国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 第3委員会における審議状況について

清水会長

 それでは,第3委員会のまとめ,素案があるので,こちらの方に入らせていただきたい。
 水谷主査,よろしくお願いする。

水谷(第3委員会)主査

 資料3の「第3委員会における論議の概要-4」から始まる最後のぺージは,8ぺージになっているが,その資料に基づいて御報告申し上げる。
 最初の概要の表紙の部分に書いてあるが,第3委員会は2回行われた。その2回の委員会では,それ以前に積み重ねてきた論議と第6回目の委員会で行った論点の整理とに基づいて検討した。その枠組みを意識しながら,国際社会における日本語についての考え方や,日本語の国際化を進めるための方針についての見解を取りまとめて,次のぺージからの別紙の部分の内容としたわけである。この素案の中にもあるように,一番最後の部分に付いているが,Vの「国際化に伴うその他の日本語の問題」,外来語・外国語増加の問題,姓名のローマ字表記の問題,この問題については平成12年度に審議をしようということになっている。
 四角い枠に囲まれた「別紙」と書いたぺージであるが,それを御覧いただくと,今も一言申したけれども,「国際社会に対応する日本語の在り方」も仮題であるが,こういう題の付け方についてもお知恵がいただけたらと思っている。
 Vの部分を除いて,大きくまとめると,Iの方は,国際社会における日本語の位置付け,あるいは広がりについての基本的な考え方は何であるか,どうあるべきかということを示したものである。
 Uの方は「日本語の国際化を進めるための方針」について,1,2,3と三つに分けて,1は「世界に向けた情報発信の促進」。具体的な例として,(3)の中に,通訳・翻訳が重要である。そのために何が必要か,何をしなければならないかということも打ち出しているけれども,情報発信の必要性ということを軸にして,情報発信の促進を訴え,二つ目の部分は「多様な日本語学習需要に応じたきめ細かな学習支援」が必要だということ。それを(1)国内において,(2)海外においてというふうに分けて記述したものである。3が「国際化に対応する日本人の言語能力の伸長」で,言語能力という言葉は委員会の中でも議論がたくさん出て,違う言い方はできないかという意見も出ていたけれども,取りあえず「言語能力」ということで記述されている。(1)が「国際的な視点から見た日本人の言語運用の特徴と問題点」,(2)が「これからの時代に求められる日本人の言語能力」という形で全体がまとまっている。これは何回もの委員会の議論の中で出てきた意見,情報を,枠組みをしっかり立ててまとめるという形で整理したものである。
 こういった形にしたのは今回が初めてであるから,中身自体を皆さんに御理解いただくために,ちょっとお時間を取って申し訳ないが,朗読をさせていただいて,御意見をちょうだいできたらと考えている。

野村国語調査官

 それでは,次の「骨子」というところから朗読する。


〔「第3委員会における論議の概要-4」朗読〕

水谷(第3委員会)主査

 Vの「国際化に伴うその他の日本語の問題」は省略されたけれども,これは来年度に論議しようということである。
 全体の骨組みというか,考え方としては,日本人の立場で日本語の世界普及というか,そういう見方ではなくて,地球規模で日本語の可能性をどう考えるかという,そこへは一歩入り込むことができたと思っている。
 それから,記述されている文章の中身そのものは,委員会の中で発言してくださった委員の方々のお言葉を大事にしてまとめてきているので,もしかしたら文脈の上から少し無理をしている印象を与える部分があるかもしれないが,まとめることに努力をしてきているので,もしお気付きのことがあれば,言葉の使い方などについても今日,是非御意見をいただきたいと思う。

清水会長

 時間も余りないけれども,今,水谷主査からお話があったように,読み上げられた中でお気付きの点があれば,どうぞ御自由に御発言をいただきたいと思う。

秋山委員

 大変網羅的にいろいろな観点を提起されていて,立派な案だと思うけれども、一つ,3ぺージからの「世界に向けた情報発信の促進」というところであるが,これはだれにあてた提言なのか,だれにこういう機能を担うことを期待してこの提言を出すのかという具体性がちょっと欠けているような気がした。それ以外の通訳の話とか,学習支援の話とか,それはそれなりにだれにあてた提言なのかということが分かるけれども,今私が申し上げたところは,その辺がちょっと抽象的というか,具体的な担い手のことが書いていないのではないかという気がした。
 もう一点は,やや片仮名が多いのではないかということで,これは何とかならないのかという感じがする。

水谷(第3委員会)主査

 今の3ぺージの下の方のところ,抽象度が全体にちょっと高くなっていて,いろんな意味で,もう少し具体的に記述した方がいいかなという気持ちはあったのだが,スペースの問題があって踏み込まないでいた。その前の2ぺージなどでも,国際的な問題で,英語だけが先走ると,北欧のネズミが何年かに1回海の中へ飛び込んで総心中するという話のように,人類が総心中してしまうぞという話合いもあったが,そこのところは抽象化して書いている。
 今指摘してくださった部分はおっしゃるとおりで,だれにこれをという点は私も今気付いた。先生のお考えでは,これはどう扱ったらいいと思うか,だれに対してこれを期待するとしたらいいとお考えであろうか。

秋山委員

 この場で拝見した限りなので,具体的なアイデアはないけれども,やはりブレークダウンして,それぞれのテーマについてそれぞれの担い手を具体的に検討していく必要があるんじゃないかと思う。

水谷(第3委員会)主査

 三つぐらい,せめて二つでもいいから分けるといいかもしれないと感じた。分けるとすれば,マスコミ関係と情報関係というふうになるだろうか。

井出(第1委員会)主査

 大変感銘を受けて拝聴した。それで,この内容をどのように第1委員会で出していくものと整合性を付けていくのかと思って,頭を悩ましながら聞いていたわけであるけれども,御覧のように,第1委員会,第3委員会は,共に日本人が日本語を話すということを扱っているが,今ここで見る限り,きれいなドッキングができていない状況である。これについて,水谷主査をはじめ第3委員会の方から何かあれば,投げ掛けをいただいて,第1委員会でこれから考えていきたいと思う。

水谷(第3委員会)主査

 第1委員会とぶつかっているところは,一番最後の部分の日本人の言語能力のところだと思うが,これはどこまで第3の方で出すか。内容的には恐らくずれることはないだろうと思うので――と思っているのだが,第1委員会は哲学が違うかもしれないが,多分同じであるとすれば,最後の日本人の言語能力のある部分は,第1委員会の全体の指針の中で述べられてもいいことだと思う。だから,こちらの方から削るという行き方もあるし,報告の出し方としては,両方に重なって出ていてもいい場合もあると思うので,具体的に第1の方でお作りになったときに,あるいはお作りになるところで御相談申し上げればいいかと思うが,どうであろうか。

井出(第1委員会)主査

 ありがとうございました。

浮川委員

 今のお話で,国際化ということと先ほどの敬意表現ということで非常に密接につながるのは,敬意表現の中で,日本の文化とか,いろんな宗教的な,あるいは歴史的な背景があって,海外の異なる文化の方々にはなかなか理解しづらい面が出てくることかと思うのである。これからの日本人の敬意表現,あるいは敬語の使い方ということをまとめるときには,こういうものが日本の文化に根ざしているけれども,海外の人にお話をする場合にはそういう部分はなかなか理解しづらいのでというような一つのまとまりがあればいいと思う。そうすれば,海外の人たちからそのような使い方をされても,なるほど,そうだったなということで,非常に失礼な言い方をする人だなということもなくなるだろうし,また,海外の人とのコミュニケーションを円滑にするということも,報告書の中にそのような内容が盛り込まれていれば,より円滑に多くの人たちが理解し,運用がうまく行くのではないかと思う。

水谷(第3委員会)主査

 今の問題でちょっと気になっていることの一つは,今回の報告には書いてないけれども,我々が,例えば外国人の日本語学習者のことを考えるときに,どちらかと言うと日本人の立場で学習目的や内容を考える傾向があるのではないか。ある段階までの人たちを相手にしてコミュニケーションを実際にするときには,分かりやすく簡単な言葉でするのがいいことは確かである。でも,外国人の立場で,日本人の持っている非常に複雑なもの,あるいは伝統的なものを知ろうと努力している人たちもいるわけで,その人たちに対しては,前提のない,限りのない日本の文化の根深さみたいなものを提供するということも,実は大切なのではないかと思っている。その辺の扱いをどうするかは,余り議論を進めていないが,やっぱり大切なことだと思っている。

清水会長

 まだ御意見がいろいろおありかと思うけれども,更にこのことについては各小委員会で相互の連携も取りながら進めていただきたいと思う。そういった意味で,所属していない委員会にも御出席をちょうだいしたり,御意見をお寄せいただいたりということで進めさせていただければ有り難いと思う。
 最後に,次回の予定について,事務局の方から御連絡をお願いしたい。

鎌田国語課長

 次回の第7回総会であるが,お手元の参考資料にもあるとおり,6月8日(木曜日)午後2時半から4時半まで,同じ東條会館で開催される予定になっている。開催通知については,追って事務局の方からお送り申し上げる。
 また,各委員会の開催予定についても,お手元にあるとおり,第9回,第10回,それぞれの委員会が開催される予定になっている。これらについても追って開催通知をお送りする。

清水会長

 大変短時間であったけれども,いろいろ貴重な御意見をいただきありがとうございました。今後ともよろしくお願い申し上げる。
 それでは,これで総会を終わりたいと思う。

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