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文化庁月報
平成23年8月号(No.515)

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連載 「鑑 文化芸術へのいざない」

「空海と密教美術」展 

東京国立博物館学芸企画部博物館教育課教育講座室長 丸山士郎

※会期終了のため作品画像は削除しました

目次

  1. 1 空海−日本密教の祖
  2. 2 入唐求法−密教の受法と唐文化の吸収
  3. 3 密教胎動−神護寺・高野山・東寺
  4. 4 法灯−受け継がれる空海の息吹

 日本に密教をもたらした弘法大師・空海は,「真言の教えは奥深く,文章では表しがたいので図画を用いて人に伝える必要がある」と語っています。造形を重視することを明快に表明するもので,それがゆえに密教では優れた作品が数多く造られました。この展覧会では,長い密教美術の歴史の中でも,空海所縁の作品,あるいは空海と同時代の作品,そして空海の息吹が濃厚に残る時代の作品を中心に,密教美術の名品の数々を4章構成でご紹介します。

第1章 空海−日本密教の祖

国宝 聾瞽指帰 上巻巻頭 空海筆 平安時代・8〜9世紀 和歌山・金剛峯寺蔵 展示期間:上巻 2011年7月20日(水)〜8月21日(日)下巻 2011年8月23日(火)〜9月25日(日)

国宝 聾瞽指帰 上巻巻頭
空海筆 平安時代・8〜9世紀 和歌山・金剛峯寺蔵
展示期間:上巻 2011年7月20日(水)〜8月21日(日)
       下巻 2011年8月23日(火)〜9月25日(日)

 この章では空海の肖像画や事跡を描いた絵巻,そして「聾瞽(ろうこ)指帰(しいき)」という空海24歳の自筆の書など展示し,空海の人となりを紹介します。「聾瞽指帰」は,空海が大学在学中に仏教と出会い,その道に進む決意表明ともいわれ,儒教・道教・仏教の優劣を述べて,仏教が最も優れていることを述べます。内容もさることながら注目していただきたいのは,若々しい力強さと,若者とは思えない格調の高さをあわせもった筆致です。この展覧会では空海自筆の書が5件出品されますが,すべて巻頭から巻末までご覧いただけます。ただし,展示替え[2011年8月23日(火)予定]がありますのでご注意ください。

第2章 入唐(にっとう)求法(ぐほう)−密教の受法と唐文化の吸収

密教(みっきょう)法具(ほうぐ) 空海請来 唐時代・9世紀 京都・東寺(教王護国寺)蔵

国宝 密教(みっきょう)法具(ほうぐ)
空海請来 唐時代・9世紀 京都・東寺(教王護国寺)蔵

 空海は延暦23年(804)に入唐し,2年間で密教のすべてを修得します。帰国すると持ち帰ったものの目録(御請来目録)を朝廷に提出しますが,そこには多くの経典類のほかに,曼荼羅(まんだら)や密教祖師などの絵画,彫刻,法具も記されます。この展覧会では,そのうちの現存するものはすべて出品されます。また,同時代の中国の作品も展示されるので,空海が留学で触れたものの一端を知ることが出来ます。

第3章 密教胎動−神護寺・高野山・東寺

国宝 風信帖 空海筆 平安時代・9世紀 京都・東寺(教王護国寺)蔵 [展示期間:2011年8月23日(火)〜9月25日(日)]

国宝 風信帖
空海筆 平安時代・9世紀 京都・東寺(教王護国寺)蔵
[展示期間:2011年8月23日(火)〜9月25日(日)]

 空海は大同元年(806)に帰国しますが,最初の活動拠点にしたのが神護寺(当時は高雄山寺)でした。そして,弘仁7年(816)年に入定の場として高野山を,弘仁14年(823)に官寺であった東寺を下賜され,密教宣布の場とします。この章では,これら三箇寺に伝わる作品を中心に展示します。

 空海は弘仁3年(812)に,神護寺で人々が密教尊と縁を結ぶ儀式を日本で初めて行います。その時の空海直筆の参加者名簿が「灌頂歴名(かんじょうれきめい)」です。その名簿の筆頭に天台宗を開いた最澄の名前がありますが,「風信帖(ふうしんじょう)」は空海が最澄に当てた書状で,空海の書の中でも最も格調高い筆遣いが見られます。また,日本で最も有名な「書」という字がそこにありますので探してください。

国宝 両界(りょうかい)曼荼羅図(まんだらず)(高雄(たかお)曼荼羅(まんだら)) 金剛界 平安時代・9世紀 京都・神護寺蔵[展示期間:2011年8月2日(火)〜8月15日(月)]

国宝 両界(りょうかい)曼荼羅図(まんだらず)高雄(たかお)曼荼羅(まんだら)) 金剛界
平安時代・9世紀 京都・神護寺蔵
[展示期間:2011年8月2日(火)〜8月15日(月)]

重要文化財 両界(りょうかい)曼荼羅図(まんだらず)(血(ち)曼荼羅(まんだら)) 胎蔵界 平安時代・12世紀 和歌山・金剛峯寺蔵[展示期間:2011年8月16日(火)〜9月4日(日)]

重要文化財 両界(りょうかい)曼荼羅図(まんだらず)()曼荼羅(まんだら)) 胎蔵界
平安時代・12世紀 和歌山・金剛峯寺蔵
[展示期間:2011年8月16日(火)〜9月4日(日)]

 空海は師恵果(けいか)から金剛界と胎蔵界の曼荼羅を授けられますが,高雄曼荼羅は空海の指導の下にそれを写したもので,縦横4メートルを越す大幅です。
 また,平清盛の血を混ぜた絵の具を用いたという血曼荼羅も,空海請来曼荼羅の系統に属します。

国宝 「降三世明王立像(五大明王のうち)」平安時代・承和6年(839) 京都・東寺(教王護国寺)蔵

国宝 「降三世明王立像(五大明王のうち)」
平安時代・承和6年(839) 京都・東寺(教王護国寺)蔵

 さて,この展覧会で特に注目していただきたいのは,東寺講堂の立体曼荼羅の諸像です。21体の尊像が,経典の思想に空海の考えを加えて配置され,承和6年(839)に開眼しました。その中から8体の像が出品され,会場に仏像曼荼羅が出現します。

第4章 法灯−受け継がれる空海の息吹

国宝 阿弥陀如来および両脇侍像 平安時代・仁和4年(888) 京都・仁和寺蔵

国宝 阿弥陀如来および両脇侍像
平安時代・仁和4年(888) 京都・仁和寺蔵

 空海は承和2年(835)に高野山で入定しますが,その思想は弟子たちに受け継がれます。この章では,仁和寺の阿弥陀(あみだ)如来(にょらい)および両脇(りょうきょう)侍像(じぞう),醍醐寺の薬師如来および両脇侍像など,空海の思想の息吹が残る9〜10世紀の作品を中心に密教美術の名品をご覧いただきます。

東京国立博物館

〒110-8712  東京都台東区上野公園13-9

お問い合わせ
03-5777-8600(ハローダイヤル)
交通
JR上野駅公園口・鶯谷駅より徒歩10分,
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅,千代田線根津駅,京成電鉄京成上野駅より徒歩15分
開館時間
9:30〜17:00(入場は閉館30分前まで)
4月から12月までの特別展開催期間中の毎週金曜日は20:00まで開館します。
4月から9月までの土曜,日曜,祝日,休日は18:00まで開館します。
休館日
毎週月曜日(ただし8月15日(月),9月19日(月)は開館)
「空海と密教美術」展
観覧料
一般1,500円(1,300円/1,200円),大学生1,200円(1,000円/900円),
高校生900円(700円/600円),中学生以下無料
※( ) 内は前売り/20名以上の団体料金です。
※障害者とその介護者各1名は無料です。入館の際に障害者手帳等をご提示ください。
ホームページ
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展覧会公式サイト
http://kukai2011.jp/別ウィンドウが開きます

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