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平成25年10月号(No.541)

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文化庁ニュース

平成25年度文化庁日本語教育大会を開催しました

文化庁文化部国語課

 文化庁では,日本語教育に対する理解の増進を図るため,日本語教育大会を開催しています。今年度は8月30日,31日の2日間,昭和女子大学において開催しました。日差しがまぶしい夏日になりましたが,北海道から沖縄まで全国各地から,地方公共団体や国際交流協会職員,日本語教育及び学校教育関係者,日本語支援ボランティア,外国人住民等,多くの方々に参加いただき,盛会のうちに終えることができました。

「地域日本語教育と住民の社会参加−地域における日本語教室の在り方を考える−」

会場は満席となり,補助席にお掛けいただく方も出るなど,外の暑さに負けない程の熱気に包まれました。

会場は満席となり,補助席にお掛けいただく方も出るなど,外の暑さに負けない程の熱気に包まれました。

 文化庁日本語教育大会は広く日本語教育に関わる方々を対象に,日本語教育に関する国の施策や様々な取組の現状についての理解の増進を図り,日本語教育の充実と推進に資することを目的として,昭和51年から毎年開催しています。今年度は,「地域日本語教育と住民の社会参加−地域における日本語教室の在り方を考える−」をテーマに,二日間で延べ645名の参加者を集めました。

 地域の日本語教室は,日本に居住する外国人の方々に生活に必要な日本語や情報を教えるだけでなく,様々な地域の活動への参加を通して多文化共生社会に向けた住民の社会参加の機会を創出しています。今年度の大会のテーマは,日本語を教えることだけではない日本語教室の地域社会における役割や可能性について,「まちづくり」の視点から皆さんと考える機会とするためのものです。

開催挨拶・基調講演で登壇された青柳文化庁長官

開催挨拶・基調講演で登壇された青柳文化庁長官

大会第1日目(1)文化庁長官による講演

 第1日目は,青柳正規文化庁長官による開催挨拶・基調講演から始まりました。文化庁長官による基調講演が行われるのは,大会が始まってから初めてのことです。「ことばと文化」をテーマに,消えゆく言語や変わりゆく言葉を例に,文化の多様性を保つことの大切さについて,長官の豊富な海外経験も交えた講演がなされました。参加者からは,「言葉が失われることは文化の多様性が失われることという言葉が印象に残りました。」「多様性が人類存続の鍵というお話に多文化共生とつながる精神を感じました。」など,大変多くのコメントが寄せられました。

 続いて,文化庁・文部科学省から日本語教育関連施策の説明及び文化審議会国語分科会日本語教育小委員会主査から同委員会の審議状況の説明を行いました。今年は,大会パンフレットのほかに,日本語教育小委員会で取りまとめた「日本語教育の推進に向けた基本的な考え方と論点の整理について(報告)」と,そのパンフレットが配られ,主査からは,今後各関係機関の皆様の積極的な意見交換を期待したいとのお話がありました。また,「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案等の5点セットが完成し,配布されましたが,5点セットの内容を分かりやすく簡潔にまとめたハンドブック(試行版)も合わせて参加者に配布されました。

大会第1日目(2)各地域における日本語教育の取組事例の報告

 さらに,その「カリキュラム案」を活用した取組の事例報告として,平成24年度「生活者としての外国人」のための日本語教育事業の委託先である二つの団体から発表いただきました。地域日本語教育実践プログラムAを委託し,「外国人住民・日本人住民共育ち日本語教育展開事業」を実施いただいた社会福祉法人さぽうとにじゅういちの矢崎理恵さんから「カリキュラム案」を活用し作成した「生活場面切り取り動画」の教材別ウィンドウが開きますの紹介がありました。会場に集まった日本語教育支援者からは,この動画教材を是非活用してみたいとの声が多数聞かれました。
 また,公益財団法人札幌国際プラザの杉本彩さんからは,地域日本語教育実践プログラムBを活用し,外国人住民が地域社会に参加していく上で必要となるエンパワーメントの視点に立った「多文化共生コミュニティ形成のための日本語教育事業」についての報告がありました。地域の日本語教室が多様な関係機関と連携・協力をしながら支援の枠組みづくりを進めていく取組は,「関係機関をつなぐ,人をつなぐ取組は大変参考になった。」「このような事業の活用方法があるのかと驚いた。」など,多数のコメントがありました。

大会第1日目(3)会場のボルテージが最高潮となった熱いパネルディスカッション

パネルディスカッションでは,パネリストも熱く,会場の熱く,あっという間の2時間でした。

パネルディスカッションでは,パネリストも熱く,会場の熱く,あっという間の2時間でした。

 その後,パネルディスカッション「地域日本語教育と住民の社会参加−地域における日本語教室の在り方を考える−」が5人の登壇者により行われました。

 登壇者は,広島県呉市で市民団体ひまわり21の代表として日本語教室から地域に「仕掛けていく」取組を続けている伊藤美智代さん,外国人自助組織を立ち上げ地域の様々な関係機関と連携し活動を続けているNPO法人日本ボリビア人協会の代表,山田ロサリオさん,「多文化共生のまち北九州市」で日本語教育事業に取り組む北九州市総務企画局国際部国際政策課多文化共生係長の福田淳司さん,文化庁の委託を受け「生活者としての外国人」のための日本語教育事業」に関する調査研究の一員として調査に取り組まれた明海大学の西川寛之さん,コミュニティデザインの第一人者であり,現在メディアでも注目を集める株式会社studio-L代表の山崎亮さん。

パネリストの皆様,ありがとうございました!

パネリストの皆様,ありがとうございました!

 まず,この5人のパネリストがそれぞれの立場から「まちづくり」に取り組んできた事例から,日本人・外国人双方の住民の社会参加を促す上で大切にしていることや活動を進める上での難しさ・課題等を語り,それを受けて,ファシリテーターを務めた神吉宇一さんから,「外国人住民が地域社会に参加しようとしないのはなぜなのか。」,「地域の日本語教室は,何をどうつないでいけるか。」,「地域づくりにおいて新住民と旧住民の距離を縮めるにはどうしたらよいか。」など次々に問題提起がなされ,活発な議論となりました。

 住民の地域社会への参加を促していくためには,地域の日本語教室と様々な関係機関をつなぎ,地域を巻き込んでいく仕掛けが必要となり,そこに「コミュニティをデザインする」という視点が参考になることは,新鮮な発見となりました。

 会場からは「コミュニティデザインのお話が聞けて,日本語教育とは違う視点で活動を振り返ることができて,とても新鮮だった。」「テーマ型コミュニティと地縁型コミュニティをどうつなげていくか,まちづくりの新たな課題が見えてきた」など大きな反響がありました。

大会2日目:ワークショップは満席に

     大会2日目は,「生活者としての外国人」のための日本語教育ワークショップとして,
  1. ○第1分科会「「生活者としての外国人」に対する日本語教育の標準的なカリキュラム案とは?−5点セット早分かり!−」,
  2. ○第2分科会「行動・体験中心の活動を考えよう! −教材例集を活用するために−」,
  3. ○第3分科会は「私たちの教室・日本語教育プログラムを点検してみよう!−指導力評価に関するチェックシートを活用してPDCAサイクルを回そう―」
  4.  という三つの分科会を開催しました。
グループワークでは,現場の課題に対してカリキュラム案がどう活用できるか話し合われました。

グループワークでは,現場の課題に対してカリキュラム案がどう活用できるか話し合われました。

 それぞれのワークショップでは,カリキュラム案5点セットを分かりやすく解説するとともに,参加者同士がグループとなり,カリキュラム案の現場での活用方法等について話し合い,意見交換も行われました。カリキュラム案については初めて手に取るという方が過半数でしたが,それぞれの分科会でカリキュラム案について理解を深めていただけたのではないかと思います。

ポスターセッションで作成いただいたポスター例(特定非営利活動法人保見ヶ丘国際交流センター)

ポスターセッションで作成いただいたポスター例(特定非営利活動法人保見ヶ丘国際交流センター)

 その後,平成24年度「生活者としての外国人」のための日本語教育事業の事例発表ポスターセッションを行い,地域日本語教育実践プログラムAは9団体,プログラムBは5団体,合わせて14もの団体に発表を頂きました。参加者は発表者の説明を聞いた後,実際に作成教材を手に取ったり,団体が作成したIT教材を操作したり,発表者と直接やりとりし,積極的に情報交換する様子が見られました。

大会最後の報告会まで大勢の皆様に御参加いただきました。

大会最後の報告会まで大勢の皆様に御参加いただきました。

 二日目の締めくくりに,分科会報告会を行い,それぞれの分科会での検討事項や意見等について全体で共有する場を持ちました。多くの方々に参加いただき,2日間にわたる大会の最後を締めくくることができました。

 大会の詳細・報告はこちらから御覧いただけます
 本大会のパンフレット及び登壇者の発表や報告資料は,文化庁ホームページに掲載しています。また,当日会場にお越しになれなかった方のために,大会の模様を動画で公開しておりますので,是非御覧ください。
 大会に関する問合せは,文化庁国語課03-5253-4111までお願いいたします。

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