国語施策・日本語教育

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U 情報化への対応に関すること

1 基本的な認識

 近年の情報化はコンピュータと通信技術の進展に伴って推進され,今日では,情報ネットワークを通じて世界的な規模での情報の交換が,マルチメディア化された情報媒体を通して行えるようになってきている。
 こうした結果,時間的・空間的な制約が著しく緩和されただけでなく,情報ネットワークを通じた新しい形のコミュニティーが数多く形成されつつある。このようなネットワーク上で展開される情報を的確に把握するためには,音声言語,文字言語の両面に通じた高度な言語能力が必要とされるが,このことの重要性は社会における情報化の進展を考えるとき,十分に認識されるべきである。
 情報化社会への対応に当たっては,既に情報活用能力の養成ということが言われて久しいが,高度情報化の進展する今日,情報そのものの受信・発信能力の育成について,言語能力との関連から検討してみる必要があろう。さらに,国際的に広がっている情報ネットワーク上で,日本語を使用言語とする情報交換をどのように実現していくかといった国際化と密接にかかわる問題や,情報ネットワークの急速な普及が,日本語にどのような影響を与えていくかといった問題も生じており,早急な対応が不可欠となろう。
 また,情報機器の発達と普及は,言語生活にかつてなかったような新生面を開きつつある。中でも,ワードプロセッサ (以下,ワープロという。),パーソナルコンピュータ(以下,パソコンという。)の使用は今や日常化しており,その普及は文書の作成・加工や保存・再生の簡便化をもたらすなど,言語生活に大きな影響を与え続けている。
 コンピュータへの言語の入力を音声で行ういわゆる音声入力,機械による自動翻訳,文字の自動読み取り等の技術も,今後種々の改善が加えられる余地はあるものの既に実用段階にあると考えられる。文字印刷の分野においても,従来の活字による組版は活字によらないコンピュータを駆使する組版方式に取って代わられている。これらの技術の発達により,日常の言語生活にも様々な利便がもたらされるものの,反面,言葉が規制されたり画一化されたりする傾向の生じてくることも考えられる。
 情報化という概念で包括される分野は極めて広範囲にわたり,かつ,多様な情報機器をも含み得るが,今回は上記の基本認識を踏まえて,国語施策と密接にかかわる範囲を中心に,基本的な考え方や施策の方向性を提示する。

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