国語施策・日本語教育

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I 言葉遣いに関すること

2 言語環境の重要性

(2)方言の尊重

 方言は地域の文化を伝え,地域の豊かな人間関係を担うものであり,美しく豊かな言葉の一要素として位置付けることができる。「方言の尊重」とは,国民が全国の方言それぞれの価値を認識し,これらを尊重することにほかならない。
 方言は地域の言語生活を生き生きとさせる豊かな言葉ではあるが,全国的なコミュニケーションの基本は共通語である。従来の教育成果やテレビの普及等によって全国的に共通語が広まっているが,今後も両者が役割を分担しつつ共存していくことが望ましい姿であろう。
 「方言の尊重」のための方策としては,例えば,児童生徒が地域に伝わる民話や芸能,あるいは高齢者とのコミュニケーションによって方言に触れること,さらに他の地域の方言についても知識や理解を深めることなどが考えられる。これらは,言語感覚を養い,豊かな心を育てる上でも有益であろう。
 学校教育においても従来,地域の現実に即して,共通語と方言との共存を図りつつ,適切な指導がなされているところであるが,今後も学校,家庭,地域社会等がこのような認識の下に更に方言に親しむための工夫をすることが望ましい。
 また,方言の学術研究も大切である。国立国語研究所では,日本全国の方言について言語地理学的調査を行っており,語彙・文法等の調査結果を地図化して逐次刊行している。また,各大学等においても様々な角度から方言研究が行われている。これらが国語研究の重要な分野として,今後ますます発展・充実することが望ましい。

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