国語施策・日本語教育

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V 国際社会への対応に関すること

1 基本的な認識

(2) 日本人の言語意識

 日本人が一般に持っている言語観や日本語に対して抱いている感覚として,従来,次のような点が指摘されてきた。@言葉を用いるよりも心の通い合いを大切にし,言葉を用いての伝達をどちらかと言うと軽視しがちであった。A世界の諸言語の中で,欧米圏の言語(特に英語)に高い価値を置いてきた。B日本語は,非論理的で特殊な言語であるので外国人には習得が難しい。C話し言葉よりも書き言葉が大切である。
 しかし,言語学の研究成果や国際化の進展に伴って,こうした言語観や日本語に対する感覚は,既に見直されるべき部分が生じていると言えよう。特に,以下のような観点から日本語について再認識することは大切なことと思われる。
 日本語は,和語,漢語,外来語など語種が複数あり,表記法が複雑で敬語の使い方も難しい,などと言われるが,音素の数が少なく,音節構造も「子音+母音」を基調とした単純な形式で,文法規則も比較的例外が少ない。また,日本語のように「主語+目的語+動詞(実際は主語が省略されることが多い)」の語順を持つ言語の数は,世界の言語の中では英語などの「主語+動詞+目的語」の語順を持つものよりも,むしろ多いとされる。
 なお,ユネスコの統計によれば,1990年現在,日本語はその言語を第一言語とする人口で見ると,世界諸言語の中で第10位である。さらに,ある言語が使用されている地域の国民総生産(GNP)との関連から,その言語の影響力を測るという見方もあり,そうした視点では,日本語は世界の言語の中でも無視できない大きな存在となっている。

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