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文化庁月報
平成25年10月号(No.541)

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連載 「いきいきミュージアム 〜エデュケーションの視点から〜」

こふんの森を冒険しよう!「みよし風土記の丘 DE なぞときアドベンチャー」

広島県立歴史民俗資料館主任学芸員 田邊英男

目次

  1. 1 「こふんの森」を冒険するワークシート
  2. 2 「こふんの森」にはなぞがいっぱい!
  3. 3 自分で考え,互いに発表!

 広島県立歴史民俗資料館は,広島県立みよし風土記の丘という史跡公園の一角にあります。風土記の丘は,約30haの面積に史跡(じょう)楽寺(らくじ)七ツ塚(ななつづか)古墳群と呼ばれる176基もの古墳が密集した「こふんの森」です。昨年度から,この「こふんの森」を冒険しながらなぞを解くワークシート「みよし風土記の丘 DE なぞときアドベンチャー」(以下,「なぞときアドベンチャー」と言います。)を作成し,皆様に無料で配布して楽しんでいただいています。

「こふんの森」を冒険するワークシート

 みよし風土記の丘は,小・中学校の歴史学習による利用が多く,これまでもその学習を支援するワークブックを作成し活用してきました。しかし,歴史をまだ学んでいない子供たちや家族連れの方など,学校の歴史学習以外の目的で来園される方々が圧倒的に多いのが実際です。そこで,そうした方々にも気軽に歴史を学んでいただくことを目的として,「なぞときアドベンチャー」を作成しました。スタート地点を出発して,そこに描かれた地図を頼りに広大な風土記の丘を冒険し,指定された古墳などを発見して,そこに設定されたなぞを自分で解き明かしながら,次第に風土記の丘の奥へと進んでいただく構成になっています。

なぞときアドベンチャー チャレンジコース

なぞときアドベンチャー チャレンジコース

なぞときアドベンチャー ファミリーコース

なぞときアドベンチャー ファミリーコース

「こふんの森」にはなぞがいっぱい!

歩いて古墳の直径を測ろう

歩いて古墳の直径を測ろう

 では,この「こふんの森」にはどのようななぞがあるのでしょうか?「なぞときアドベンチャー」では合計8つのなぞを設定していますが,今回は3つのなぞをご紹介します。
 1 古墳の大きさをはかるナゾ:「1mの物指しを1本しか持っていないとき,古墳の直径をできるだけ正確に求めるにはどうしたらよいか?」というもので,歴史資料を扱った「算数」の問題です。
 2 古墳のまわりのナゾ:「古墳のまわりが,古墳に沿って少しくぼんでいるのはなぜか?」というもので,古墳の構造をしっかりと観察し,その意味について考える問題です。
 3 古墳の平らなところのナゾ:「古墳の中ほどの高さを巡る平らなところ(段)は,何のためにあるのか?」というもので,このなぞも古墳の構造の意味について考える問題です。

一人一人考えて発表

一人一人考えて発表

自分で考え,互いに発表!

 なぞ解きを全て終えると,次は答え合わせです。「なぞときアドベンチャー」に答えは書いてなく,答えが掲示されている場所だけが記されています。答えは,スタート地点付近にある「つどいの家」という休憩所のあちらこちらに分けて掲示されているため,参加者はそこまで戻り,答えを探さなければなりません。なかなか面倒なようですが,実際には楽しんで答えを探していらっしゃる方を多く見かけます。

 また,学校活動や資料館が行なう行事で「なぞときアドベンチャー」を利用する場合は,必ず学芸員が随行して答え合わせを行ないます。その際学芸員は,できるだけ参加者全員から各々の考えを引き出すこと,そして引き出された考えを否定しないことを大切にしています。「参加者が自由に発想し,お互いの考えを発表し合って,どの考えが最も納得できるかを参加者自身が探っていく。」そこに「なぞときアドベンチャー」の意味があると考えているからです。

 参加者の自由な発想が,意外な結果を生み出した一つのエピソードをご紹介しましょう。地元にある小学校の子供たちが「古墳の大きさはかるナゾ」にチャレンジしたとき,子供たちはみんなで話し合ってこんな事を始めました。用意していた1mの物指しを古墳の端の地面に置き,そこから古墳の中心を通って反対側の端まで,何度も物指しを折り返しながら長さを測り始めたのです。私は,「物指しで1歩の歩幅を測り,古墳の周囲を一周した歩数で円周を求め,円周率を使って直径を求める」という方法を想定していました。そして,子供たちの方法では,古墳の斜面に沿って距離を測るため,実際の直径よりもかなり長い値が求められるだろうと思いながら子供たちの様子を見ていました。正式な測量によって求められていた古墳の直径は28.5mです。果たして,子供たちの結果はどうだったでしょう。このとき子供たちが求めた直径は,なんと29.5m!実測値と僅か1mの差だったのです。子供たちは大喜び。見守っていた先生方も驚いていらっしゃいました。傾斜が緩やかな古墳であることなど,いろいろな条件が重なってこうした結果が導かれたのかもしれませんが,子供たちは,自分たちでなぞを解く楽しみや達成感を味わっていました。

 最後に,これまでに「なぞときアドベンチャー」を経験された方々の声を紹介してみましょう。

  1. ★「広い風土記の丘の端まで,楽しみながら冒険することができ,家族で歴史について推理する楽しさを味わうことができました。歴史って面白いですね。」
  2. ★「教科書に載っている大きな古墳には,周りに(ほり)や溝があることは知っていました。しかし,どの古墳にもあることに驚いたし,それが死者の世界と生きている人の世界とを分けるものだったということを初めて知りました。」
  3. ★「古墳の段に埴輪(はにわ)が並べてあったことは知っていました。また,途中に平らな段を設けながら古墳の土を盛り上げることで,崩れにくい古墳を造っていた当時の人々の知恵に感動しました。」

広島県立歴史民俗資料館

〒729-6216 広島県三次市小田幸町122

問合せ
0824-66-2881
開館時間
9:00〜17:00(入場は閉館30分前まで)
休館日
毎週月曜日(祝日の場合は開館)
観覧料
常設展 :一般 200円(160円), 大学生 150円(120円),高校生以下は無料
特別企画展 :一般 500円(400円), 高・大学生 380円(300円),小・中学生 250円(200円)
※( )は20名以上の団体料金
※65才以上は常設展無料,障害者手帳をお持ちの方は常設展無料
ホームページ
http://www.manabi.pref.hiroshima.lg.jp/rekimin/別ウィンドウが開きます

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