国語施策・日本語教育

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T 前文

1 表外漢字の字体問題に関する基本的な認識

(3)常用漢字表の意義と表外漢字字体表の位置付け

 ワープロ等に搭載されているJIS漢字は,第1水準,第2水準合わせて6355字あり,常用漢字表に掲げる1945字の3倍強となっている。ワープロ等の普及によって,これら多数の漢字が簡単に打ち出せるようになった現在,常用漢字表の存在意義がなくなったのではないかという見方もある。
 しかし,このことは一般の社会生活における漢字使用の目安を定めている常用漢字表の意義を損なうものではない。むしろ,簡単に漢字が打ち出されることによって漢字の多用化傾向が強まる中では,「一般の社会生活で用いる場合の,効率的で共通性の高い漢字を収め,分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の目安(「常用漢字表」答申前文)」となる常用漢字表の意義は,かえって高まっていると考えるべきである。
 常用漢字表は「現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安」を示したものであるという趣旨から明らかなように,ある程度の表外漢字使用を想定したものとなっている。今回作成した表外漢字字体表は,この常用漢字表で想定しているような表外漢字について字体の標準を示したものである。一般の文字生活において,常用漢字とともに使われるような比較的使用頻度の高い表外漢字を特定することは,漢字の使用状況を分析することによって可能である。表外漢字字体表に収めた漢字は,前述の漢字出現頻度数調査を基にして,そのような表外漢字を選定したものである。表外漢字字体表によって,印刷文字における印刷標準字体及び簡易慣用字体を定めたことは,表外漢字使用における字体の混乱を軽減し,常用漢字とともに表外漢字を使用していく場合の字体選択のよりどころとなるものである。

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