国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第21期国語審議会 > 第8回総会 > 次第・議事要録

次第・議事要録 協議2

俵委員

 それから,先ほど徳川副主査の方からも少しあったが,10ぺージの上の方のDの話題の取り方の中に,「既婚・未婚」とあるが,さらに,結婚するとすぐに「子供はまだなの,どうしてなの」という言葉が大変傷つく言い方の代表というか,それが女性のプレッシャーになっているということは社会的にもかなり言われているので,せっかく例を挙げてあるので,そこにそのことも一言付け加えていただいたらいいなと思った。
 9ページに戻るが,その真ん中辺りの「@慣用的な決まり文句による表現」の例として,中ほどに「申し訳ございませんが」という表現があるが,これは日本語として正しいのか。私は何か変な日本語が最近増えてきたなと思って,今急速な勢いで,本当に街の中でも広がっている言葉だと思うが,「申し訳ない」の「ない」の部分だけをこういうふうにしてよろしいのか。今ちょっと知識がなくて,自分としては大変違和感がある表現のように思っていたので,ちょっと確認していただけたらと思った。

徳川(第1委員会)副主査

 たくさん御意見をいただいているけれども,この第6バージョンはお持ち帰りいただいて,更にお読みくださって,いろいろ変なことがあったり言葉遣いでおかしいところがあったら,どうぞ国語課の方に御連絡いただきたいと思う。国語審議会として発表するものであるから,変な言葉を使うのは非常にまずいと思う。私あるいは北原主査個人の発表物ならいいけれども,是非丁寧に御指摘いただければと思っている。
 「ソト」という用語のことだけれども,ウチとソトというようなことに関しては,日本文化の一つの特徴としてウチ・ソトということを使うと思い込んで,ここで使っているが,また検討させていただきたいと思う。子供のことも考えさせていただく。
 この次に第1委員会があるので,申し訳ないが,よろしくお願い申し上げる。

北原(第1委員会)主査

 副主査が全部答えてくださるので,更に付け加えることもないと思うけれども,「申し訳ございません」というのは,「申し訳ない」だけではなくて「申し訳ありません」という言い方があって,「ありません」を丁寧に言えば「ございません」になる。そんなにおかしい表現ではないと思うが……。答えが悪かったら申し訳ございません。

清水会長

 ほかに,第1委員会,第2委員会のことについて……。

津野委員

 私も,第1委員会の方も第2委員会の方も余り参加していなくて,こういうことを言うのは非常に恐縮であるが,最初の「コミュニケーションと言葉遣い」のところで,国際化とか,情報化とか,いろいろ書かれているが,敬語との関係で,一体どういう位置付けでこういうことが書かれているのか,必ずしも明快に分からないと私は思う。それと同時に,後の方で同じことを書いてある部分があるので,もっと簡単にされていいんじゃないか。ここら辺りは,一般的な国語あるいは言語の状況についていろいろ書かれているのであれば,書くことはもっとたくさんあるような気がするし,そうすると,こういう格好でどういうふうに敬語との関係が位置付けられているのかが,余りはっきりしない。これは一つの意見として考えていただければいいと思っている。
 それから,言葉の非常に細かいことで恐縮であるが,この第1委員会の答申を読んでいると非常に目障りなのが一つあって,いろんなところに中ポツを非常にたくさん使っておられる。第2委員会の方はほとんど使っておらず,はっきり論旨が分かるわけであるが,中ポツの使い方というのも,かつて外来語のときに議論されているような形跡がある。中点というか,同種のことを並べるときには中ポツを使うというのは私たちも承知しているわけであるけれども,およそ関係のないようなことも中点で書いておられる。これは論理的にどういうふうに考えて書かれているのかというのがよく分からない部分があるので,その辺はできたら論理的にきちんと分かるように,修正する必要があれば修正していただきたいなと思う。
 第3点目に,この中で常用漢字以外の言葉も結構使われている。これは政府の答申であるので,常用漢字以外を使ってもいいのかどうか,その辺はまた御検討いただければいいかと思う。

北原(第1委員会)主査

 最初のことだけについて――国際化であるが,確かに御指摘のように,敬意表現だけではなくて,現代社会の言葉遣いがどうなっているかということをとらえようとしていて,すべてが敬意表現のための分析ではないけれども,非常に多様な現代の社会を押さえて,どういう言葉遣いにすべきかという辺りが難しいところである。国際化ということで,分かりやすい敬語の一方,日本人あるいは日本語のアイデンティティーというか,国際化であるがゆえに日本的な表現も大事にしなければいけないというようなことで国際化をとらえているということであるが,まだ時間もあるようだから,もう少し考えたいと思う。

徳川(第1委員会)副主査

 ちょっと付け加えさせていただきたいと思う。
 国際化と情報化のことがくどく出るというふうにお感じになるかもしれないが,それは一つはIのところの書き方の問題があって,Iの中の「1 現代日本社会と日本語の状況」というところに国際化・情報化のことが出てきて,2の「人間関係と適切な言葉遣い」の(3)「現代日本社会における様々なコミュニケーション」というところでまたそのことに触れる。こういうことがあって,どういう方向付けをするかというのを後で書いているものだから,何か2度出てくるというふうにお感じになるのかもしれないと思われる。この辺ももう一度考えさせていただくけれども,国際化のことが出てくるのは,一つは国語教育もあるが,日本語教育,海外で日本語を学んでいる人が数百万人いるというものに対応することも配慮するということであろう。
 それから,情報化の方は,ネチケットとか何とかという言葉があって,新しいネットワークの中で思わぬトラブルが生じたりしているけれども,そういうことへの配慮を先取りしようとしている。ただ,言葉が足りなくて,お読みになる方に御理解が届かないという危険はあるかもしれない。
 それから,常用漢字の使い方とか中黒の使い方などは,もう少しお化粧をきれいにして再登場したいと思っている。

井上委員

 第1委員会の小委員会に属していて,第2委員会には,そちらの方に大いに興味があるのであるが,ほとんど出席できなくて残念である。
 大きなところで伺いたいと思う。印刷標準字体の例が出たが,これとJIS規格の例示字体との関係がどうなっているかということについて伺いたい。それは実はISOの規格,ユニコードではどうなっているかともかかわるが,私がちらちらと見た限りでは,JISの方の例示字体よりもっと古いというか,康熙字典体に戻るのがあるように思われる。ということは,ずっと前の話だと,通産省の方では国語審議会の結果に従うということであるから,この間定まったばかりのJISの規格がまた4〜5年後に変わるということになるのか。
 全体の方針としては,今日は大変よかったかと思う。常用漢字の字体は変えない。それから,常用漢字以外の表外字についても通用のものを採用するということで,その方針は結構である。
 ところで,その時の資料にしたのが,要するに,印刷された活字。今は出版物でも活字を使わないのであるが,我々が近ごろ目にするのは,ワープロから直接プリンターで打ち出された文字じゃないかという気がする。そうすると,「」というのは,古い文庫本なんかでは見るけれども,ワープロから打ち出されたもので見るとしたら,JIS規格の字形になっているんじゃないかと思う。これは国際規格ともかかわるので重要な問題だと思う。時間がないので,お答えは結構である。
 それから,徳島での会議には,日本から,国語審議会の関係者はオブザーバーとしてもう少し大勢参加できるんじゃないかと思うが,第2委員会の方の議論を見ると,ある発言の中で,国際的なことは視野に入れる余地がないというようなことが発言されていたようである。そういうお考えの方がいらっしゃるかもしれないが,勉強のつもりで,徳島の会議に第2委員会の方がお出になるということについてはどうお考えであろうか。これは質問として出させていただく。

水谷(第2委員会)主査

 後の方のことについてだけ触れさせていただく。広く物を見なければいけないというのは確かなことであるから,委員会の中でも,私が行けるかどうか分からないで勧めるのは悪いが,参加するように勧めたいと思う。
 最初の方の資料に関連する部分のところは,事務局の方から一言お話ししておいた方がいいんじゃないかと思う。

大島国語課長

 JIS規格の例示字体との関係については,私どもと通産省の担当課との間では,国語審議会の考え方が打ち出され,固まったら,それをJIS規格に反映させるんだという話を聞いているし,それは別にJIS規格が5年ごとに見直すという通例にこだわることなく,必要が生じた時点でやるという話を事務的にはしているつもりである。
 ただ,第4次規格自体は別に字体を変えるというふうな形の取り扱いをしたものではないけれども,包摂云(うん)々(ぬん)というような話もあって,ややこしい複雑な要素が入ってきたと思うが,そもそも昭和58年のJIS規格の改正の中で,ある意味でJISの調査会の一方的な考え方で字体を変えてしまって,世の中に迷惑を掛けた面がある。だから字体をいろいろ変えるのはいかがなものか,規格の性質上,継続性をできるだけ重要視したいという立場での御意見も,一部の委員にはあるように聞いている。しかしながら,事務的には,あれは飽くまでも例示字体で,字体について,国の文字としてこういう在り方が正しいんだということを決めるのは国語審議会の方であるというふうに了解が付いていると考えている。
 徳島については,先般ベトナムに行った笹原研究員からその様子を聞いたところであるけれども,少なくとも同研究員にはお願いをして参加してもらう。また,可能であれば,国内でやることでもあり,それ以外の者の出張ということの必要性も考えてみたいと思う。

清水会長

 もう少し御議論をいただきたいと思うけれども,終了の時間となったようである。
 第1委員会,第2委員会には大変御苦労いただいて,報告書というような形では一応何かまとまりが見えてきたという感じがしている。先ほどもちょっと話があったように,これは御覧をいただいて,更にこういった点はどうなんだということがあれば,事務局の方へお知らせいただきたいと思う。
 第1委員会は前から報告という格好で取りあえずまとめ,また,第2委員会の方もできれば答申まで持っていきたいという考えもあったけれども,6月までが私どもの任期であるので,報告という形で公表をする。そして,いろいろな外部の団体の意見を伺った上で,来期にまとめが答申されるというような形になるかと思っている。そういうような形でこれから進められていくかと思う。

江藤副会長

 ただ今井上委員から問題が提起されたJIS規格との関連について,一言だけ申し上げたいと思う。
 JIS規格というのは5年ごとに必ず改訂されるもので,そういうふうに法令で決まっている。したがって,今,大島課長から御説明があったように,その5年の間でも,こちらの言い分があれば聞くという体制ができつつあると私は信じているけれども,こちらがぼやぼやしていると,5年ごとに,産業界の経済的要請を基にして,いろいろな略体字ができるとか,いろいろなくくりがなされてしまうとかということは起こり得るわけである。
 したがって,今期はもうすぐ終わるけれども,22期,23期と国語審議会はずっと続くであろうから,その際に,文化庁側から,笹原研究員お一人に頼るのではなくて,これは文字文化の問題である,単なる産業界の経済的要請のみによって四捨五入が行われては困るのであるということを常に言い続けなければいけないだろうと私は考えている。
 第21期もそろそろ終わりであるから,この機会を借りて,ちょうどいい御質問があったので,一言だけ付け加えさせていただいた。

清水会長

 大変貴重な御意見をちょうだいした。先ほども申し上げたように,更に何か御意見があれば,事務局の方へお知らせいただきたいと思う。
 それでは,これで終わりたいと思うけれども,次回の総会を最終総会にしたいと考えている。日程を申し上げると,6月24日の午後2時から4時ということで,お願いしたい。それに先立って,先ほどもちょっと申し上げたが,6月4日の2時から4時半くらいまで時間をとらせていただいて第1委員会,第2委員会の合同委員会を開き,今日の御意見等々も踏まえながら整理したものを持ち寄って,今期の報告書になるものをまとめたいと考えている。第1委員会,第2委員会合同であるので,なるべく多くの委員に参加していただくという格好になるかと思うが,その点をどうぞよろしくお含みいただいて,御予定いただければ有り難いと思う。
 それでは,これで今日の会議は終わることにする。

トップページへ

ページトップへ