国語施策・日本語教育

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I 言葉遣いに関すること

3 敬語の問題

(1)現代の敬語

 基本的には同じ内容を述べるのに,話題の人物・聞き手・場面等への配慮から,それらにふさわしい特定の表現を用いるとき,それらの表現は総称して待遇表現と言われる。敬語とは,待遇表現のうち,敬意あるいは丁寧さを表すものの称であるととらえることができよう。
 敬語は上代以来連綿と続いてきた日本語の大きな要素である。今日の敬語は,おおむね19世紀の江戸で行われたものが基礎になっており,また,敬語使用に関する意識上の大きな変革が生じたのは第二次大戦後であると言われている。
 現代の敬語については,次のような特徴が指摘されている。


@ 表現形式の簡素化
 立場等の上下に応じて複雑に使い分けられていた多くの表現形式のうち,一般的にはより簡素で単純な形が用いられるようになった。

A 親疎の関係の重視
 様々な上下関係による敬語の使い分けが弱まり,代わって相互の親疎の関係に基づいた敬語使用(部外者や初対面の人に対しては,仲間内や親しい人よりも丁寧に,など)が重視されるようになった。もちろん,年齢や社会的な立場からくる上下関係に伴った敬語使用も依然として存在している。

B 聞き手への配慮が中心
 話題に登場する人物より,聞き手への配慮が敬語表現の中心になった。

C 場面に応じた対人関係調整のための敬語
 例えば,商業関係の分野において,顧客に対する売り手の敬語使用が極めて丁重なものとなる類である。このような場合は本来の「尊敬」や「謙譲」の念が必ずしも十分に伴わない場合もあり得る。

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