国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第20期国語審議会 > 新しい時代に応じた国語施策について(審議経過報告) > V 国際社会への対応に関すること

V 国際社会への対応に関すること

3 日本語の国際的な広がりへの対応

 世界に広がっている日本語学習者への支援, 国内における日本語学習者への支援については,これを強化する必要がある。その場合,相手及び相手国の立場を尊重しつつ相互の交流を通して,互いに恩恵がもたらされるような在り方が強く望まれる。

(1) 日本語の国際的な広がりについての考え方

 海外及び国内において日本語を学ぶ外国人の数は,その増加率に若干の変動があるものの引き続き増加している。統計的に把握された海外の日本語学習者だけでも162万人(1993年現在 国際交流基金調べ,1988年と比較して2倍強),実際は数百万人にも達している。こうした傾向は今後とも続くと考えられ,学習の目的や内容なども多様化してきている。日本語の永い歴史においても,このような事態は初めてのことである。
 「日本語の国際的な広がり」あるいは「日本語の国際化」と言われる現象は次のような側面を持つと考えられる。


@  世界における外国人の日本語学習者が急増し,何らかの形で日本語を活用している者も相当数に上るようになったこと。また,極めて限られた特定の地域や分野・場面ではあるが,日本語も国際語としての性格を認められる過程にあること。
A  日本語の中への外来語・外国語の流入や外来音の定着といった日本語の変化が確実に進行していること。
B  数は少ないが, 日本語の語彙が諸外国の言語の中に流入しつつあり,その数が確実に増加する傾向にあること。

 さらに,日本語が世界に広がることで,「日本人の考え方や習慣を含む様々な情報が諸外国に伝達しやすくなり,我が国の文化がより深く理解されるようになること」「諸外国の文化や情報を日本人も外国語を通すことなく,日本語によって受け入れることが可能になること」「既に日本語に翻訳され,蓄積された古今東西の多様な文化的所産を諸外国にも容易に提供できるようになること」などが期待され,我が国と諸外国との相互交流が一段と進展することが予想される。
 また,日本語には日本に在住する外国人の生活語という役割も生じている。彼らが日本社会によりよく適応していくためには,日本語の習得が大切であり日本における共通のコミュニケーション言語は,基本的には日本語であるという認識を踏まえつつ,日本で生活している外国人の出身国が多様化し様々な言語が使われている現状にも十分な配慮が必要であろう。

トップページへ

ページトップへ