国語施策・日本語教育

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U 情報化への対応に関すること

3 ワープロ等における漢字の字体の問題

(1)混乱の現状

 ワープロ等に使われている漢字は,次のような日本工業規格(以下,JISという。)に準拠している。

@ 情報交換用漢字符号(JIS X 0208-1990)
    〔漢字数〕 6355字
    (第1水準2965字,第2水準3390字)
A 情報交換用漢字符号一補助漢字(JIS X 0212-1990)
    〔漢字数〕 5801字

 @は昭和53年(昭和58年,平成2年改正),Aは平成2年に制定され,現在に至っている。ワープロ等に使われる漢字の字体についての混乱は,主として,@の第1水準内の漢字について生じている。すなわち,昭和58年の改正において,鴎(←おう),祷(←とう),涜(←とく)のような略字を広く採用し,括弧内の字体(いわゆる康熙字典体)を排除したことが混乱を招いたものである。
 したがって,上記改正を全面的に採用している機種においては,表外字について「鴎」や「涜」のように辞書や教科書と異なる字体(略体)だけが搭載され,使用者からも疑問や苦情の声が出されている。
 JIS漢字表は元来「文字概念とその符号を定めることを本旨とし,その他,字形設計などのことは範囲としない。」(JIS解説)という性格の規格であるにしても,辞書等と異なる字体が載せられていることは,今後とも説明に苦しむところの事態であると思われる。
 また,改正前の規格による機種と改正後の規格による機種とが世間に並び行われている結果,各種の情報交換の場において,送り手の意図した字体が受け手に正確に伝わらない等の支障が起こり得るという状況もある。

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