国語施策・日本語教育

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T 前文

3 字体・書体・字形にかかわる問題とその基本的な考え方

(1)字体・書体・字形について

 字体については,常用漢字表に示されている「字体は文字の骨組みである」という考え方を踏襲する。文字の骨組みとは,ある文字をある文字たらしめている点画の抽象的な構成の在り方のことで,他の文字との弁別にかかわるものである。字体は抽象的な形態上の観念であるから,これを可視的に示そうとすれば,一定のスタイルを持つ具体的な文字として出現させる必要がある。
 この字体の具体化に際し,視覚的な特徴となって現れる一定のスタイルの体系が書体である。例えば,書体の一つである明朝体の場合は,縦画を太く横画を細くして横画の終筆部にウロコという三角形の装飾を付けたスタイルで統一されている。すなわち,現実の文字は,例外なく,骨組みとしての字体を具体的に出現させた書体として存在しているものである。書体には,印刷文字で言えば,明朝体,ゴシック体,正楷(かい)書体,教科書体等がある。
 また,字体,書体のほかに字形という語があるが,これは印刷文字,手書き文字を問わず,目に見える文字の形そのものを総称して言う場合に用いる。総称してというのは,様々なレベルでの文字の形の相違を包括して称するということである。したがって,「諭」と「論」などの文字の違いや「談(明朝体)」と「談(ゴシック体)」などの書体の違いを字形の相違と言うことも可能であるし,同一字体・同一書体であっても生じ得るような微細な違いを字形の相違と言うことも可能である。
 なお,この字体表でいう手書き文字とは,主として,楷書(楷書に近い行書を含む。)で書かれた字形を対象として用いているものである。

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