国語施策・日本語教育

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U 現代の国語をめぐる諸問題(委員から出された主な意見)

2 情報化への対応に関すること

(1)  ワープロにおける漢字 (特に「常用漢字表」にない字) の用いられ方やその字体の問題について混乱が見られるので,適切な方途を講ずることが必要ではないか。

   新聞社でもワープロを使うようになったが,我々が普通に使っているのと違う字体が出てきて不便である。原因はJIS (日本工業規格)の漢字規格にあるようだが,今のうちに手を打たないと,国語のシステムに二つの系列が生じるおそれがある。
   字体の問題は雑誌関係でも非常に大きな問題になっているので,ぜひ統一してきちっとしてもらいたい。国語審議会で定める字体でやってもらう方がいいと思う。
   通産省(JIS)や法務省(人名用漢字)との連絡を十分にとって,字体の問題が不統一にならないようにすべきである。
   略字だけの問題ではなく, JISのコードには辞書にない字や異体字も相当入っており,新旧の字体の扱いも整合性を欠いている面がある。記者用のワープロを別に作らないとやっていけないという状況で,これが新聞界としても大きな問題である。
   JISは元来情報交換のために漢字に番号を付けることに主眼があったので,字体を決めるとか,字種の使用範囲を決めるとかいう性質のものではなかった。
   コンピューターやワープロで多様な漢字が必要になっているが,メーカーとしても各種の書体等の需要に応じ得るよう供給体制を整えてきた。字体の変更等はかなり慎重にやらないと,コストの問題が生じる。社会一般での普及を考慮に入れたルールの採用と尊重が大切である。

(2)  ワープロの辞書の諸問題。使用者の用途に応じた辞書(ワープロソフト)の研究・開発が望まれる(字種・字数,新旧字体,新旧仮名遣い,送り仮名の付け方,振り仮名等)。

   ワープロも使用者によって用途が異なるので,用途に応じた多様な辞書(ワープロソフト) を開発する必要がある。
   漢字に複数の読み方があること,特に人名など固有名詞の漢字の読み方が複雑なこと,送り仮名に種類が多いこと等のため,すべての場合を一つの辞書に登録することは難しい。
(3)  ワープロ等情報機器の発達が言語生活に及ぼす影響について調査・研究することが必要ではないか。

   情報機器の便利さは大変なものだが,その下で育ってくる子供たちも多くなってきたので,そのマイナス面についても考えておく必要がある。
   文字や言葉を知らなくてもボタンを押せば自動的に文章が打ち出されるというような事態になると,個人の持っている国語の能力,表現力や思考力が衰えることも考えられるので,あらかじめ調査・研究して必要な対策を立てておくべきである。


  (注)  その他,日中韓の漢字の字体の違い,漢字コードの国際化等情報技術の国際化のことも話題になった。

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