国語施策・日本語教育

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U日本語の国際化を進めるための方針

2 多様な日本語学習需要に応じたきめ細かな学習支援

(3)国内外を通じた学習支援のための基盤強化

(ア)国内外の日本語教育機関・関係者における連携協力体制の構築
 国内及び海外の日本語教育を,より適切かつ効果的に進めるためには,内外の日本語教育機関や関係者の間で,相互の連携と協力を一層緊密に図っていく必要がある。このため,日本語教育機関の代表者,日本語教育の専門家等による協議を継続的に行うこと,海外の日本語教育関係者を招いてシンポジウムを開催すること,あるいは衛星通信やインターネットを活用して情報交換を行うこと等を通じ,日本語教育の全体的な方向性,日本語教育に関する諸問題,各国の状況に応じた支援の在り方等について,関係者の共通理解を図り,日本語教育の全体像を見渡して,個々の具体的な方針を打ち出していくことが必要である。また,日本語教育の内容・方法の改善に当たっては,日本語研究や国語教育など関連領域との連携を図ることも大切である。

(イ)新しい情報メディアを活用した教育方法等の開発
 国内の様々な地域に居住している外国人や,海外の日本語学習者に対し,新しい情報メディアの活用が,直接的な教授法に代わる,又はこれを補う有効な教授法となることが期待される。このことを踏まえ,衛星通信やインターネット等の新しい情報メディアを活用した日本語教育の,指導内容・方法の開発や教材作成の方法等について,継続的に調査研究を行う必要がある。また,日本語教育機関等が必要とする教材用素材(映像・音声・写真・印刷資料等)を収集・分類し,情報通信ネットワーク上に提供することも積極的に進められるべきである。

(ウ)外国人日本語教育指導者の養成
 前出の国際交流基金の調査(平成10年)によれば,日本語教育上の問題点として,海外の高等教育機関の37%で教師数の不足が,初等・中等教育機関の24%で教師の日本語能力不足が指摘された。海外において充実した日本語教育を行うには,各国で日本語教師が量的・質的に十分に養成される必要がある。そして,そのためには,日本語に熟達し,日本社会や日本文化に精通し,日本語教育指導についての実践的・専門的な理論や技術を有する,日本語教員養成に携わる指導的な教員の存在が不可欠である。
 以上のことから,海外の大学院等における日本語教師養成のための課程を一層充実させることが望まれ,そのための協力を,求めに応じて行っていく必要がある。また,外国人の現職日本語教師等を対象として,上記のような能力や見識を有し,日本語教育の指導的な役割を果たす人材の育成を目指す大学院レベルの教育研究システムを,日本において創設することが早急に求められる。

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