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次第・議事要録 第1委員会における論議の概要について

清水会長

 それでは,本日の議事に入りたいと思うが,まず初めに,第1委員会の方の論議の概要について,北原主査からお願いする。

北原(第1委員会)主査

 第1委員会の論議の概要について御報告する。
 資料1を御覧いただきたいと思うが,先ほど課長の方からも御紹介があったように,前回の総会の後,10月29日と11月27日の2回開催した。第1委員会では,繰り返し申し上げているけれども,第3回総会で承認された課題について論議を重ねている。資料1の最初の方に書いてあるように,「敬語を中心とする言葉遣い」というような課題であるが,従来の論議の概要をこういうふうに整理してみた。
 まず,1ぺージの四角で囲んであるところが,これから目指すところの骨子である。「まえがき」,「I コミュニケーションと言葉遣い」,「U 敬語の役割」,「V 現代敬語の使い方」という3本の柱で報告をまとめたいというふうに委員会としては考えている。
 どういう内容かというと,まず「コミュニケーションと言葉遣い」ということで,大きく人間のコミュニケーションをとらえた。コミュニケーションにはいろいろな方法があるけれども,その中で言葉を使ったコミュニケーションということを考えたいということで,それを1,2,3と分けてある。1では,社会を構成している人間,その人間関係をうまく保っためのコミュニケーションというようなところを押さえ,2のところでは,そのコミュニケーションの最も基本的な,あるいは最も中心的な手段としての言葉との関係,3のところに行って,そういう言葉の使い方はどうあるべきかということで,現代の社会の状況をまずしっかり押さえて,そういう社会の中にあって言葉遣いはどのようにあるべきか。現代の社会の大きな特微は国際化しつつあるということと情報化しつつあるということ,それ以外に,高齢化とか,いろいろあるけれども,そういう社会の現況を押さえて言葉遣いの在り方を考えたい。そして(2)のところで,言葉遣いの標準の在り方というところを押さえたいというのがIである。
 Uは,円滑なコミュニケーションのための言葉遣いの中心になる敬語についての話に絞ろうということである。敬語というのがどういうものであるか,その辺についてはいろいろ御意見があって,その辺をまず固めなければいけないのであるが,待遇表現という大きな枠でとらえて,その中における敬語の位置付けというようなものを(1)で考えたいというのが「待遇表現と敬語」ということである。「(2)気配りを表す敬語以外の言語表現」とか「(3)敬語回避」ということが挙げられているけれども,すべて敬語の在り方,あるいは大きな意味での待遇表現,それから敬語との関係をそこであらゆる面から考えてみたいということである。
 2で「敬語の理念と意義」という言葉を使っているけれども,今日の社会状況の中にあって敬語の理念がどうあるべきか,敬語の存在意義,敬語はどういう意味を持っているかというようなことをUの2のところで考えたい。
 そして,そのまとめとして「敬語の標準の在り方」についてまとめたい。
 ちょっと外れるけれども,敬語の教育についてもいろいろ審議したので,特に小学校,中学校における敬語の教育についても審議したことを述べたい。
 Vは,敬語の理念や標準の在り方を踏まえて,具体的に現代敬語の使い方についてまとめたいというのが,これまでの第1委員会でほぼまとまってきている骨子である。
 2ぺージ目からは,その骨子の中に当てはまるような,これまでの御意見――○を付けてあるのは,個人的な御意見で,審議はしているけれども,特に共通意見になっているというものではない。こういうものを生かして文案を組み立てながら,共通理解の結論を出すような審議を進めていきたいと考えている。
 これが論議の概要の報告であるが,1ぺージだけで説明を終わるのは申し訳ないので,2ぺージ目をちょっと御覧いただくと,「まえがき」のところに,「20期報告にある「現代語のあるべき姿」の共通理念を目指し,言葉遣いの問題について敬語を中心に検討してきた」ということを述べて,コミュニケーションを円滑にするための適切な敬語使用について幅広い論議を重ねているというような内容になろうかと思う。
 コミュニケーションから言葉遣いに絞ってまいって,3ぺージの(2)のところに「言葉遣いの標準の在り方」とある。実は20期の報告にも,ほぼ1ぺージ使って「言葉遣いの標準の在り方」ということが述べられているが,そこでは言葉遣いの標準は緩やかな「目安」で行こうということが中心に書いてある。それを受けて,ここは言葉遣いについていろいろなところから考えて,日本語には長い歴史がある,歴史を踏まえて現在の日本語がある。しかし,現代の日本語は非常に変化している。この歴史や伝統の継承と言語変化というか,その辺を踏まえて,言葉遣いの標準の在り方を考えなければいけないだろうというようなことを述べることになるのではないかと思っている。
 それから,3ぺージの下からは「敬語の役割」に絞って,先ほど申し上げたような気配りの表現とか,4ぺージの一番下の(3)の「敬語回避」では,敬語を使わないことでかえって親しさを増すようなことがあるとか,そのようなことも組み込んだ報告書になろうかと思う。
 2の「敬語の理念と存在意義」ということであるが,敬語の理念というのも20期の報告に既に一つの項目を割いて述べているところである。かなり分かりやすくまとまっているものだと思うけれども,そういうものを踏まえて,今期の審議で付け加えたり修正したりしながら,敬語の理念についての審議会の考え方を示すことができればよいと思っている。
 このように敬語にはどんな働きがあるかというようなところまでを考えて,今期は大体IとUぐらいで報告をして,それを踏まえてVの具体的な論に入るのは次期というような予定である。Vまで書かなければ報告にならないじゃないかというような御意見もあるけれども,このI,Uをまとめるだけでも大変であって,これから敬語小委員会という委員会を発足させていただいて――「させていただく」 というのは余りいい言い方ではないそうであるが,私の低姿勢のところを表しているので――鋭意頑張るわけであるが,何しろ来年の3月が次の総会であって,3月までに一応報告書のたたき台をまとめなければいけない。非常に切迫してまいったので,前途多難であると思っている。

清水会長

 ありがとうございました。

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