国語施策・日本語教育

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V 国際化に伴うその他の日本語の問題

1 外来語・外国語増加の問題

(3)官公庁・報道機関等における外来語・外国語の取扱いについて

 広く国民一般を対象とする官公庁や報道機関等における外来語・外国語の取扱いに際しては,個々の語の周知度や難度等によって,後の表に示すような取扱いの区分を設けることが考えられよう。
 この表は,現時点で各欄に典型的に該当すると考えられる語例を挙げ,関係各方面の参考に供しようとするものである。各機関等が扱う語や対象とする人は異なっていると考えられ,また,将来新たに問題となる語も生じると予想されることから,各機関等においてはその発行物等に使用する外来語・外国語の取扱いについて,それぞれの立場で判断していくことが必要である。さらに,個々の語の一般社会への定着度は年々変化するため,この表に掲げた語例も各欄に固定して考えられるべきではなく,各時点においてその扱いを判断する必要がある。
 また,施策の名称や,公共の施設や催しの命名に際しては,一般の人々にとっての意味の分かりやすさに十分配慮すべきである。外来語を用いる場合,特に,幾つかの単語を組み合わせた造語は意味の分かりにくいものになりやすいため,注意が必要である。

表: 広く国民一般を対象とする官公庁や報道機関等における外来語・外国語の取扱いについての考え方

分 類 取 扱 い 語  例
T 広く一般的に使われ,国民の間に定着しているとみなせる語 そのまま使用する ストレス
スポーツ
ボランティア
リサイクル
PTA
U 一般への定着が十分でなく,日本語に言い換えた方が分かりやすくなる語 言い換える アカウンタビリティー
 →説明責任 など
イノベーション
 →革新 など
インセンティブ
 →誘因,刺激,報奨金 など
スキーム
 →計画,図式 など
プレゼンス
 →存在,出席 など
ポテンシャル
 →潜在的な力 など
V 一般への定着が十分でなく,分かりやすい言い換え語がない語 必要に応じて,注釈を付すなど,分かりやすくなるよう工夫する アイデンティティー
アプリケーション
デリバティブ
ノーマライゼーション
ハードウェア
バリアフリー

上記U,Vに属する語のうち,ローマ字の頭文字を使った略語については
以下のように扱う

ローマ字の頭文字を使った略語 少なくとも初めて出現する時には,日本語訳(必要に応じて注釈や省略しない形)を付す ASEAN(東南アジア諸国連合)
GDP(国内総生産)
NPO(民間非営利組織)
PL法(製造物責任法)
WTO(世界貿易機関)

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