国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 開会/庶務報告/前回の議事要録の確認

坂本会長

 ただいまから第20期国語審議会第7回総会を開会する。
 前回の総会以後に,文化部長,国語課長などに異動があったので,事務局から御報告をお願いしたい。

花立国語課課長補佐

 それでは文化庁の人事異動について御紹介申し上げる。いずれも4月1日付けである。
 まず,福島文化部長が横浜国立大学事務局長に転出し,後任として文部省学術国際局国際企画課長から西澤文化部長が就任した。
 また,韮澤国語課長が国際交流基金人物交流部長に転出し,後任として国立歴史民俗博物館管理部長から大島国語課長が就任した。
 なお,安永主任国語調査官が定年退官し,代わって国語調査官の浅松が昇任した。また,新たに国語調査官として野村が就任した。
 以上である。

坂本会長

 続いて,事務局から庶務報告をお願いする。

大島国語課長

 それでは庶務報告を申し上げる。
 前回の総会以後,第1委員会は2回,第2委員会は3回開催されている。また,第2委員会の中に設置された字体に関するワーキンググループは1回開催されているところである。これらの状況については,後ほど両委員会の主査よりそれぞれ御報告をいただくことになっている。
 前回の総会の議事要録は,6月7日付けで全員にお送りした。また,委員会に所属していらっしゃらない先生方には,6月7日付けで両委員会の議事要旨をお送りした。
 次に,本日の配布資料であるが,お手元に1枚紙で議事次第,その下に資料1から4までお配りしてあるので,御確認いただきたい。
 なお,資料4「放送で気になる言葉」は,新聞協会の用語懇談会で作成されたもので,浅野委員の御紹介により配布させていただいた。
 また,資料3は「国語に関する世論調査」という冊子で,これについて御説明申し上げたい。
 この世論調査は,国語審議会の審議の参考にしていただくため,委員の方々からも御意見を頂戴(だい)しながら,実施したものである。
 「調査の概要」が1ぺージにあるが,調査の対象は,16歳以上の男女個人3,000人である。調査方法は調査員による面接方式で,有効回収数2,212人,回収率が73.7%である。
 続いて,「調査結果の概要」が3ぺージ以降にあるので,簡単に御説明をさせていただく。
 まず,3ぺージだが,「よりよい言葉遣いのための心がけ」を尋ねたところ,棒グラフにあるように,「相手や場面にふさわしい敬語を使うようにする」というのが最も多く,以下,「心のこもった言葉を使うようにする」「平易で分かりやすい言葉を使うようにする」が5割を超えている。
 次に,5ぺージ,「言葉に関する意識」について。初めに,「今の言葉は乱れている」と思うかということを尋ねたところ,「そう思う」とするのが73.6%であった。以前,平成4年に総理府で同様の調査を行ったが,その時の数値が74.7%で,今回もそれに近い数字になっている。
 続いて,どういうことが必要かということでは,同意率が最高なのは「新聞や放送などの自覚」ということで,88.4%である。
 次に,「国が日本語の正しさや美しさの保持に努めることが必要だ」が71.5%,以下,「国は国民の意識が高まるように努めること」「学校の国語の教育をより充実させる」といった順となっている。
 「国が言葉遣いについてゆるやかな基準を示すことが必要だ」も,同意率の方が高い状況であるが,46.5%で5割を下回っており,不同意率が40.2%となっている。

大島国語課長

 一方,「言葉は時代とともに変わるものであり,自然に任せた方がよい」の同意率は38.7%にとどまっており,不同意率の48.6%の方が高くなっているという状況である。
 次に,8ぺージである。共通語と方言について,「使い分ければよい」というのは75.1%,「方言はできるだけ使わない方がよい」というのは17.9%となっている。
 ぺージをめくっていただいて,10ぺージであるが,敬語の使い方について,「適切に使っている」が15.1%,「人並みに使っている」が52.2%,これを合わせて「敬語を使えている」と考えている人は全体の3分の2,「使いたいと思うが,十分に使えていないと思う」が29.2%となっている。
 次に,12ぺージ,「場面による敬語の使い分け」であるが,「使い分ける方がよい」というのが78.3%,「相手や場面にかかわらず,簡素な言い方でよい」は18.3%であった。
 14ぺージでは,敬語に関する考え方を聞いたところ,パーセンテージが一番高いのは「目上の人には敬語を使う方がよい」で,9割を超えている。以下,「親しい人(友人など)に敬語を使うのはよそよそしい感じがする」「年下の人にも場合によっては敬語を使う方がよい」「あまり親しくない人には敬語を使う方がよい」という順になっている。
 16ぺージ,男女の言葉遣いに違いがなくなってきていることについて聞いたところ,「違いがない方がよい」9.8%,「自然の流れであり,やむをえない」41.2%,「違いがある方がよい」44.1%となっている。
 続いて,18ぺージである。改まった場で自分のことを言うとき,どんな言葉を使うかと聞いたところ,「わたし」が58%,「わたくし」が20.3%という状況で,性別に見ると,女性では,「わたし」と「わたくし」の二つに集中し,合わせると9割以上に達している。一方,男性では,「わたし」の割合が最も高いが,このほかに「自分」が18%,「わたくし」が17.8%,「ぼく」は12.3%など,男性の場合にはかなり分散しているということが言えると思う。
 次に,ぺージをめくっていただいて,20ぺージである。改まった場で相手のことを言うとき,どんな言葉を使うかを聞いたところ,「名字+さん,名字+さま」が一番多くて37.7%,「おたく,おたくさま」が21.8%,「あなた,あなたさま」が18.5%,という順になっている。
 次に,22ぺージである。「やる/あげる」及び,いわゆる「ら抜き言葉」について,それぞれ3例ずつ聞いている。
 普通使う方を聞いたところ,「やる/あげる」については,3例とも「やる」が「あげる」を上回っている。「あげる」という人の数が多い順としては,「うちの子におもちゃを買ってあげたい」「植木に水をあげる」「相手チームにはもう1点もあげられない」,こういう順である。性別あるいは地域によって,かなり差が見られ,例えば,「うちの子にあげる」の例では,女性の20代以下の7割が「あげる」派となっている。
 次に,「ら抜き言葉」であるが,普通どちらを使うか聞いたところ,「ら」を入れた本来の言い方がいずれも多い状況である。今回の3例の中では,音節の数の少ない語ほど「ら抜き」使用の率が高くなっており,「ら抜き」の出現率としては,「来れる」「食べれる」「考えれる」という順になっている。「来れる」については,16歳から19歳の過半数が使っているという状況である。
 次に,30ぺージである。気になる言い方について聞いた結果,過半数が「気になる」としたのが,「先生,こちらでお待ちしてください」「○○さん,おりましたら御連絡ください」「お客様,どうぞいただいてください」というように,いずれも謙譲語を尊敬表現に用いたものである。
 逆に,「気にならない」とした順は,「どうぞおめしあがりください」という二重敬語,あるいは「足元にお気をつけてください」「とんでもございません」といった一種の省略形,こういうものは気にならない率が高いようで,抵抗が少ないという状況がうかがえる。
 次に,35ぺージに進む。日本国内で外国人から話し掛けられた経験の有無を聞いたところ,「しばしばある」「時々ある」「1〜2度ある」という「経験あり」とするのは36.9%であった。「まったくない」というのは63.1%。地域ブロック別,あるいは都市規模別の差がかなりあって,「経験あり」は関東では51.9%と半数を上回っている。
 次に,37ぺージ,何語で話し掛けられたのかを聞いたところ,「主に日本語」で話し掛けられたのが30.0%,「主に英語」が36.2%,「日本語と英語が半々ぐらい」26.6%,こういう状況になっている。
 次に,38ぺージであるが,話し掛けられてどのように対応したかを聞いたところ,「主に日本語で応じた」43.7%,「主に英語で応じた」12.2%,「状況次第で,日本語または英語で応じた」39.3%となっている。
 次に,40ぺージ。外国人に話し掛けられたことがない人に,もし外国人から話し掛けられた場合,どのように応じるかを聞いたところ,「日本語で応じる」43.8%,「英語で応じる」1.9%,「状況次第で,日本語または英語で応じる」28.2%,「なるべく応じないようにする」12.8%であった。
 41ぺージに移る。外国人が話す日本語は,どのような日本語であるのが望ましいかについて聞いた。「多少変な日本語でもかまわない」58.6%,「どんな日本語でもかまわない」24.2%,こんなところが高い数字で,「日本人と変わらない日本語を話すべきである」というのは,12.7%であった。
 次に,43ぺージである。日本語や外国語に関する意見について,「そう思う」か「そう思わない」かで聞いたところ,「そう思う」という同意率が高いのは,「日本人が日本語を正しく使えるようになるための教育を重視すべきである」80.6%,以下,「日本人も外国に行くときは,その国の言葉を話すように努力すべきである」「アジアの国々の言葉についても,日本人はもっと関心を持つべきである」「日本人が,外国語を話せるようになるための教育を重視すべきである」「日本に来た外国人は,日本語を話すように努力すべきである」「外国人が,日本語を話せるようになるための教育を重視すべきである」といった順になっている。

大島国語課長

 次に,45ぺージである。日本語が国際機関や国際会議などの場でもっと使われるように主張すべきかどうかを尋ねたところ,「そう思う」が42%,「そうは思わない」が30.1%であった。
 47ぺージ。外来語や外国語が今以上に増えることについては,「いくら増えてもよい」が13.1%,「多少は増えてもよい」が44.8%,これを合わせた増加容認派が57.9%ということである。性あるいは年齢別で見ると,増加容認派は特に男性の20代,女性の16〜19歳で高く,8割を超える状況になっている。「今以上には,増えない方がよい」というのは30.4%となっている。
 次に,49ぺージ,「ローマ字による姓名の書き方」である。外国で使うためにローマ字書きの名刺を作る場合,「名を先にする」が62.3%,「姓を先にする」が24.6%であった。「名を先にする」とするのは,特に若年層で多く,男性の16〜19歳,女性の20代では8割を超える状況になっている。
 5lぺージに移る。ワープロやパソコンによる文書作成の経験を聞いたところ,「ある」とするのが39.9%,「ない」とするのが60.1%であった。
 53ぺージでは,「ある」と答えた人に,文書作成の頻度を聞いた結果が出ている。そのような状況になっている。
 次に,55ぺージである。ワープロやパソコンを使って文書を作成した経験から,どのような感想を持っているかを聞いたところ,一番多いのは「視力を使うので,疲労しやすい」で48.4%だった。以下,漢字に関して続いており、「漢字を多く使うようになった」というのが38.7%,「漢字の書き方を忘れることが多くなった」が38.5%,「漢字の知識が増えた」が33.8%となっている。
 文書作成の速さについては,「速く作れるようになった」が22.1%,「時間がかかるようになった」が18.3%,このように分かれている。習熟度によっても答えにかなり差が出てくると思われる。
 次に,57ぺージである。将来ワープロやパソコンを使って文書を作成したいと思うかどうかを聞いたところ,「そうは思わない」とするのが60.3%,「そう思う」が34.1%であった。
 次に,59ぺージである。「常用漢字表」に入っていない漢字について,いわゆる交ぜ書きをするかどうかの是非を尋ねたわけである。「交ぜ書きの方がよい」とするのが35.2%,「全部漢字で書いて振り仮名をつける方がよい」とするのが57.1%であった。これは若年層ほど振り仮名の方を選ぶ比率が高くなっており,高年層になるほど減少しているという状況である。
 次に,61ぺージに進む。これも「常用漢字表」に入っていない漢字について尋ねたものである。Aのように,「ワープロから簡略化された漢宇が出てくることはかまわない」とするのが42.0%,「ワープロからも辞書に用いられているものと同じ形の漢字が出てくる方がよい」というのが41.3%であった。
 以上,誠に簡単であるが,時間の関係もあって,かいつまんで御説明させていただいた。

坂本会長

 ただいまの説明に何か御質問があるか。
 第1,第2委員会の審議の内容にかかわることであるから,後ほど主査からそれぞれの委員会の論議の概要について御説明があるので,その時でも結構である。
 また,資料4の「放送で気になる言葉」については,浅野委員の方から御説明があるようだが,いかがか。

浅野委員

 特段補足するようなこともないが,簡単に前提だけ御説明を申し上げる。
 私どもの新聞協会には160余の加盟社があるが,そのうち50社は放送社である。その組織の一つとして「新聞用語懇談会」というのがあって,戦後すぐから新聞用語の検討をずっと続けてまいった。基本的には国語審議会の線に沿い,教育の場との整合性を図っていくという姿勢である。
 その中で,50社の放送社の方々が,「放送で気になる言葉」というのを少しまとめようではないかということで,ニ十数年前に放送分科会をお作りになって,いろいろ検討してまいったのが実績である。
 平成に入ってから,パンフレットにあるように,少し区切りを付けながら検討をいただいた。PartI,U,Vとまとめて,その都度,社内研修用ということも兼ねてパンフレットにしている。私も分科会の周辺の方々には途中の段階で差し上げているが,このほどPartWがまとまったので,改めて1冊にしたというのが経緯である。
 第1委員会の方の御参考になろうかと思う。私が見ていても,なるほどなとか,ほうとか,えっとか,おもしろいと言うと語弊があるが,随分興味深いケースが多々あるので,電車の中ででも御覧いただければ幸いかと思う。
 PartVまでは,私から,皆様方に差し上げていたが,PartWは,担当の方が実費でお買上げいただきたいということで,国語課の方にお買上げいただいて,きょう配布をしたということのようである。どうぞお目通しいただければ幸いであるというのが私の補足である。

坂本会長

 今までのところで,何か御質問,御意見等あるか。
 まだ先があるので,また後で戻って御質問いただいても結構である。
 次に,前回の議事要録の確認をお願いしたいと思う。
 ただいま御説明があったように,議事要録は既にお送りしてあるので,お読みいただいたと思うが,お手元のとじ込みの中に入っているので,御自身の発言について修正の箇所があれば,どうぞおっしゃっていただきたいと思う。また,細かいことであれば,後ほど事務局の方へ御連絡いただいても結構である。よろしいか。
 では,後ほど事務局の方へ御連絡いただいても結構だということを前提にして,前回の議事要録は御承認いただいたということにさせていただきたい。

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