国語施策・日本語教育

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U日本語の国際化を進めるための方針

 ここで言う「日本語の国際化」とは,世界の中でより多くの人々に日本語の価値が認識され,日本語の使用が広がるという側面と,日本語の使い方が,国際的なコミュニケーションにも一層適したものになるという側面の,二つを併せ持つ概念である。
 日本語の国際化を推進するに当たっては,以下の三つの方針に基づくことが適当である。すなわち,第一に,世界に向けた日本や日本語についての情報及び日本語による情報の発信を促進すること,第二に,日本語学習需要の多様性に応じたきめ細かな日本語学習支援を進めること,第三に,国際的なコミュニケーションに対応するための日本語運用能力の在り方を明らかにし,それを踏まえて日本人自身の運用能力を伸ばすことである。以下,これら3点について述べる。

1 世界に向けた情報発信の促進

(1)世界に向けた多様な情報発信の必要性

 「日本語観国際センサス」によれば,日本や日本人について良いイメージを持っている人の多い国や地域では,日本語に対する良いイメージを持っている人の割合も高い。したがって,日本語の国際的な広がりを実現していくには,日本や日本人についての正確で分かりやすく魅力ある情報を海外に提供することが大切である。このため,国際放送などマスメディアの充実のほか,海外の図書館や資料センターにおける日本語の図書・資料の充実,国際的な情報通信ネットワークにおける日本語による情報の充実などが望まれるところである。
 海外における日本語学習の動機は,仕事上の必要性,就職や受験のため,初等・中等教育における授業,研究者や学生の専攻との関係,あるいは伝統的な日本文化への関心,衣食住にかかわる生活文化への関心,またポピュラー音楽やアニメーションなどの大衆文化への関心など多様である。したがって,海外の様々な人々が必要としている多様な情報を提供する体制が求められる。
 近年の,日本製の漫画やアニメーション,ゲーム機器,服飾デザインなどに対する海外における関心の高まりを考えると,それらが海外の一般の人々に対して日本の存在感を高める大きな働きをしていると言える。したがって,それらを日本文化の一翼を担うものとして,日本語の国際的な広がりを進める上でも有効に活用することが望ましい。また,海外で活躍する日本人には,外国人と日本語との接点を担う立場にあることを意識し,その国における日本語の広がりのために積極的な役割を果たしていくことを期待したい。

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