国語施策・日本語教育

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第1 現代における敬意表現の在り方

U 敬意表現の在り方

1 敬意表現と敬語

(1)敬意表現の概要

 例えば何かを借りたいという同じ内容を述べるにも,「拝借させていただけませんでしょうか」のような非常に敬意が高く改まった言い方から「貸してくださいませんか」「お借りしたいのですが」のような普通よく使われる敬意の軽い言い方,また「貸してくれよ」「貸してほしいんだけど」などのような打ち解けた言い方まで様々ある(付2(1)参照) 。さらに,これらの言葉に,「申し訳ないけど」「ちよっと」などの前置きの言葉を添えたり,「忘れてきたので」「頼まれたものだから」などのように借りたい理由を説明したりすることもある。例えば,「貸してくれよ」や「ちょっと貸してほしいんだけど」は敬語を含まない言い方ではあるが,終助詞「よ」や「〜てくれる」という言い方を加えたり,「ちょっと」という言葉や「〜けど」のような言い差しの表現を用いたりしている点で,「貸せ」という命令だけの言い方とは明らかに異なっており,相手への配慮を示す表現となっている。話し手は,相手や話題の人との関係や場面などに配慮して,その時々にふさわしいものを選んで使っている。このような種々の表現が敬意表現である。
 敬意表現は必ずしも上位者への言葉遣いばかりではなく,仲間内以外の人に対して距離を置く言葉遣い,下位者への優しい配慮の表現,さらには,打ち解けた敬語抜きの言葉遣いなども含まれる。
 なお,敬意表現は言葉以外の種々の側面,すなわち服装,身振り,表情などにまで広げて考えることもできるが,ここでは言葉に関係するものに限って扱うこととする。

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