思われる。 |
(注) | その他,漢字の速読効果,縦書き・横書きなど文書形式に関する問題,動植物名の仮名書きの問題, ローマ字のつづり方,ローマ字で姓名を書く場合の姓と名の順序,辞書の見出しなどの日本語の配列順や漢字の配列順等のことも話題になった。 |