国語施策・日本語教育

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I 言葉遣いに関すること

4 その他

(2)発音・アクセントの問題

ア アクセントのゆれ・平板化
 近年,主として東京語アクセントにおける平板化の傾向が見られ,アクセントにゆれのある語が増加している。東京語アクセントは共通語アクセントの基本とされるが,この傾向についてどのように考えるべきかを検討することが必要であろう。
 一般にアクセントは地域によって違いがあり,国が全国民を対象とする規範の類を示すのは行き過ぎであろう。ただし,放送等ではその影響の大きさに配慮して,共通語アクセントを用いることが望ましいと思われる。

イ ガ行鼻濁音
 最近,東京をはじめ従来ガ行鼻濁音を有した地域の多くで,若い人を中心にこの音を使用しない傾向が見られる。これは日本語の音韻の変化であり,また,ガ行鼻濁音がもともと存在しない地域もあることから,これを全国民に要求することは難しい。
 放送関係では従来どおりガ行音とガ行鼻濁音の使い分けの指導を行うなど,保存に対する努力が見られる。

ウ サ行子音の発音等
 主として若い人の発音において,「シ」が「スィ」に,「チ」が「ツィ」に聞こえるということが,しばしば指摘される。
 「シ」 が「スィ」になることは, かつて「シェ」が「セ」になったことと同様,サ行の子音の統一という点で音韻変化の方向に合っているとする見方もあるが,一方には,若年層の口腔内の構造に関係があるとの説もある。また,サ行の直音と拗音の区別も不明瞭になっており,シャショウ,サショウ,シャチョウを正確に発音できない人も多
いようである。
 正確な発音は円滑なコミュニケーションを図る上で大切であり,音声言語について人々が関心を高めること,新聞・放送等の分野や,学校教育においても,一層このことに意を用いていくことが望まれる。

エ イントネーション
 従来しばしば問題にされてきた,尻上がり・語尾伸ばしのイントネーションは,ひところと比べると減少しているようである。
 近年,若い人に多く見られる,文中のある語の語尾を上げ,相手に尋ねるように間をあけるイントネーションについては,煩わしいと感ずる向きもあるが,個々人の音声表現の問題であり,相手や場面によることであって,一概に否定できるものではない。

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