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文化庁月報
平成25年10月号(No.541)

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連載 「鑑 文化芸術へのいざない」

国立演芸場11月上席「真打昇進披露」公演について別ウィンドウが開きます

国立演芸場演芸課 寺島栄二

 国立演芸場では毎月1日から20日まで寄席形式の公演を行っています。(通常の寄席興行では,1か月のうち1日から10日までを上席(かみせき),11日から20日までを中席(なかせき),21日から30日までを下席(しもせき)といい,この十日間を区切りとして番組が変わります。)国立演芸場11月上席公演では「真打昇進披露」公演を行います。

「落語」

国立演芸場

国立演芸場

 落語は,日本の代表的な話芸の一つです。主に登場人物の会話のやりとりを中心に話を進め,最後に落ち(サゲともいわれる)をつけるというものです。その話((はなし))の成立時期により,古典落語と新作落語の二つに分ける事ができます。厳密な区分けは難しいのですが,主に江戸時代から明治・大正期頃までに生まれた噺が古典落語と呼ばれ,昭和以降に作られた噺は新作落語と呼ばれています(風俗・生活習慣が激変した昭和の戦前・戦後期を分かれ目とする説もあります)。古典落語の多くは,日常生活を着物で過ごし,多くの人が長屋などに住んでいる舞台設定で物語が進みます。多くの落語家が演じ方に様々な工夫を施しながら時代を超えて話し続けてきたため,同じ噺でも多種多様な展開を楽しむ事ができます。新作落語は,時代背景・登場人物も現代的なものが多く,初めて落語を聴く人でも舞台設定を想像しやすく親しみやすいという特徴があります。しかしながら,江戸時代を舞台にした新しい落語も生まれているので,新作落語=現代と一概に言うことはできませんが,それも落語という芸の多様性を示す一端と言えます。現在,古典落語と呼ばれている(はなし)も,作られた当時は新しい作品であり,また,今新作落語として生まれた(はなし)も,多くの落語家に口演される作品となれば,100年後には「古典落語」と呼ばれるようになるかもしれません。今回の公演の出演者の中には自作の新作落語を得意とする落語家もいますので,その落語の行く末を見守っていくことも,落語の楽しみ方の一つです。

「真打」

 落語家の身分には見習い・前座(ぜんざ)(ふた)ツ目(つめ)真打(しんうち)という区分けがあります(ちなみに現在の上方落語にはこのような区分けは存在しません)。「真打」は身分の中で最も高く,興行の最後の出番(主任=トリ)で出演できる権利を与えられます。また「師匠」と敬称で呼ばれるようになり,弟子を取ることが許されるようになります。その語源に関しては諸説ありますが,江戸時代の室内照明にはろうそくが用いられ,トリで出演した者が最後にろうそくの芯を打ち,火を消して興行を終わらせたことから転じてそのような呼び名になった,というのが通説になっています。落語以外でも,「一番遅く・最後に登場する人」の例えとして使われることがあります。
 最高の身分とは言うものの,真打は最終目標ではなく,あくまで一人前の落語家としての出発地点に過ぎないとも言えます。今回真打に昇進する落語家もそれを自覚し,将来への意気込みを持って高座に上ることと思いますので,その姿を是非応援してください。

主な出演者紹介

三遊亭金朝(後列左)・三遊亭天どん(後列右) 柳家喬志郎(前列左)・金原亭龍馬(前列中央)・川柳つくし(前列右)

三遊亭金朝(後列左)・三遊亭天どん(後列右)
柳家喬志郎(前列左)・金原亭龍馬(前列中央)・川柳つくし(前列右)

 今回,真打昇進披露公演を行うのは一般社団法人落語協会所属の川柳つくし(師匠:川柳川柳),金原亭小駒改メ金原亭龍馬(師匠:金原亭伯楽),三遊亭天どん(師匠:三遊亭円丈),三遊亭金兵衛改メ四代目三遊亭金朝(師匠:三遊亭小金馬),柳家喬四郎改メ柳家喬志郎(師匠:柳家さん喬)の5名です。各師匠・落語協会幹部・各一門の落語家などが出演し,(にぎ)やかに新真打の門出を祝います。また,真打昇進披露の口上も行われます。歌舞伎などのように格式張ったものではなく,寄席の口上は笑いに(あふ)れたものになっております。9月下席の上野鈴本演芸場を皮切りに,新宿末廣亭・浅草演芸ホール・池袋演芸場でも真打昇進披露公演が行われています。各寄席にはそれぞれの雰囲気がありますので,お時間があればそちらへも足をお運びください。

国立演芸場11月上席公演「真打昇進披露」公演

〒102-8656 東京都千代田区隼町4-1

問合せ
【国立劇場チケットセンター】(午前10時〜午後6時)
0570-07-9900,03-3230-3000[PHS・IP電話]
交通
東京メトロ有楽町線・半蔵門線・南北線<永田町駅>出口4から徒歩5分
半蔵門線<半蔵門駅>出口1から徒歩5分
公演日時
11月1日(金)〜10日(日) 13時開演 ※8日(金)のみ13時開演と18時開演の2回公演
観覧料
一般:2,000円 / 学生:1,400円
シルバー(満65歳以上):1,300円 / 小学生1,000円
※障害者の方には割引があります。詳細は上記チケットセンターまで。
ホームページ
http://www.ntj.jac.go.jp/engei.html別ウィンドウが開きます
【インターネット予約・一般券のみ】
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