国語施策・日本語教育

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T 前文

3 字体・書体・字形にかかわる問題とその基本的な考え方

(2)「字体の違い」と「デザインの違い」との関係

 これらについては,表外漢字字体表においても,常用漢字表に示されている以下のような考え方を基本的に踏襲することとした。例えば,表外漢字の「@ぶた」/「Aきょう」などの字形上の違いは,常用漢字表「(付)字体についての解説」の「第1 明朝体活字のデザインについて」で「現在,一般に使用されている各種の明朝体活字(写真植字を含む。)には,同じ字でありながら,微細なところで形の相違の見られるものがある。しかし,それらの相違は,いずれも活字設計上の表現の差,すなわち,デザインの違いに属する事柄であって,字体の違いではないと考えられるものである。」と位置付けられたデザインの違いに該当すると考える。ここで,例として用いた@,Aは上記の「明朝体活字のデザインについて」の中で,@は「接触の位置に関する例」,Aは「「筆押さえ」等の有無に関する例」に当たるものである。
 ただし,現行の各種明朝体字形を検討した結果(『字体・字形差一覧』(平成9年,文化庁)による。),表外漢字における「字体の違い及びデザインの違い」を考えていくには,常用漢字表に掲げられている項目だけではなく,常用漢字と表外漢字とを区別して,表外漢字だけに適用する「デザイン差該当項目」を新たに立てることが,現実的な対応として望ましいだろうと判断した。具体的には,常用漢字表の「明朝体活字のデザインについて」に分類して示されたデザイン差の該当項目に追加するものとして,きばなどの2面目・3画目にかかわるもの」,「「あし」などのと・戸にかかわるもの」,「くう」などのつくりの3画目の縦・横にかかわるもの」及び「「いばら」などの4画目・5画目にかかわるもの」などを立てた。これらは,主として,
@ 字体の定義である「文字の骨組み」という観点から見て,当該の字形差がそれに当たるものであるか否か。
A 手書き字形としてだけでなく,戦前から,活字字形として存在していたものであるか否か。(『明朝体活字字形一覧』(平成11年,文化庁)による。)
B 現在の明朝体字形の実態として,デザイン差と位置付けることが妥当であるか否か。(『字体・字形差一覧』及び『漢字出現頻度数調査』『漢字出現頻度数調査(2)』による。)
 という点から見て特に問題がないと考えたものを掲げたものである。そのために,「きば(4画)/ きばきば(5画)」のように画数の異なるものであっても,「デザイン差」に位置付けたものがある。なお,字体表には,デザイン差とされる字形のうち,その一つを例示字形として示した。
 常用漢字表の「明朝体活字のデザインについて」で取り上げていないデザイン差該当項目は,飽くまで表外漢字だけを対象としたもので,常用漢字に及ぼすものではない。また,ここで示す「デザイン差該当項目」は,現に使われている表外漢字の明朝体字形に対して,印刷標準字体と字体が異なっているとは考えなくてもよいものを示したものである。明朝体字形を新たに作り出す場合に適用し得るデザインの在り方を示したものではない。この点については十分な配慮を望みたい。(詳しくは,「参考」の「表外漢字における字体の違いとデザインの違い」を参照)

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