放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム(第2回)

日時:令和2年9月18日(金)

17:00~19:00

場所:文部科学省16F2会議室

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    • (1)権利者からのヒアリングについて
    • (2)今後の検討の進め方及び主な論点について
    • (3)その他
  3. 閉会

配布資料一覧

資料1-1
日本音楽著作権協会(JASRAC)御発表資料(380KB)
資料1-2
NexTone御発表資料(457KB)
資料1-3
日本映像ソフト協会(JVA)御発表資料(674.5KB)
資料1-4
日本映画製作者連盟御発表資料(123.4KB)
資料1-5
日本脚本家連盟御発表資料(339.2KB)
資料1-6
日本シナリオ作家協会御発表資料(262.8KB)
資料1-7
日本文藝家協会御発表資料(138.9KB)
資料1-8
日本新聞協会御発表資料(228.4KB)
資料1-9
日本写真著作権協会御発表資料(113.6KB)
資料1-10
日本美術著作権連合御発表資料(106.2KB)
資料1-11
日本漫画家協会御発表資料(341.2KB)
資料1-12
日本書籍出版協会,日本雑誌協会御発表資料(236.5KB)
資料1-13
日本芸能実演家団体協議会・著作隣接権センター(CPRA)御発表資料(1.2MB)
資料1-14
映像コンテンツ権利処理機構(aRma)御発表資料(1.1MB)
資料1-15
日本レコード協会御発表資料(388.9KB)
資料1-16
日本音楽出版社協会(MPA)御発表資料(1.2MB)
資料1-17
インディペンデント・レコード協会(IRMA)御発表資料(187.8KB)
資料1-18
日本ネットクリエイター協会(JNCA)御発表資料(551.1KB)
資料2
今後の検討の進め方及び主な論点について(たたき台)(217.9KB)
資料3
放送の同時配信等に関する諸外国の制度概要(328KB)
参考資料1
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム委員名簿(209.1KB)
参考資料2
放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチームにおける審議スケジュールのイメージ(193.5KB)
参考資料3
「放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化」に関する検討に当たっての基本方針(令和2年9月4日 放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム)(183.7KB)
参考資料4
第1回放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム(令和2年9月4日)における意見の概要(211.9KB)
参考資料5-1
総務省提出資料(「同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する放送事業者の要望取りまとめ」概要)(211.3KB)
参考資料5-2
総務省提出資料(放送のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関する放送事業者の要望取りまとめ)(別紙を含む)(599.9KB)
参考資料6-1
放送事業者(NHK及び民放在京キー局等)からの要望に関する現行制度等の状況について(第1回WT資料5-1を微修正)(220.1KB)
参考資料6-2
参照条文(229KB)
参考資料7-1
放送コンテンツ等に関する権利処理の円滑化と権利者への適切な対価還元に係る諸外国の著作権制度及びライセンシング環境に関する調査研究【概要】(1MB)
参考資料7-2
放送コンテンツ等に関する権利処理の円滑化と権利者への適切な対価還元に係る諸外国の著作権制度及びライセンシング環境に関する調査研究【報告書】(2.2MB)
参考資料8
ヒアリング出席者一覧(220.3KB)

議事内容

【末吉座長】ただいまから,文化審議会著作権分科会基本政策小委員会「放送番組のインターネット同時配信等に係る権利処理の円滑化に関するワーキングチーム」第2回を開催いたします。

本日は,新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため,基本的に委員の皆様にはウェブ会議システムを利用して御参加いただいております。御多忙の中,御出席いただきまして誠にありがとうございます。

議事に入る前に本日の会議の公開につきましては,予定されている議事内容を参照しますと,特段非公開とするには及ばないと思われますので,既に傍聴者の方々には,インターネットを通じた生配信によって傍聴していただいているところですが,特に御異議はございませんでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【末吉座長】では,本日,公開ということで,傍聴者の方々にはそのまま傍聴いただくことといたします。傍聴される方々におかれましては,会議の様子を録音,録画することは,どうか御遠慮くださいますよう,お願い申し上げます。

まず,事務局より配付資料の確認をお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】お手元の議事次第に記載の配布資料の一覧を御覧いただきたいと思います。本日は,権利者団体からのヒアリングを行う予定でございまして,資料1-1から1-18までが,関係団体から御提出いただいている資料でございます。また,資料2として,「今後の検討の進め方及び主な論点について(たたき台)」と題する資料,資料3として,「放送の同時配信等に関する諸外国の制度概要」をおつけしております。参考資料については紹介を割愛いたしますが,議論に必要な資料を幅広くおつけしております。事前にお送りしている資料に不備などがございましたら,御指摘いただければと思います。

【末吉座長】ありがとうございます。

それでは,議事に入ります。初めに,議事の段取りにつきまして,確認しておきたいと思います。本日の議事は,(1)権利者からのヒアリングについて,(2)今後の検討の進め方及び主な論点について,(3)その他の3点となります。

早速議事に入りたいと思います。まずは,議事(1)権利者からのヒアリングについてです。前回は,総務省より放送事業者の要望内容を御説明いただくとともに,ヒアリングを通じて,日本放送協会や民法在京キー局5社から御意見・御要望等を幅広くお聞きしたところです。今回は,権利者側からのヒアリングを通じ,契約の実態や制度の見直しについての御意見・御懸念事項等を幅広くお聞きしたいと思います。

本日は,著作権や隣接権に関係する権利者団体として18団体の皆様にお越しいただいております。本日御対応いただく団体の一覧は,参考資料8を御覧ください。流れといたしましては,まず18団体の皆様に順番に発表いただき,その後まとめて質疑応答の時間を設けたいと思います。御発表時間につきましては,事前に事務局より5分程度ということでお願いしているかと存じますが,どうか円滑な議事進行に御協力を賜れれば幸いでございます。

初めに日本音楽著作権協会様,お願いいたします。

【日本音楽著作権協会(宇佐美氏)】日本音楽著作権協会JASRACの宇佐美と申します。よろしくお願いいたします。お送りしておりますスライド資料を参考に,お尋ねいただいている事項も含めて御説明いたします。

スライド番号1のJASRACの管理する権利の範囲につきましては,管理する支分権を確認する意味で掲載しております。既に御承知のことと存じますので,時間の都合上,御説明は割愛させていただきます。

スライド番号2のJASRACの著作権管理の概要を御覧いただきたいと思います。JASRACでは,国内の著作者1万5,000名余り,3,000社余りの音楽出版者と信託契約を締結し,海外96か国,4地域で合計125の外国団体と管理契約を締結しております。管理楽曲数としては,私どもの作品データベースJ-WIDでインターネット上に公開している分だけで約440万曲となります。

集中管理のカバー率をお聞きになりたいということですが,JASRACが管理していない著作者の数,つまり分母がちょっと分かりかねる部分がありますので,カバー率というのは一概には言えないかなと思っております。

また,今回課題の一つとされております外国曲のシンクロ権につきましては,この図の左端の緑の部分にあります外国の音楽出版者OP,オリジナルパブリッシャーでございますが,こちらが指図権を留保した状態で,日本における管理権限を日本の音楽出版者に付与されていて,その音楽出版者が,それを信託契約によってJASRACが管理するという流れになっております。つまり,どのような使用料であれば許諾してよいかという点については,JASRACでも日本の音楽出版者でもなく,本国のOPが決定権を持っているということになります。

スライド番号3の支分権・利用形態の区分を御覧いただきたいと思います。信託契約を締結してJASRACに著作権の管理を委託する場合には,その委託の範囲を選んでいただくことができます。具体的には,この表にあります管理委託契約約款の別表第1,丸1から丸11までの区分を掲げております。この区分ごとに管理委託の範囲から除外するかどうかを選んでいただく仕組みにしております。

著作権法上の定義との関係で言いますと,この青枠の放送・有線放送は,著作権法上の放送と有線放送に対応する部分ということになります。赤枠の丸10,インタラクティブ配信については,著作権法上の自動公衆送信に対応する部分という形になります。したがいまして,インターネットを利用した同時配信は,このインタラクティブ配信の区分に含まれるということになります。

同時配信等に関する集中管理の有無につきましては,JASRACでは,この利用区分に従って管理しているということになります。JASRACと信託契約を締結している信託者が,この区分に従って権利を預けているのであれば,放送であっても同時配信であっても集中管理を行います。

放送を許諾しつつ同時配信を許諾しないことがあるかどうかという御質問がありました。この図のとおり,両方の権利を預かっていれば,それぞれの利用区分に従って許諾しますし,どちらか一方であれば,その部分しか許諾できないということになります。

また,外国曲を収録した動画コンテンツを配信する場合は,コンテンツ制作に係る複製について,この緑枠で囲った丸6のビデオグラムへの配信に該当いたします。外国曲につきましては,先ほど御説明しましたとおり,シンクロ権に係る指図権を外国の音楽出版者OP,オリジナルパブリッシャーが利用していますので,この区分がJASRACに委託されているとしても直ちに許諾できるわけではなく,国内の音楽出版者を経由して,使用料について本国のOPの意向を事前に確認しなければならないというのが,基本的なルールになります。したがいまして,シンクロ権を包括的に許諾処理できるスキームというのは,事実上存在していないということになります。

スライド番号4の放送事業者との包括利用許諾契約を御覧いただきたい。こちらが放送事業者との許諾契約の実態ということになります。JASRACが管理する音楽著作物については,JASRACと放送事業者との間で包括的な利用許諾契約を締結することで,円滑な権利処理を実現しています。具体的には,使用料の支払いと,利用された全ての楽曲の報告を条件に,管理楽曲の利用を許諾しているということになります。

なお,御承知のとおり日本の放送においては,日本特有の事情によって,外国曲であっても,先ほど御説明したシンクロ権の処理を意識せずに使っていただける状況がございます。その上で,この右側の真ん中の赤枠の部分にありますとおり,許諾契約に含める利用については,放送と放送のための録音だけでなく,それら以外の利用についても,放送事業者の性質とか利用の規模に応じて,あるいは特段の事情があればそのことも勘案して,協議で合意したものを含めているということになります。

ただし,見逃し配信とか先行配信なども含めて,放送と同等でないビデオオンデマンドとしてのサービスにつきましては,放送の枠を超えた配信であるという考えは変わりありません。かつて放送番組のインターネット配信については,2004年に経団連において,放送事業者と権利者を含めたブロードバンドコンテンツ流通研究会において合意した経緯もございます。

また,配信と放送とで権利処理が別となれば,利用曲目報告の負担が大きいとの御意見もあるようですけれども,放送においても配信においても,報告作業を支援するツールというものを提供させていただいておりますし,フィンガープリント技術を活用した方法も実用化し,今後に向けた拡張も検討しております。したがいまして,利用曲目報告につきましては,許諾契約に基づく運用の範囲で対応できる事柄であると認識しております。

スライド番号5の,営利を目的としない公の伝達につきましては,補足資料を添付しておりますので,ここでは説明を割愛させていただきます。補足資料を御覧いただくことで御説明に代えさせていただきたいと思います。

御説明は以上になります。ありがとうございました。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて,株式会社NexTone様,よろしくお願いいたします。

【NexTone(荒川氏)】株式会社NexToneの荒川と申します。私どもは,今JASRACさんから御発言いただいておりましたとおり,音楽の著作権に関する管理業務というものを,JASRACさんは信託という形ですが,我々は委託契約,委任の取次ぎという契約に基づいて管理を実施しておる企業でございます。

今回の御説明に当たりまして,基本的な枠組み等に関しましては,JASRACさんより御発言があるということを前提にいたしまして,大きなスキームに関しても全く変わらないので,そこのところは大きく割愛させていただきます。今回のワーキングチームの中で,こういう観点について触れてほしいという事務局からの依頼がありましたペーパーに基づいて,その論点のみに絞ってお話をさせていただきたいと思っております。

スライド番号1の丸1というところです。我々の現状の同時配信等に関する集中管理の有無ということに関しましては,JASRACさんの先ほどのスライド番号3番にありました,支分権利用形態の区分と全く同じように,放送とインタラクティブ配信というところの管理をしております。

ちなみに御参考までに,今,我々が全体で管理している作品というのが,約18万曲ございます。放送に関して管理をしている作品がそのうちの約60%,配信に関して管理している作品が94%,その両区分に関して管理をしている作品が約54%というような形で,著作権の管理を行っています。このような形で行っておりますので,放送と配信ということが同時に行われるという利用のお申入れに対して,一括許諾を行うということは原則として考えておりませんし,そのような実態はございません。

次のペーパーです。放送事業者との契約の実態はどのようになっておりますかというところでいきますと,放送と配信というところで,放送局さんからお申し出いただいている中で,個別に常に協議を行っております。その中で,複数社,放送に関する契約のほかに,インタラクティブ配信のところの契約をしているというところで,並行して契約しているケースというのが幾つかございます。それ以外の放送事業者さん,利用者団体さんとの間では,同時再送信,それからオンデマンドというところも含めて,どのように取り扱っていくか協議を続けているというところであります。

基本的なスタンスとしては,我々はもちろん一切それに対してノーを言うということではなく,原則許諾させていただいた上で,この後の実態を鑑みて,きっちりと議論を積み重ねていきましょうというお話を常にさせていただき,そういうスタンスでやっております。

続いてのページです。放送を許諾しているけれども,同時配信を許諾しないようなケースというのはあるやなしやということに関しては,今の御説明と重複いたしますけれども,原則として許諾しないということはもちろん考えておりませんが,細かな,例えば利用割合の算出が必要なのではないかであるとか,利用実績報告をどのようにするべきなのかというようなことに関しての協議を続けているという形になります。

次の2番目の放送事業者さんからの要望事項に対する意見ということです。基本的に第1回ワーキングチームの議論の中の資料に基づくところでお話をさせていただきます。一括処理を実現することが不可欠であると考えているというところに関しましては,やはり一括処理をするということによって,何らか権利の切下げと思われるような扱いがあるのであれば,それは基本的には承服しかねるというところがありますが,そういうところも含め,議論を続けていくということが大切なんだろうなと思っております。ここの中の放送5者協議のような場を設けて統一ルールをということです。

2015年2月から,当時JASRAC,イーライセンス,ジャパン・ライツ・クリアランス,民放連,NHKの5者で,放送における利用割合の算出方法を議論し,統一ルールを決定しました。対しての利用実態をどのように……。当時は,要は3団体管理事業者あったわけなんですが,そこの中でどうやって権利処理をしていくかというルールづくりをするための場というものがありました。今回の同時配信に関しましても,同じような場面をつくるということが大事なんじゃないかなと思っております。

これ以降,②,③,④とございますけれども,これも基本的には同じスタンスであります。やはり議論を積み重ねていくということが大事だと思っております。

私からは以上です。

【末吉座長】ありがとうございました。

日本映像ソフト協会様,よろしくお願いいたします。

【日本映像ソフト協会(酒井氏)】日本映像ソフト協会の酒井と申します。本日は,意見を申し述べる機会をいただきまして,誠にありがとうございます。早速ですが,意見を申し述べさせていただきます。

昨今,著作権制度が事業活動の円滑化を妨げているとして,規制緩和の観点から著作権制度の見直しが主張されていることがあります。しかし,規制というのは,権力的に私人の活動を規律し,または公の義務を課す作用を言うと思われますので,ベルヌ条約等の多国間条約で普遍化された私権を定めた著作権制度は,有体物についての所有権等を定めた法令と同様に規制には当たらず,それが事業活動の妨げになるとしても,原則として私的自治により解決されるべきものと考えております。したがいまして,著作権法の1条の定める目的にのっとって御審議いただくことを,まず御要望申し上げます。

以下,本日のヒアリング事項について,意見を申し述べます。

まず,集中管理・放送事業者との契約の実態についてです。放送事業者との契約は,放送と同時配信等を両方許諾する場合と,放送のみを許諾する場合があるようです。放送のみを許諾して同時配信等を許諾しない場合の理由ですが,インターネット配信については,他の事業者との間で独占的ライセンス契約を締結しているような場合,経営戦略としてインターネット配信を許諾しない場合,それからインターネット配信の許諾条件が折り合わない場合といったような場合があろうかと思います。

放送は利用主体が放送事業者に限定され,送信先は放送対象地域に限定され,表現を享受し得るのは放送している時間に限定されていますが,インターネット配信では,利用主体も送信先も表現を享受できる時間も無限定ですから,両者の利用態様には大きな相違があるためです。

放送事業者からの要望事項についての意見でございます。まず対象とすべきサービスの範囲についてでございます。今回の検討対象は,放送対象区域の制限のない同時配信,追っかけ配信,見逃し配信ですから,放送とは利用態様が大きく異なります。したがいまして,契約自由の原則に基づくライセンス契約によるとされている現行制度を維持すべきと考えます。

次に,権利制限規定の見直しでございます。今申し上げましたように,放送とは利用形態が大きく異なりますので,個々の規定ごとに見直しが必要かどうかを精査していただきたいと思います。特に著作権法38条3項につきましては,これがインターネット配信に適用されるようになると,例えば図書館の視聴覚ルーム等,非営利・無料・無報酬の3要件を充足する場合には,大画面のスクリーン等を用いて公衆伝達ができることになりますし,通常の家庭用受信装置を用いる場合には,例えばカラオケボックス等は営利目的で料金を徴収しても公衆伝達できることになります。このような利用を権利制限の対象とすることについては,反対でございます。

著作権法38条3項の非営利・無料・無報酬の3要件を定めた前段でございますが,同じ3要件で権利制限を定めている上映権がございます。その上映権の権利制限規定である38条1項につきましては,2003年1月の文化審議会著作権分科会審議経過報告で,ベルヌ条約上の義務との関係から問題があると,内外の関係者から指摘されていることが述べられ,その対象となる行為の範囲を見直すことが必要であると思われると結論づけています。

いまだこの法改正が実現されていないというのは遺憾ではございますけれど,著作権法38条3項前段もこの3要件で公衆伝達権を制限していますので,放送だけではなく,自動公衆送信を受信して行う公衆伝達にこの規定を適用するとすれば,同様の問題が生じると思われます。したがいまして,その適用対象とすべきではないと考えます。

また,38条3項後段は,通常の家庭用受信装置を用いることで公衆伝達を制限していますが,その根拠として,放送の場合には,それを受信して公衆伝達するという社会的実態があるということと,そのために,そこに権利を及ぼすと社会的・心理的な抵抗が強いことが通常挙げられているかと思います。しかし,自動公衆送信を受信して公衆伝達することにつきましては,これまで権利制限の対象とされておりませんので,この放送の場合の根拠は当てはまるとは思われません。したがいまして,自動公衆送信につきまして,38条3項後段を適用すべきではないと考えます。

以上です。御清聴ありがとうございました。

【末吉座長】ありがとうございました。

続きまして日本映画製作者連盟様,よろしくお願いいたします。

【日本映画製作者連盟(華頂氏)】日本映画製作者連盟,4番目の華頂でございます。本日は,このような発言の機会をいただきまして,ありがとうございます。それでは,御用意いたしました資料に沿いまして,映画に関係する事項について御説明させていただきます。

1ポツの集中管理・放送事業者との契約の実態のうち,資料上Aとしていますが,放送事業者との契約の実態でございます。従前より,放送利用に関しましては,映画本篇・部分使用とも使用料の発生を条件に利用許諾を行っております。これに同時配信等の付加を希望する場合は,ここの記載にありますとおり,放送と配信ではビジネスモデルが異なるため,別途追加の使用料が発生するというのが映画製作者の基本的な考え方でございます。ちなみに,映画本篇の使用に関しましては,地上波では同時配信までまだ許諾したケースはありませんが,BS放送に関しては,同時配信及び見逃し配信を個別の権利処理に基づいて許諾したケースがございます。

次に,Bの放送を許諾しつつ,同時配信等を許諾しなかった場合の理由でございます。1点目として,当然のことながら使用料に関して双方の合意が得られなかった場合。また,オンラインにおける権利侵害防止対策の一環として,許諾できないケースがあります。これについては,一律にというわけではなく,作品によっても異なると思いますが,個社の経営判断によります。

続きまして,2ポツの放送事業者さんからの要望事項に対する意見でございます。資料4-1の1の中から,映画製作者に関係いたします御要望として,丸2の借用素材の権利処理の円滑化。いわゆる部分使用でございます。繰り返しになりますが,放送と配信ではビジネスモデルが異なるため,別途追加の使用料が発生するというのが,映画製作者の基本的な考え方です。なお,権利処理に関しましては,放送に加えて同時配信等を追加する場合は,事前に意思表示していただいた上で使用料の算定を行いますので,実務につきましては映画製作者が一括で行います。

次に,飛びまして丸8,全体的な権利処理の作業負荷の軽減でございます。今申し上げましたとおり,本篇・部分使用とも,事前に一括で対応できるよう配慮いたします。

続きまして,対象となるサービスの範囲についての考え方でございます。まず,同時配信,追っかけ配信,見逃し配信についてですが,サービスごとの許諾が必要であると考えます。加えまして,追っかけ配信,見逃し配信については時間の異なる異時配信でありますので,本件同時配信等の議論に関しましては,まずは同時配信に絞って検討することが望ましいと考えます。配信形態につきましては,ストリーミング形式に限定することを望みます。ダウンロード形式に関しては,そのようなサービスが開始された場合に,別途の許諾によって行われるものと考えます。

同時配信等に係る対価徴収の可否,有料サービスの取扱いにつきましては,有料サービスが行われる場合は,当然のことながら権利許諾報酬に反映されるビジネスモデルとして捉えたいと考えています。

現行権利制限規定の見直しに関して,個々の規定ごとの取扱いについては,特に意見はございません。

最後になりますが,裁定制度に関しましては,補償金供託免除の対象拡大,それから相当な努力の要件緩和は非常に望ましいものと考えます。

以上が,本件に関する映画製作者の基本的な考え方でございます。映画製作者といたしましても,小委員会の資料にもございますように,放送番組の同時配信につきましては,高品質なコンテンツの視聴機会を拡大させるものでありまして,視聴者の利便性の向上,コンテンツ産業の振興といった観点から非常に重要な取組であると認識しておりますので,引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

続きまして,日本脚本家連盟様,よろしくお願いいたします。

【日本脚本家連盟(金子氏)】日本脚本家連盟の金子と申します。

集中管理・放送事業者との契約の実態についてですが,集中管理のカバー率が約53%。これは,2017年度に地上波放送及び衛星放送(BS放送)で放送されたドラマ,劇場用映画及びアニメーション等の脚本家延べ人数から算出した割合です。

次に同時配信等に関する集中管理の有無です。これは,あります。管理をしているんですね。当連盟は,著作権者から放送と同時同時配信等を分けずに,公衆送信権として著作権の信託を受けています。ただし,放送用脚本の初放送を除きます。理由は後で述べさせていただきます。

次に,放送事業者との契約の実態です。放送に関する契約と同時配信等に関する契約をしております。放送を許諾しつつ,同時配信等を許諾しないということはありません。ただし,著作権等管理事業法第16条に規定されている正当な理由がある場合には,その限りではありません。

2番目,放送事業者からの要望事項に対する意見についてです。資料4-1①,放送のみ許される権利制限等の同時配信等への適用。おおむね理解できますが,放送と同じくするとの要望の趣旨からして,同時配信に限るべきであり,追っかけ再生や見逃し配信等は対象とすべきではないと考えます。

続いて資料4-1③,アウトサイダーへの対応です。「初回放送の許諾と支払いは作家本人と交渉,配信は権利者団体と交渉と,別々の権利処理を行う必要が生じる」(資料4-2・別紙1・9ページ・脚本)についての私どもの意見としては,脚本の場合,当連盟と放送事業者が締結する中小企業等協同組合法による団体協約によって,放送事業者が脚本家に脚本の執筆を委嘱します。この団体協約にのっとり,執筆料と初回放送分の著作物使用料を合わせた脚本料が,放送事業者から脚本家に支払われます。当連盟が信託を受ける公衆送信権から放送用脚本の初放送を除いているのはそのためです。また,当連盟がそのような団体協約に頼らざるを得ないのは,放送事業者の上記要望のニュアンスからも明らかなように,個々の脚本家への委嘱の段階で,著作権を囲い込もうとする動きから脚本家を擁護するためです。なお,初回放送以外は,放送,配信とも当連盟が管理しております。

次に,「無論,管理事業者に属さないアウトサイダーの脚本家も多数存在するため,仮に管理事業者との取決めができた場合でも,別の態様の協議・権利処理を行う場合は残ると思われる」(資料4-2・別紙1・9ページ・脚本)についての意見です。脚本に関し,アウトサイダーの問題は,特に民放局において,放送事業者に起因する問題でもあります。放送事業者が,当連盟入会希望者に対して圧力をかけて加入を阻止することは,後を絶ちません。

また,初放送以外は当連盟が管理窓口となることから,当連盟員への脚本執筆の委嘱を避けることや,今後は当連盟員に発注しないとの放送事業者の言動は日常茶飯です。そのような放送事業者の姿勢が改められない限り,集中管理は進みません。

その他の点について意見を申し上げます。まず,同時配信等の範囲についてです。追っかけ再生や見逃し配信等は,同じ情報を同じタイミングで受けるサービスではないことは明らかであり,同時配信等として包含するようなものではありません。そもそも放送との同時性,放送対象地域との同一性及び放送内容の同一性を問わないとしたら,他の動画配信サービスと何が違うのでしょうか。

下の表の①有線放送による同時放送及び②自動公衆送信による同時配信における利用態様,地域,内容の条件は,いずれも放送事業者が同時放送・同時配信を行う事業者に対して,同時放送・同時配信を許諾する際の条件としているものです。同時配信等の範囲については,有線放送による同時放送及び自動公衆送信による同時配信とも比較して検討すべきだと考えます。

次に海賊版についてです。連盟としては,現に海賊版はインターネット上にあふれており,放送事業者が公式に同時配信等を行ったとしても,大きな抑止力になることは期待できません。プロバイダあるいは海賊版へのマネタイズに関わる広告主の責任の強化も同時に行うべきだと考えます。海賊版の駆逐なくして,民放局の同時配信の成功はないとも思います。

最後に権利処理主体について。民放局が同時配信を行う場合の権利処理は,権利処理の複雑化が招く未処理問題や,制作会社による脚本の著作権囲い込みを防止するためにも,同時配信の実施状況や収入を把握可能な,当該配信を行う放送事業者自らが,責任をもって行うことを強く要望いたします。以上です。

【末吉座長】ありがとうございました。

続きまして,日本シナリオ作家協会様,よろしくお願いいたします。

【日本シナリオ作家協会(関氏)】よろしくお願いします。日本シナリオ作家協会の関と申します。

まず,1,集中管理・放送事業者との契約の実態についてです。集中管理のカバー率は,放送に関しては,2015年度の(聴取不能)17%です。5年前のデータですが,現在も脚本家の会員数は変わりませんので,カバー率に大きな変化はないと思います。

同時配信等に関する集中管理については,放送と同時配信等の利用の区分に関しましは,利用者からの利用申請受付を分けて行っています。利用形態ですとか使用料率の違いがあるためです。ただし申請を同時に行うことは可能です。

続いて,放送事業者との放送と配信に関する契約の実態です。こちらの資料にもございますとおり,NHKさん,それから民放在京キー局さんともに,放送と配信に関する取決めはございます。

放送を許諾しつつ,同時配信等を許諾しないかについては,原則ございません。

2,放送事業者からの要望事項に対する御意見についてです。

まず資料4-1の丸1に関しては,権利処理の円滑化を図るのであれば,同時配信については,放送と同内容に見直すことが望ましいと当協会では考えております。

また,丸2についても,先ほど申し上げましたとおり,放送利用の権利処理の際,同時配信利用についても,同時に実質一括処理することで円滑化を図ることができますので,制度的な課題として見直す必要はないのではないかと考えております。

丸3についても,脚本分野においてもアウトサイダーへの制度的対応は必要だと考えております。

丸8,先ほど申し上げましたとおり,脚本分野においては,放送と同時配信の一括権利処理等で対応できる部分が多いので,制度改正の必要性は低いと考えます。

対象とするサービスの範囲です。具体的な期間,配信形態,同時配信等に係る対価徴収の可否については,民放テレビ事業者が同時配信を実施するに当たっては,今年度から開始したNHKプラスの実績を踏まえた上で,同等の取扱いをするべきだと考えます。

見逃し配信については,既にNHKプラス,TVerで運用されていますが,既存の動画配信サービスと共通する部分がかなり多いと思います。現在,両サービスは放送の補完との位置づけであることから,低廉な使用料としていますが,本来は,動画配信サービスに準じた使用料を別途徴収するべきだと考えております。

実施主体につきましては,放送事業者以外が同時配信を実施することについては問題ございませんが,権利処理の円滑化ですとか,権利処理の実施の確実性などの観点から,放送事業者が権利処理の実施主体となることが望ましいと考えております。

ラジオ,衛星放送,有線放送については,既に放送事業者との間で利用条件,使用料を事前に取り決めた上で,おおむね同時配信等が運用されてございますので,こちらも制度的対応は不要だと考えております。

現行権利制限規定の見直しに関してです。こちらも先ほど申し上げましたとおり,脚本分野に関しては,同時配信については放送と同内容に見直すことが望ましいと考えます。

その他,本課題に関する意見としては,こちらは殊さら申し上げるまでもございませんが,権利処理の円滑化については,権利者の利益が不当に害されることがないよう,十分考慮した上で体制を整備していただきたいと思います。資料にも例を挙げましたが,例えば買取りというようなことが脚本の分野では起きております。権利者の利益を守りつつという原則をくれぐれも踏まえた上で,今後の議論を進めていただきたいと思います。

また,先日NHKさんから,インターネットの活用業務実施基準の改定素案が発表されましたが,ネット事業を拡大するのであれば,当然現在のように同時配信を放送の補完と位置づけることなく,放送から独立した媒体として取り扱うべきだと当協会では考えております。NHKプラスにおいては,現在,想定されるごく少ない利用者数に応じた暫定的な低い使用料で運営しておりますが,今後,本格的に稼働するのであれば,これに見合った利用率を取り決めるべきだと考えております。また,仮に民法テレビ事業者で同時配信を実施した場合においても,同様に対応したいところでございます。

発表は以上になります。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて,日本文藝家協会様,よろしくお願いいたします。

【日本文藝家協会(長尾氏)】資料にございますように,教育関係での著作権使用がある数を母数として,カバー率は33%。そのうち公衆送信の御委託がないのは10%程度になっております。放送事業者等の同時配信の契約は,NHK,在京民放5社とそれぞれ覚書を既に交わしております。今後もこの形で進めていこうと存じます。

放送を許諾し,配信を許諾しないという例は,今のところございません。

うちは信託ではなくて委託なので,都度,権利者の方に諾否を取っております。

2,放送事業者からの要望事項に対しての御意見。①,現行の契約を放送同時配信を前提とした契約に改める方針を9月の理事会で立ました。許諾も申請も放送と配信を一括して処理し,お互いの事務の利便性を図ろうという計画でございます。

②,アウトサイダーが約70%いらっしゃるのですが,できる限り委託契約をしていただくよう御案内は出しております。また,委託契約がない場合でも,多くの著作権者の連絡先を把握しておりますので,事業者さんからの申請の転送は,現在でも可能でございます。多くの出版契約は,原作使用などの二次使用を出版社に委託する内容になっています。原作使用が原作書籍の売上に直結することから,出版社は原作使用の権利処理は積極的にしていらっしゃると思うので,そんなに御不便はないのではないかと実は考えております。

③,対象とするサービスの範囲は,申請時にその時点で考えられる範囲を明記していただければ,別途協議で進める方針でございます。同時配信と見逃し配信その他が同じというのは,ほかの団体様と同じように,それは違うでしょうと理事会でも意見が出たところです。

④,現在放送事業者を3段階に分けて,著作権使用料を設定しております。この間のヒアリングのときに総務省の方から,ローカル局の配信の場合,公衆送信は地域限定ではなくという御意見がありました。現在の著作権使用料の設定ではこれは読めなくなりますので,放送事業者さんとの著作権使用料に関する協議は必要ですし,そちらのほうで御意見をまとめていただきたいと存じます。

⑤,当事者間の契約を尊重することを前提にしつつ,新たな法整備に際しては,実は不必要であろうというのが理事会の大きな意見でございました。もし法整備をしなければならないとすると,権利制限はとんでもないのですけれども,詳細に個別具体的な条文を入れると,技術の進歩に法整備は必ずや追いつかないので,お互いに利便性の著しく低い縛りが生じることが明らかです。条文作成をしなければならないとしたら,そのときには文言に対して御熟考を願いたいところです。

⑥,裁定制度は,放送,同時配信に限らず,簡素化が急務であろうと思います。ほかの件でも裁定制度では非常に高いハードルがあって,使い便利が悪いというお話がよく出てまいります。裁定申請から供託金支払いまで,できるところからで結構ですので,速やかに電子化に取り組むべきであろうと存じます。

文藝家協会からは以上です。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて,日本新聞協会様,よろしくお願いいたします。

【日本新聞協会(山下氏)】新聞協会の山下です。

まず,契約の実態については,新聞に掲載された記事・写真等を利用する場合には,基本的に個別に利用申請を出してもらい,許諾料を支払っていただきます。新聞社ごとに,放送用の料金,ネット同時配信用の料金,オンデマンド配信用の料金などを別々に定めており,利用する範囲によって料金が決まる場合が多いと思われます。

放送は許諾するが,同時配信は許諾しない場合。これは,記事・写真の著作権が社外のものである場合などには,社外の方の意向により配信での利用をお断りするケースが発生するものと考えます。以下のような例があります。紙面掲載オーケー,ネットは不可の条件がついている提供写真。裁判の傍聴希望の列など,ネットにもアップされた写真で,後ほど削除依頼の来た写真。芸能関係では,所属事務所によりネット配信をNGとする場合もある。

権利制限等の適用ですが,著作権法39条時事問題に関する論説の転載に関しては,意見があります。新聞協会の見解では,時事問題の論説への権利制限については,自由で民主的な社会において欠くことのできない言論の自由を尊重する立場から,公共的利益のために,本来ならば完全に著作権の保護を受けるべき時事問題に関する論説の転載を認めたものであり,あくまでも各種メディアが報道的な対応において利用する場合にのみ許容されているものと解されるとしております。

また,ここで言う論説とは,原則的には新聞の論評記事の中でも特に社説を指すものとしております。さらに,著作権法第39条には,これらの利用を禁止する旨の表示がある場合はこの限りではないと,ただし書もついております。

時事問題など権利制限の同時配信等への適用に当たっては,上記の事情を十分にくみ取って検討いただくようにお願いいたします。

丸2,借用素材の権利処理の円滑化についてです。各新聞社では,先ほど言いましたが利用用途による料金表を備えていますので,放送への利用許諾申請の際に同時配信等への利用申請も同時に行っていただければ,申請する側の作業負担を増やすことなく利用いただけるものと考えます。また,配信の許諾の可否については,申請いただいた時点で明確にできると考えております。

作業負荷の軽減についてです。新聞記事などの利用については,放送と同時配信とで異なる権利処理方法が求められるというケースはほとんどないものと考えます。したがいまして,作業負担の増大の懸念はないものと考えております。

サービスの範囲,同時配信,追っかけ配信,見逃し配信などが問われておりますが,オンデマンド配信については,利用できる期間が長くなれば使用料も増えていくという設定が,今のところ多いと思います。長期利用については,一定期間で再許諾という場合もあります。したがいまして,一度,許諾してしまえば永続的なネット利用ができるというケースは少ないようです。改定に当たりましても,期間に応じた柔軟な料金設定が可能となるような施策を要望します。

実施の主体です。放送事業者に利用許諾した記事が他業態の事業者に知らない間に使われるようなことはないと思いますが,他業態の事業者に配信利用されるような事態は避けるべきであると考えます。

配信の形態です。違法な蓄積・再配信・二次利用などを防ぐためには,ダウンロード形式は避けるべきであろうと考えます。

対価徴収についてです。新聞社が定める使用料が,有料サービスの利用については別料金となる場合があり得ます。同時配信の許諾を得るときに,有料サービスにも使うというなどの情報をきちんと開示していただいて,適切な使用料を支払うべきだと考えております。

ラジオ,衛星放送,有線放送などの扱いです。これについても,利用する媒体を全て開示していただいて,利用の申請をしていただくと。これが肝要と考えております。

新たな法整備の際の留意事項です。今まで述べてきた新聞からの利用については,利用するコンテンツと利用する媒体を全てきちんと申請していただいて,使用料を支払っていただくというのが基本です。これを一度に申請していただければ,申請する方々の作業負担を増大させるものとは思えません。許諾推定規定などは不要だと考えております。

以上でした。ありがとうございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて日本写真著作権協会様,よろしくお願いいたします。

すいません。通信環境が切断したようなので,ちょっと順番を変えさせていただきます。

日本美術著作権連合様,いかがでしょうか。お願いします。

【日本美術著作権連合(しばはら氏)】日本美術著作権連合のしばはらと申します。本日のヒアリングにお呼びいただいて,ありがとうございます。今日の発表は私がやることになりましたので,よろしくお願いいたします。では,意見を述べさせていただきます。

初めに,集中管理・放送事業者との契約の実態についてです。美術の作品では,事前に許諾申請を受け,申請に応じて諾否や使用料の回答を行います。その際,全国放送や地方放送の区別,再放送の予定なども併せて使用申請をしていただきますので,通常は,放送は許諾するが同時配信は許諾しないということはあり得ません。契約によって問題なく行われています。

放送事業者からの要望事項に対する意見についてです。丸1番,放送のみに許可される権利制限などの同時配信などへの適用については,当連盟としましては,特に反対はいたしません。しかし,当然,権利制限に向けたその条件や補償金などの話が持たれるものと考えております。

丸2番,借用素材の権利処理の円滑化については,番組制作に当たり,借用著作物の個々の著作物の利用許諾を受けるのは当然だと考えます。その上,同時配信などについても許諾を受けることができるのですから,美術の著作物の借用素材については,これ以上権利処理を円滑化すべき項目はありません。

発表は以上です。ありがとうございました。

【末吉座長】ありがとうございました。

続きまして,日本漫画家協会様,いかがでございましょうか。

【日本漫画家協会(千葉氏)】日本漫画家協会,千葉と申します。当協会,日本漫画家協会は,会員数2,000人強の公益社団法人で,漫画家唯一の公益社団法人という職能団体です。

集中管理のカバー率等々について記載はしていないんですけれども,実は管理事業者の申請が通ったのが今年に入ってからですので,カバー率については0%と回答させてください。ただ,著作権管理団体の一員として発言の機会をいただいて,感謝申し上げます。

その上では,放送という媒体では,漫画というのはアニメーションという動画の媒体がありまして,二次的な契約関係になりますので,直接的な関係性がございません。意見書の中では,大筋の対象とするサービスの範囲,総論のところの同時配信等の範囲についてのみ言及させていただきました。

意見書は読んでいただければいいと思いますが,大きく2つ,やっぱりコンテンツは利用されて初めて価値が生まれるので,利用の便利さはとても重要だと思います。例えば許諾権を,報酬請求とか補償金とかの制度に移行できるものについては移行してもいいのではないかというふうには思います。

一方では,利用に一定の制限を設けて付加価値をつけているコンテンツ等が当然ありますので,そういったところに足かせになるような法改正は慎重になってくださいと。

あとは総論としては,個別の契約でかなりフレキシブルに対応可能だと我々も思っていますので,そもそもが法制化が必要かどうかということも踏まえて,ゼロベースで検討していただければありがたいかなと思います。

当協会からは以上です。

【末吉座長】ありがとうございました。

それではすいません。戻りまして,日本写真著作権協会様,お願いいたします。

【日本写真著作権協会(瀬尾氏)】私から簡単に御説明させていただきます。

まず,写真分野については,放送に関しての集中管理は行われておりません。ほとんどの場合,放送で使われる場合は,アフロさんとかアマナイメージズさんといったフィルムライブラリーの写真が使われていることが多いと聞いております。また,そういう場合については,最初の契約の段階で,同時送信についても契約することが可能という話も聞いておりますので,基本的には,著作権等管理事業者がいない状態であっても大きな不満がないという状況ではないかと,業界としては考えています。

放送事業者さんからの要望事項に関する意見です。今,素人の方,いわゆるアマチュアの方とか一般市民の方からの写真というものも使われる場合があると聞いております。こういった場合には,後々の権利処理をすることというのは現実的には不可能ですし,集中管理をする対象としても非常に難しいものだと言えるかと思います。

こういった一般の方からの写真について権利処理をするということについては,やはりこれはオーファンワークスとして扱っていただいて,裁定制度の活用をすることが望ましいのではないかと考えています。そういった意味から,裁定制度の改善,もしくは使いやすくするような工夫というのは必要ではないかと感じております。

ただ,全体的に大きな制度として網をかけてしまうと,先ほどのように契約で成り立っているフォトライブラリーさんたち,また,そこに預けている写真家たちについて不利益を生じる可能性があると考えておりますので,特段の制度的な変更についての必要性というのは,写真分野としては認められないのではないかと。ただし,先ほどのような個人ベースの場合には,裁定制度の拡充によって対応することが望ましいのではないかと考えています。

全体的に見て,大きな放送の同時送信に関しての不具合や権利処理の難しさというのについては,特段,現行制度で問題がないのではないかと思っております。以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて日本書籍出版協会様,日本雑誌協会様,よろしくお願いいたします。

【日本書籍出版協会(新井氏)】日本書籍出版協会の新井でございます。今日は,日本雑誌協会,日本書籍出版協会の合同の意見として,この場で発表させていただきます。

まず,集中管理・放送事業者との契約の実態についてであります。私どもは集中管理団体ではございませんので,集中管理に関するお話に関しては割愛させていただきたいと思います。

次に,放送事業者との契約の実態です。出版社が管理する著作物の場合,それが原作として放送に用いられる場合はもちろんのこと,放送の中で朗読やその他一部利用される場合でも,通常,事前に放送局から出版社に使用許諾申請がなされ,放送局と協議の上で最終的にその諾否及び使用料が決定されています。これは,出版契約によって私どもが委任を受けているもの,また,職務著作のため自社で著作権を持っているものについても同様でございます。

放送局との協議の際には,その利用内容,全国放送ですとか地方放送,また再放送のあるなし,そういった細かい利用の実態に関して,検討の前提事項となっております。その上で利用料等が決定されています。そこの範囲を広げて同時配信等に用いるのであれば,最初からその協議の際に併せて申請されれば,許諾することが可能でございます。したがって,同時配信等を行うことによって,特に新たな許諾,申請手続が発生するものではないと,私どもは理解しております。

なおかつ個々の権利者において,放送を許諾しながら,同時配信を許諾しないケースということは,ほぼ考えられないというふうにも認識しております。

放送事業者からの要望事項に対する御意見についてということです。まず,放送のみに許される権利制限等の同時配信等への適用です。同時配信等に限定して,放送のみ許される権利制限等を適用することについては,特に反対いたしません。同時配信以外の自動公衆送信については,慎重に検討されなければならないと考えております。

次に,借用素材の権利処理の円滑化でございます。放送における出版物に含まれる著作物の利用は,著作者人格権に抵触する場合が多々ございます。これは,例えば小説を原作としてドラマ化するといった場合には,小説そのものが使用されるわけではなく,必ずそこに改変というものが入ってまいります。ここで著作者人格権に抵触する可能性はございますので,私どもはふだんより放送局と密に協議を重ねて,こういったものの許諾を行っております。ということから,実態として,これは集中管理というものはなかなかなじみにくいのではないかと考えております。

映画や図表等の著作物を放送番組で利用する際も利用態様が様々でありますので,その都度個々に協議し,利用許諾を受け,利用料を決定していただくのは当然のことであると考えており,現在そのように運用されている実態もございますので,そこを遵守していただきたいと思います。

なお,手続そのものについては,同時に手続が可能だと考えておりますので,新たな権利制限等を求めることについては反対させていただきます。

裁定制度についてです。1点,民法系キー局から,補償金の事前許諾の免除について,NHKと同様にということがございます。しかしながら,民間企業であります民放局においては,常に倒産等の危険性が伴うものですから,NHKと同列に扱えないことは明白であります。また放送事業者以外の利用者にも同様の負担を負っていただいており,放送事業者を特別に取り扱うことについては,慎重に検討されなければならないと考えております。

同時配信等の範囲についてです。見逃し期間を長くして,放送事業者以外が主体となって実施し,有料サービスとして実施するなど,同時配信等の役割を大きくするならば,それに応じて追加されるべき利用料も加算されるべきだと考えております。

最後に,前回の同時配信等の範囲についてとかぶってきますが,従前の著作物の利用に加えて新たな利用が加わるならば,従前の許諾料にその利用分の許諾料が加算されるのは当然であると考えております。現状,放送の補完ということで,なかなか利用料の加算というのがなされていないような実態もありますけれども,許諾料の増額をきちんと行っていただけるよう,各局にはお願いしたいと思っております。

長谷部さんから何か。

【日本雑誌協会(長谷部氏)】ありがとうございました。特に私からはございません。以上でございます。

【日本書籍出版協会(新井氏)】以上です。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて,日本芸能実演家団体協議会・著作隣接権センター様,よろしくお願いいたします。

【日本芸能実演家団体協議会・著作隣接権センター(椎名氏)】芸団協CPRAの椎名と申します。資料1-13を使って御説明したいと思います。

同時配信等におけるレコード実演の権利処理についてということで御説明させていただきます。スライドの2ページに発表要旨をまとめておりまして,詳細な説明は3ページ以降ということです。

まず,3ページでございます。放送番組に使用されたレコード実演については,同時配信はもちろん,見逃し配信を含むオンデマンド配信についても広く集中管理されております。既にNHKとも個別の利用許諾申請を要さない包括的な利用許諾契約を締結しております。民放さんについては,同時配信を本格実施するのか,ビジネス的な判断をまだされておりませんので,包括契約の締結には至っておりませんが,本格実施される際には,芸団協CPRAとしては,包括契約を締結する用意がございます。音楽は,比較的高度な集中化が進んでいるカテゴリーでございます。放送番組に使用されるレコード実演の同時配信等については,既に円滑な権利処理が実現しております。

4ページです。既に円滑な権利処理が実現している以上,特段の制度的な手当ては必要ないものと認識しております。

権利者団体に属さない権利者について,権利制限の上,補償金請求権を与えるなど,制度的な手当ての可能性が言及されているようですが,仮にそのような措置を講じる場合にも,実演家に適切な対価が支払われない事態が生じないように十分配慮する必要があると思っております。

また,同時配信等の権利処理円滑化が検討されておりますが,WPPTにおけるレコードの公衆への伝達に該当する利用としての報酬請求権の対象となる同時配信と,利用可能化に該当する利用として許諾権の対象となる見逃し配信などは,全く性質の異なる利用であります。これらはしっかりと区別して検討していただきたいと思います。

その一方で,レコードの同時配信を含むウェブキャスティングに許諾権が適用されていることの妥当性については,検討の余地があるのではないかと考えております。この点については,スライドの5ページを御参照いただきたいのですが,我が国は,ウェブキャスティングはWCT及びWPPT上の利用可能化権が適用されるとの解釈を前提として,平成9年の著作権法改正によって送信可能化権を導入し,ウェブキャスティンも許諾権が適用されることになったものと認識しております。

しかしながら,昨今の文化庁さんの説明資料などを拝見しますと,現在では,ウェブキャスティングは利用可能化ではなく,WPPT第15条の公衆への伝達に該当するという解釈が示されております。ウェブキャスティングに適用される権利に関する重要な条約の解釈を変更したのであれば,その権利の在り方を見直すべきではないかと思っております。そして,見直しの結果,仮に制度的な課題が確認された場合には,これを解消する措置を講じるべきではないかと考えております。

実演家の立場としては,放送とは異なり,許諾権が適用された結果,同時配信以外のウェブキャスティングにおけるレコード利用について,広範な集中管理と実演家への公平な対価の還元が実現していないことが制度的な課題であると認識しております。このような問題も踏まえまして,ウェブキャスティングも視野に入れた検討をお進めいただきたいと,ここに改めて要望して発表を終わりたいと思います。

毎度の資料で恐縮なんですが,巻末には,海外での状況と我が国との比較に関する資料等を添付してありますので,御覧いただければと思います。

CPRAとしては,以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて映像コンテンツ権利処理機構様,よろしくお願いいたします。

【映像コンテンツ権利処理機構(椎名氏)】引き続きまして,映像コンテンツ権利処理機構aRmaとしての御説明をしたいと思います。資料1-14を御覧いただきたいと思います。本日は,aRmaの中井理事が発表する予定でしたが,急な所用で出席できなくなりましたため,私のほうで引き続き御説明させていただきます。

映像実演に関しましても,スライドの2ページに,本日の要旨ということで4項目まとめております。

まず,3ページになります。映像実演の場合,放送事業者は,番組制作における出演契約時に,同時配信等の権利処理に関する直接の交渉機会を有します。したがって,出演契約時に放送の許諾と併せて同時配信等の許諾を得ることで,円滑な権利処理が可能となっております。既にNHKプラスにおいても円滑な権利処理が実現しているものと認識しております。

しばしば実演家が許諾を出さないから同時配信ができないという批判を耳にするわけですが,これは誤りでございます。あくまで適正な対価の支払いがあれば同時配信等も許諾するというのが,実演家側の基本的なスタンスでございます。事実,第1回のワーキングチームにおいても,NHK様から,権利者から明確に配信NGとされたケースはほとんどない旨の発言があったと思います。また,aRmaでは,テレビ放送番組の同時配信はもちろん,見逃し配信やオンデマンド配信についても包括的な集中処理スキームを構築しておりまして,放送事業者さんはこれを活用することも可能でございます。

aRmaでの集中管理のカバー率でございますが,非一任型も含めて約90%ということです。何か資料を拝見しますと,カバー率が低いという御意見もあったようですが,実際は90%をカバーしているということでございます。したがいまして,同時配信等については,既にaRmaによる集中管理や出演契約によって円滑な権利処理が実現しております。

また,4ページを御覧いただきたいと思います。既に円滑な権利処理が実現している以上,基本的に制度的な手当てを行う必要はないと考えております。音楽実演と比べまして,映像実演に関しましては,ビジネス戦略上,露出のコントロールの重要性が指摘されるところであります。この点,許諾権が重要なツールになっていることは,ぜひ御理解いただく必要があると思います。

また,仮に制度的な手当てを講じる場合にも,実演家に適切な対価が支払われるということは必須であります。本ワーキングチームは,あくまで権利処理円滑化の議論を行うもので,対価切下げの議論を行うものではないということを明確にした上で検討していただきたいと思っております。

一方で,出演契約等の交渉において,基本的に実演家側の立場が弱いため,同時配信等の許諾を含め,実演家側が一方的に不利な契約を押しつけられる事態にならないか。この点は非常に強く懸念しております。

次に,個別の課題ということで少し言及したいと思います。スライド5ページを御覧ください。権利者団体に属さない実演家への対応については,例えば集中管理のカバー率をさらに高める方策や,権利者団体に属さない実演家に係る権利情報の集約化について,検討の余地があると思っております。

不明権利者の問題は,ECLなどということも出てきておりますが,ぜひaRmaを活用していただくことを視野に入れた,例えば裁定制度のバリエーション,改善等を検討すべきものと考えております。

また,基本的に制度的な手当ては不要という認識ではありますが,リピート放送の同時配信に係る実演家からの許諾取得については,現行制度上で対応が困難であるという事実が確認された場合には,追加的な支払いを前提とした法定許諾,あるいは強制許諾制度の導入ということも検討する余地があるのではないかと思います。

最後に6ページでございます。その他として幾つかまとめております。その最たるものとして,外部制作会社が制作する放送番組について,これがテレビ映画などと称されて,二次利用の対価が実演家に支払われないというケースがあるという問題がございます。この問題については,何年か前の文化庁の調査研究においても取り上げられまして,必ずしも法の要請に基づくものではないという解釈もあったようでございますが,我々にとっては非常に大きな課題となっているということを申し上げておきたいと思います。

資料の最後には,aRmaにおける集中管理と許諾実績に関する資料を添付してございますので,これも併せて御覧いただければと思います。

aRmaからは以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて,日本レコード協会様,よろしくお願いします。

【日本レコード協会(高杉氏)】レコード協会の高杉です。資料1-15を御覧ください。本日は,発言の機会をいただきまして,ありがとうございます。

1ページ目を御覧ください。意見の概要でございます。こちらにありますとおり,レコードを用いた放送番組の同時配信及びオンデマンド配信につきましては,2006年10月から既に集中管理事業を行っております。NHK,民放等の放送番組のインターネット配信は安定的に行われているものと理解しております。したがって,今後も集中管理体制の一層の充実を図ることによって,放送局と権利者双方の利益に資する形が取れればと思っております。

また,著作権法上,同時配信等を放送と同等に取り扱うことにつきましては,特に慎重な検討が必要と考えております。既にある契約実務とか既存のライセンス市場に悪影響を与えないよう,十分な配慮が必要と考えております。

2ページを御覧ください。レコードの利用に関する放送事業者との契約の実態でございます。細かい説明は省略いたしますけれども,NHKさんとの契約につきましては,放送それからオンデマンド配信,同時配信を合わせた包括契約を締結済みでございます。民放テレビ局さんとも,放送とオンデマンド配信を合わせた包括契約を締結済みでございます。このように,放送と同時配信等でレコード製作者の権利は異なっておりますけれども,既に集中管理体制が整っておりまして,かつ放送の契約と併せてワンストップの契約ができる形となっております。

3ページは,送信可能化に関する徴収の実績の推移でございますので,御覧いただければと思います。

4ページ,レコードの私どもの管理受託の状況でございます。レコード協会で今,管理を受託しているレコード製作者の数でございますけれども,745社でございます。私どもの会員だけではなくて,後ほど御説明があると思いますが,ほかのレコード製作者の団体,合わせて5団体の会員レコード製作者,それから団体に加盟していないレコード製作者37社,合わせまして745社から委託を受けております。この745社全てが,放送とインターネットでの配信の権利を併せて委託しているということでございます。

カバー率につきましては,正式に調べたものはございませんけれども,2018年の総務省さんの報告書に掲載されているNHKさんの過去の調査では,レコード協会が管理していると思われるのが87%,管理していないと確認されたものが3.7%,9%は確認できていないということです。これを参考にしますと,大体90%ぐらいが私どもの管理率ではないかと考えております。

次のページを御覧いただきたいと思います。著作権法上の個別の課題に対する私どもの考え方でございます。こちらにありますとおり,同時配信等につきましては,視聴可能エリアとか視聴可能者数が異なっておりますので,放送とはやはり権利者に与える影響は異なると,基本的に認識しております。

今回放送事業者さんが出された要望書を見ますと,視聴環境の多様化やグローバル化に対応したインターネット配信の強化を目的とすると書かれておりました。追っかけ配信,見逃し配信はあくまでオンデマンド配信でありますので,同時配信とは明確に区別した上で議論してほしいとともに,放送事業者さんと競合する動画配信事業者さんとの公平な競争環境の確保も十分留意すべきではないかと考えております。

また,2006年の著作権法の改正におきまして,地上デジタル放送の難視聴地域における伝走路として,IPマルチキャスト放送を活用することを目的とした改正が行われております。今回の要望と併せて,その目的とか改正の必要性の違いに十分留意する必要があるのではないかと考えております。

各論でございますが,6ページでございます。今回の対象とすべき放送サービスの範囲でございます。今回要望がある放送事業者さん,それから2006年の法改正とのバランスを考えますと,基幹放送事業者の行う無料テレビ放送の同時配信に限定すべきではないかと考えております。

権利制限規定の見直しの部分で,私どもに関係する44条につきましては,放送でのレコード使用の契約に合わせて複製権のライセンスも出しておりますので,契約での手当てが十分可能であると考えております。

7ページでございます。非委託者への対応ということで,これがいわゆるアウトサイダーの問題であります。先ほど申しましたとおり,アウトサイダーの割合はそれほど多くないと認識しておりますし,また,放送局でアウトサイダーのレコードを安心してできるように,既に契約上の手当ても実施しております。

したがいまして,特段法的な措置は必要ないものと認識しておりますけれども,仮にいわゆるアウトサイダーのレコード製作者の権利を補償金請求権にするとした場合には,他のレコード製作者と同等の使用料が得られるべきだと考えておりますので,その補償金請求権は,通常の使用料の額に相当するものである必要があると考えます。この場合の権利行使の枠組みですけれども,最終的にそのアウトサイダーは,集中管理に移行するという認識を持っておりますので,その集中管理の枠組みに誘導する観点からは,補償金請求権の行使について,指定団体制度を導入する必要はないものと考えております。

また,前回のワーキングチームを傍聴させていただきましたけれども,放送局さんのほうではアウトサイダー対策を求める一方で,しかしアウトサイダーに対して追加の使用料は支払う意向はないということを発言されていたと思います。そうであるとすれば,補償金請求権にすること自体,私どもは反対せざるを得ないと考えております。

裁定制度でございます。手続の簡素化とか必要な改善をすること自体は賛成でございますけれども,レコードについては67条の裁定制度の利用実績はほとんどなく,10年間に1件です。68条については,著作権についても全く利用がないということを考えますと,隣接権に準用する必要性があるのかどうか,疑問であります。

なお,裁定制度の準用については,前回提出されましたローカル局のアンケート結果に基づくものと思われますが,当該アンケートにおける同時配信等の中には,VODも入っておりますので,同時配信等の「等」の意味が,このアンケート結果と今議論している内容とは違うんじゃないかと認識しております。

最後に著作権法上の課題以外の対応ということで,専属解放問題がございます。これにつきまして8ページでございますけれども,既に2010年3月に知財戦略本部の会合によりまして,NHK,民放連,レコード協会が参加の上で,見逃し配信についてのガイドラインを決めております。したがって,この見逃し配信のガイドラインを同時配信に適用することが可能であろうと考えております。

最後,9ページでございます。権利処理の作業負荷の軽減のためには,第一には,やはり放送の契約と一体となった包括契約を推進していくということ,それから,データベースの充実など,権利情報を正確に把握できる環境の整備に引き続き努めていきたいと思っております。

私からは以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて,日本音楽出版社協会様,お願いいたします。

【日本音楽出版社協会(高嶋氏)】日本音楽出版社協会MPAの高嶋です。MPAでは,音楽出版社の団体ということで,著作権に関わる団体と見られがちですが,音楽出版社が原盤製作にも携わっているということで,レコード製作者としての著作隣接権に関わる団体でもあります。2つの権利に関わる団体です。詳しくは,お手元の資料を御覧ください。それでは,意見を発表させていただきます。

MPAでは,レコード協会が2006年10月以降実施している「放送番組のストリーミング配信」の集中管理事業に関して,レコード協会からの協力要請を受け,MPAもこの要請に対し賛同し,協力することとし,「一任型」での委任を行っております。

これは,音楽デジタルビジネスを権利でひもとくのではなく,ビジネスとしてひもとくことにより,また,事業者や利用者が容易に利用できる環境体制をつくることにより,このビジネスに関わる権利者,利用者,事業者の全ての当事者が,ウィン・ウィン・ウィンの関係が成立するとの考えによるものです。さらにレコード協会では,集中管理事業の範囲を順次拡大しており,MPAもその都度,「一任型」で協力し,委任をしております。

放送事業者の方々は,アウトサイダーについての個別権利処理,クレーム等の懸念等を御心配されているようですが,民放連,NHKとレコード協会との間で締結されている「海外番販,ネット配信を含む包括契約」の中で,第三者からの異議申立て等については,レコード協会とそれぞれ放送事業者が協力して問題解決するという合意事項があり,この点について考えると特に問題はないと考えております。

「放送番組のインターネット同時配信等に関わる権利処理の円滑化に関するワーキングチーム」の目的や審議スケジュールを見ますと,非常に時間のない中で結論を求められているように思えます。そうであれば,今優先されるべきは,総務省が令和2年9月4日に作成された「放送コンテンツの同時配信等における権利処理円滑化に関する放送事業者の要望取りまとめ」に記載の「現行の著作権法上の制度的な課題について,検討が必要な事項」についての検討のみを行うべきではないかと思います。

「楽曲の支分権管理に関わる放送と同時配信等の一括処理」についてですが,まずは著作権等管理事業法の制定の目的を考えていただきたいと思います。著作権等管理事業者が複数存在することにより,まさに各支分権や利用区分ごとの使用料について,適正な競争状態を生んでおります。権利者であるMPA会員の音楽出版社は,著作者との間で著作権契約書を締結し,譲渡された音楽著作物をJASRACやNexToneに信託譲渡または委任していますが,どちらの管理事業者にするかは,その著作物の特性を考えて,より効果的な管理をしていただける事業者を選択しています。実務的にもMPAが窓口となって,会員社と両管理事業者との間で定期的に情報交換等を行っており,非常に強い信頼関係が築かれており,トラブル等が発生したということも聞いておりません。

複数の管理事業者が存在することは,他方,音楽著作物を使用する放送事業者にとっても,適正な使用料を支払う体制が確保されているというウィン・ウィンの関係が成立する形となっていることとなり,管理事業者は,放送事業者との間で包括許諾契約や支援ツールの提供をはじめとして,前向きな対応や協議を行っていると聞いております。

最後に,「外国曲のシンクロ権に関わる包括処理推進」についてです。これは非常にセンシティブな案件でございます。この権利は海外のOPに留保されており,これは先ほどのJASRACの宇佐美様のお話にもありましたように,日本国内のSPである音楽出版社は権利として持っておらず,JASRACやNexToneには,信託譲渡または委任もされていないものです。シンクロ権の処理が必要な場合は,SPである音楽出版社を経由して,海外のOPに許諾をその都度取る必要がございます。

現在は,著作権等管理事業者を含めた許諾のスキームが成立しておりますが,今回の外国曲のシンクロ権に関わる包括処理推進について,権利者不在のまま新たなルールを決めようとするなど対応を間違えますと,いたずらにOPを刺激することとなり,現行ルールでの対応ができている部分についても,より厳しい条件が提示されるなどの影響が出てしまう可能性もあり,SPである音楽出版社を会員に持つMPAとしては,大変心配しております。以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

続いて,インディペンデント・レコード協会様,よろしくお願いいたします。

(インターネット回線不調)

【末吉座長】ちょっと順番を変えて,先に日本ネットクリエイター協会様,お願いします。

【日本ネットクリエイター協会(仁平氏)】日本ネットクリエイター協会の仁平氏です。よろしくお願いいたします。

資料を見ていただきまして,最初のページに,割とネットかいわいでは同時配信という言葉がいろいろなところで使われるので,改めてちょっと明記させていただきました。今回の話としましては,放送された番組の同時配信と追いかけ配信,そして見逃し再生という,この3つについて。見逃し再生については,当然制限なんかもつくんでしょうけれども,その辺りの3つについて,お話をさせていただきたいと思います。

次のページにネットクリエイターといっても,皆様の中には,どんなものがあるんだというのを多分お分かりにならない方のほうが多いんじゃないかと思って,大きく3つ書きました。

一番上,(1)にはボカロ楽曲というものを書きました。有名なところでは「千本桜」という曲は,皆さん聴いていただいたことがあると思います。初音ミクというバーチャルキャラクターが歌った歌です。ああいったものをボカロ楽曲といいます。そのボカロ楽曲。2番目として,そのボカロ楽曲のカラオケトラックに一般の方が歌を吹き込んだ,これを歌ってみた楽曲という言い方をするんですが,その歌ってみた楽曲。3番目に,これは東方楽曲と呼ばれているんですけれども,東方ゲームというのがありまして,そのゲームのBGM等に詞をつけたりアレンジを変えたりして世の中に出ている楽曲があるんですが,こういったものを我々では管理しております。

これを今ネットミュージック,ネット音楽と呼んでおります。それぞれ著作権の管理の仕方,現場の管理の仕方というのはそこに書いてありますが,なかなかちょっと一筋縄ではいかないというところが今,現状でございます。

次のページに,じゃあ放送の同時配信に対して,彼らはどう考えているかというところです。まず,放送使用を許諾した音源に対して言えば,同時配信の定義は最初に言いましたが,それの同時配信をすることに対してのアレルギーはほぼありません。と言いますのも,ネットクリエイターたちがふだん使っているデバイスというのは,例えばラジオであっても,例えばCDプレーヤーであっても,ネットにつながっているCDプレーヤー等が結構,今あるんですけれども,もしくはネットにつながっているラジオも聴けるCDプレーヤー。

そうなってくると,今聴いている音楽が,いわゆる放送で聴いているのか,自分のCDを鳴らしているのか,ネット系で流れているのかというのは,あまり区別をしないんです。ということもあって,放送がオーケーだよというものであれば,それの同時配信に対しては,ほとんどもうアレルギーはありません。

ただ,我々,日本ネットクリエイター協会としては,放送されたものが同時配信されるのであれば,当然のことながら,著作権使用料とか隣接権使用料は追加で得たいと考えておりますし,それはクリエーターの方たちは皆さん同じです。

前のページに書いてありましたとおり,原盤の権利だとか著作権の権利が自己管理というものが結構あるんです。全てではないです。全てではないですが,そういった楽曲が結構あるので,そういった自己管理の隣接権,自己管理の著作権の使用料を頂くための仕組みというものが大事なんじゃないかなと考えております。

次のページです。そういったことをちょっとまとめまして,現状の課題です。著作権管理団体に管理されていない著作権及び日本レコード協会さんのDBに登録されていない隣接権に対して,こういったものの所在を明らかにする新しいDBの構築をすごく強く希望しております。さらに,それはどういう状況かという登録状況が分かるだけではなくて,それらの使用料を徴収したり分配したりする仕組みというものが必要なのかなと思っています。

実は,今,我々も,もう今度4年目,5年目になると思うんですが,文化庁様で実証実験をされている情報検索ナビという仕組みがあります。これは,我々のようなネット系の楽曲の著作権情報も原盤情報も,そしてCDの商品情報も,もちろん実演家情報も,もう登録していただけるような仕組みなんです。これを早いタイミングで実用化していただければ,今みたいな心配事というのは,解決できるんじゃないかなと思っております。それと同時に,いわゆる同時配信で,アドオンで発生していただきたい著作権や隣接権の使用料の規制みたいなものも明確になってくると,うれしいなと考えています。

最後のページにちょっとまとめてみました。基本的には,ネット系の楽曲,ボカロ楽曲,歌ってみた楽曲,東方楽曲に関して,放送の同時配信に関するアレルギーはありません。ただ,現行の権利制限規定の見直しが必要なのか,必要じゃないのかということに関しては,この辺りは我々も法律の専門家ではないので,今までお話ししましたような,いわゆる同時配信をしたときの使用料がちゃんと上乗せされるとか,それがちゃんと分配されるというルール,仕組みの構築というものは希望しております。

実は,それよりも以前に,我々の楽曲,こんな形で,いわゆる著作権がどこにあるか分からないものもあったり,隣接権がどこにあるか分からないものもあったりするので,放送局のディレクターさんが結構使いたいと思ってくれている場合が多いんですが,なかなか処理するのが面倒くさいなということで使っていただけていないというのが実情だと感じております。中には熱意のあるディレクターさんなどは,音楽出版社や我々のところに電話をしてくれたりメールをしてくれたりして,そこでお話ができるんですけれども,やっぱり中途半端な形で,面倒くさいからやめちゃうという方たちもいらっしゃるんじゃないかと思います。なので,情報を一元に検索できるようにするということと,使用料をきちんと返す仕組みが欲しいといったところで,前にも話しましたが,文化庁様の情報検索ナビというものの実用化を強く希望する次第でございます。

日本ネットクリエイター協会としては,以上でございます。どうもありがとうございました。

【末吉座長】ありがとうございました。

それでは,インディペンデント・レコード協会様,お待たせしました。よろしくお願いします。

【インディペンデント・レコード協会(長野氏)】NPO法人インディペンデント・レコード協会,長野と申します。事前に意見書を差し上げております。当協会に直接触れるところだけ,意見を述べさせていただきます。

この中の放送事業者との契約の実態の件に関しては,今,レコード協会と,送信可能化権については,もう既に許諾というか承諾をして進んでおります。なお,これからの先のことに関しては,レコード協会と意見を交換しながら,今後の在り方あるいは放送事業者にとっても一番いい利便性のある方法は何かということを考えてやっております。

アウトサイダーの問題が前回からも言われておるんですけれども,この件は,確かに今レコードを作っているんだけれども,どこの団体も加盟していない。これは,こういった同時配信のみならず,レコードの二次使用料の分配においても同じことが考えられるんです。最終的に結論としては,やはり啓発活動,権利意識を皆さん持っていただくというところに来るんじゃないかと思います。私たちはできるだけ啓発活動に力を入れるんですけれども,なかなか我々の団体に委任あるいは関心を持っていただくところまでいかないというのが今現状です。

ただ,こういったアウトサイダーは,たくさんいることは間違いないです。最近は,1億総エンターテイナーなんて言われていますけれども,レコードにおいても,たくさんの新しい新人,新しいバンドといったものが出ております。したがって,本来だったら,そういう人たちにも我々団体のみならず関心を持っていただいて,進めていただきたいんですけれども,現状としては間違いなくアウトサイダーの存在がたくさんいます。

総括になりますけれど,我々の団体においては,前向きに非常に思っております。同時配信も併せて積極的に利用していただきたい。中には,どうしたら利用していただけるのかと。最近,うちの団体に問合せがあるのは,放送事業者,地方局といったところが,使えますかというような問合せが非常に多いです。最終的には,放送事業者も,利便性の高いインフラをつくっていただくことによって,それが円滑に進むんじゃないかと考えております。

以上です。ありがとうございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

以上,18の御発表をいただきました。この内容につきまして,委員の皆様から御質問,御意見等をいただきたいと思います。今回多くの御発表をいただきましたので,可能な限り,どの団体の皆様への御質問,御意見なのかを明示いただきまして,委員の皆様方から御発言をお願いしたいと思います。いかがでございましょうか。

【前田委員】前田です。発言してよろしいでしょうか。

【末吉座長】前田委員,どうぞ。

【前田委員】aRmaさんに対する御質問なのですが,aRmaさんの資料の5ページで,「リピート放送の同時配信に係る実演家からの許諾取得の負担軽減」について言及をしていただきました。その中で,同時配信が本格化する中で,現行制度での対応が困難な事実が確認された場合には,追加的な支払いを前提とした法定許諾や強制許諾制度の導入を検討する余地があるものと考えられるという御説明をいただきました。

この法定許諾や強制許諾制度の意味でございますけれども,これは,現行の94条を同時配信等に拡大する余地があるという御趣旨なのか,それとも94条とは全く別の制度として,法定許諾や強制許諾制度を導入する余地があるという御趣旨なのでしょうか。以上です。

【末吉座長】ありがとうございます。

aRmaさん,いかがでございましょうか。

【日本芸能実演家団体協議会・著作隣接権センター(椎名氏)】ありがとうございます。私からお答えいたします。

基本的に,同時配信に限定して,なおかつリピート放送に限定した場合に,やはりネットを通じて拡散するという懸念がないというところで,比較的な権利処理の簡素化みたいな可能性が考えられるのではないかという趣旨で書いております。法律的に背景とか,そういう細かい検討までしているわけではございません。

【末吉座長】ありがとうございました。

よろしいですか,前田委員。

【前田委員】はい,ありがとうございました。

【末吉座長】ほかに。

【大渕座長代理】よろしいでしょうか,大渕ですが。

【末吉座長】大渕座長代理,どうぞ。

【大渕座長代理】2点お伺いいたします。各論のところで,たしかJASRACさんが,38条3項について非常に懸念があるということを言われて,もう一つどこかの団体,レコ協だったかもしれませんが,44条の関係で懸念があると言われました。その辺りの詳細を御説明いただければというのが1点目でございます。

2点目が,最後に御発表されましたアウトサイダーの関係で,毎度出ております補償金の関係をどのようにお考えなのか,例えばどのようなスキームが好ましいのかという辺りをお伺いできればと思います。

以上2点であります。お願いいたします。

【末吉座長】まず,JASRACさんからでよろしいでしょうか。いかがですか。

【日本音楽著作権協会(宇佐美氏)】JASRAC,宇佐美でございます。

【末吉座長】お願いします。

【日本音楽著作権協会(宇佐美氏)】私からでよろしいでしょうか。

【末吉座長】どうぞ。

【日本音楽著作権協会(宇佐美氏)】ありがとうございます。

38条3項の後段の部分で,資料のスライド番号5にも載せてあります,通常の家庭用受信装置を用いてする場合も同様とするという部分を含めまして,著作権法38条の部分に類似するところで言うと,アメリカの放送の著作権法110条5項につきましては,かつてヨーロッパ共同体がTRIPS協定違反であると指摘していたことは御存じのとおりだと思います。これに関しまして,道垣内正人先生も,米国著作権法の110条5項に類似した規定として,日本の著作権法38条3項の第2文というのがあって,そのTRIPS協定適合性については,慎重な検討がなされるべきであろうという御指摘があったということもございます。こうしたことも踏まえて,ぜひ別途検討の場を設けていただくことが望ましいのではないかという形で申し上げた次第でございます。以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

レコード協会さんはいかがでございましょうか。

【日本レコード協会(高杉氏)】44条に関しての質問でございます。私どもの資料の6ページに書いているんですけれども,私どもは,放送に関する契約の際に,複製権のライセンスも併せて出しております。これは44条の範囲を超える複製利用について包括的に放送局にライセンスしております。これは放送番組の二次利用なども含むんですけれど。

今回,同時配信等について,44条の範囲を拡大するという御要望かと思いますけれども,契約によっても対処できるんじゃないでしょうかという趣旨での発言でございました。以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

続く御質問で,アウトサイダーに対する補償金の考え方なんですが,これは権利者団体のどなたか,御回答なさいますか。

どうぞ。どちらさんでしょうか。すいません。

【インディペンデント・レコード協会(長野氏)】インディペンデント・レコード協会です。

【末吉座長】お願いします。

【インディペンデント・レコード協会(長野氏)】アウトサイダーの問題というのは,毎回毎回出る問題なんですけれども,とにかく皆さんにこういった制度,こういった法律的知識がやっぱり欠けている部分というのは,間違いなくございます。それを救うための何かをまず設けるということが大事だと思います。

もう一つは,やはり周知徹底。こういった制度がありますよという,私たち団体も併せてですけれども,広報活動が必要なんじゃないかなと思います。以上です。

【末吉座長】ありがとうございました。

ほか,委員の方々から,御質問をいただきたいと思います。

すいません。今日は画面がたくさんあるので,御質問なさるとき,お名前を言っていただいたほうが早いかもしれません。

【池村委員】池村ですけれど,いいですか。

【末吉座長】どうぞ。

【池村委員】著作隣接権ではなく,著作権関係の団体さんにお聞きしたいんですけれども,確かに放送と同時配信とは,著作権法上は同じ公衆送信という枠内にあるものの,別々の態様の利用と整理されるわけですが,追っかけ配信や見逃し配信は取りあえず置いておいて,こと放送の同時配信だけを考えた場合,同じ放送対象地域内の視聴者の立場から見れば,同じ番組を同じタイミングで,テレビを使って見るのか,あるいはスマホやタブレット端末,パソコンを使って見るのかの違いでしかなく,その意味で,実態としてそう大きな違いはないようにも思えるところです。そのように考えた場合,少なくとも放送の同時配信に関しては,放送と別々に管理する必要は必ずしもないのではないかという気がするんですけれど,この点いかがでしょうか。著作権法上,放送と同時配信とが異なる概念であるからという理由以外に,放送と同時配信とを別々に管理する積極的な理由というものがあれば教えていただければと思います。

【末吉座長】これは,著作権者の団体からという。

【池村委員】はい,そうです。

【末吉座長】どちらか御回答なさいますでしょうか。いかがですか。

【日本音楽著作権協会(宇佐美氏)】JASRAC,宇佐美でございますが,よろしいでしょうか。

【末吉座長】どうぞ,お願いします。

【日本音楽著作権協会(宇佐美氏)】先生のおっしゃることは理解いたしました。私どもの説明でも,法律上分かれているということは,実態として,事実としてあり,それぞれやはり当初配信の形式が違うということで,求めに応じて行うのが自動公衆送信だということと,一斉に送信するのが放送だということで区分けしているのは,それに合わせたサービスというのが想定されたからではないかと理解しています。我々もそれに合わせた区分で,作家の方から権利をお預かりしているというところでございます。

ということなので,単純に同時配信だけに着目すれば同じ利用のようには見えますけれども,それに応じて,追っかけだとか見逃しだとかというサービスというのが,広がりという意味では多数考えられるのではないかというところで,やはり法律上の区分けというのが,そこの部分では線引きになるのかなという形では考えています。

ただ,皆さんおっしゃっているとおり,これは別に許諾しないとかという話では当然ありません。そのサービスの内容に合わせた形で,適正な許諾はしていきたいというふうには,これはこれまでもそうですし,今後もそういうふうにしたいと思っております。

【末吉座長】ありがとうございます。

大渕座長代理,どうぞ。

【大渕座長代理】先ほど,JASRACの方に38条3項に関する問題意識を御説明いただきましたが,38条3項については前々からいろいろ議論がされて,見直しの議論もあったところです。先ほどのお話というのは,今回の同時再送信という,ここだけで問題になる問題でもないように思われます。38条3項一般として,非常に広がりのある問題が一つここでピンポイント的に現れているという感じがするのですが,問題意識の力点というのはどちらにあるのでしょうか。ピンポイントでここだけなのか,もっと広がりのあるような話なのかという点ですが。

【末吉座長】JASRACさん,いかがでしょうか。

【日本音楽著作権協会(宇佐美氏)】ありがとうございます。

先生おっしゃるとおり,同時配信だけというか,この(聴取不能)で直ちに何か問題が発生するという形では申し上げていない部分があります。昭和45年当時に制定されたときには,料理飲食店でのラジオ・テレビでの家庭用受信用装置でお客さんに視聴させる行為というのが,我が国では,まだそこまで著作権を及ぼすということは心理的抵抗が強いと考えられたと。これは加戸守行先生も,『逐条講義』にも書かれているとおりでございます。

ただ,それがもう今,半世紀前のお話になってしまっています。その後,著作権制度が,これだけ各省庁さんの御尽力もあって,我が国にも根づいてきたんではないかということは確かなんですが,当時のITのIの字もなかったときに,その社会的・心理的抵抗というのを理由に置かれていた部分を,それはそっちで,一方では放送と通信の融合で国際標準を目指すというのが,そのバランスをやはり欠くのではないかというふうな下で,今回も権利制限の部分というのが一つ問題提起して上がっていた段階では,ここはJASRACとしては触れざるを得ないのかなという形で申し上げたというところでございます。

【末吉座長】ありがとうございます。

ほかに御質問は……。

【日本映像ソフト協会(酒井氏)】映像ソフト協会,酒井ですが,よろしいでしょうか。

【末吉座長】どうぞ。

【日本映像ソフト協会(酒井氏)】38条3項につきまして,私の意見を出させていただきました。現実に今,配信を利用した上映会というようなことの問合せを,私どもは結構受けています。そういう状態の中で,今まで公衆送信を受信して配信するということについては,著作権者の許諾が必要ですよと申し上げてきたんですね。それが,38条3項に,放送事業者の送信することに限定するのかどうか分かりませんが,38条3項後段を適用してくるという話になってきますと……。前段ですね。前段,後段両方ですけれど,そうするとすごく影響が大きいという可能性があると思っております。

同時送信につきましては,今回の同時送信というのは,放送対象区域に限らず,その限定がなくなってくるわけですので,今までの放送概念とは違うだろうと思います。ですので,やはり許諾が必要だと考えます。

【末吉座長】ありがとうございます。

ほかに委員の方々,御質問はいかがでしょう。

【中村委員】中村です。

【末吉座長】どうぞ。

【中村委員】NexToneの荒川さん,おられますかね。シンプルに伺いたいんですけれど,先ほど放送5者協議の場のお話がありました。私は,本件についても,我々が制度論を超えて話す前に,まず当事者の場とか協議が前提だと考えているんですけれども,そうした場づくりというのは,放送側あるいは権利者側双方から,まだそのような提案とか動きはないということなんでしょうか。

【NexTone(荒川氏)】具体的に今回の同時再送信というところに関するそのような提案というものは,少なくとも私のほうで認識はしておりません。ただ,やはり早急にそういう場が設定されることは,法的な議論ということと同時並行で行われるということはすごく重要なことなんじゃないかなというふうには,強く認識しております。

【中村委員】ありがとうございました。

【末吉座長】ありがとうございました。

ほかに,委員の方々,御質問は。御意見でも結構ですが。

【前田委員】前田です。よろしいでしょうか。

【末吉座長】前田委員,どうぞ。

【前田委員】JASRACさんにお伺いしたいのですが,前回,放送事業者側のヒアリングでは,放送番組の二次利用については包括的シンクロ権処理スキームが利用可能だが,同時配信は同スキームの対象外との指摘を受けているという御説明があったのですけれども,追っかけ配信ならば包括的なシンクロ権処理スキームが利用可能だけれども,同時配信はそのスキームの対象外ということなのでしょうか。仮にそうだとすると,何か逆転しているような,つまり,どっちかというと同時配信のほうが,本来のシンクロ権から遠いような気もするのですが,ちょっとお伺いできればと思います。

【末吉座長】JASRACさん,いかがでしょう。

【日本音楽著作権協会(宇佐美氏)】宇佐美です。ありがとうございます。

放送局の方が二次利用の部分についてということなんですけれども,当時,放送番組の利用についての二次利用については,一定のルール,2006年当時,ユビキタスに関する合意というのが一定程度あったかというふうには思います。そのときに,シンクロ権の処理については,原則的には,先ほど私が申し上げたお話だったり,MPAの高島さんが申し上げた話というのがありますけれども,そのユビキタスの中の枠組みの中で,使える範囲というのはあったやにも記憶しています。

今,様々,ビジネスモデルについての権利処理については御相談されることがありますけれども,JASRACとしましては,使用料規定が例えば存在しないだとかというようなことで許諾しないというようなことは,当然そういうビジネスをストップさせるような権利行使はしていないので,その当時に同時配信が当然なかったわけですから,そのときの枠組みの中での合意と,または許諾という形を取っていましたので,そのときにはその範囲については許諾したということになります。

なので,今,同時配信については,じゃあ,何か二次利用が大丈夫なので,こちらはより大丈夫じゃないかという話には直ちにはならないんじゃないかというふうには考えられるのではないかと思っています。

【末吉座長】ありがとうございます。

前田委員,いかがですか。大丈夫ですか。

【前田委員】ありがとうございました。

【末吉座長】ありがとうございました。

委員の方々,ほかに御意見,御質問はどうでしょう。

今村委員,どうぞ。

【今村委員】シナリオ協会さんにお伺いしたいのですが,資料1-6の3ページ目で,現在は,TVerとかで運用している見逃し配信は,放送の補完と位置づけて低廉な使用料としているということでした。同時配信についてもNHKプラスの実績を踏まえて同等の扱いを希望されているということでしたが,現在も許諾権はあるので,条件は交渉できる状況だとは思うんですけれども,低廉な使用料で認めているのは,これが暫定的な取決めにすぎず,また次年度に向けて交渉をするからという理由でしょうか。それとも放送局との関係で,許諾権はあるけれど,仮に同時送信等,見逃しを低廉な使用料で許諾しなければ,放送すらしてもらえないというような状況が生じるとか,そういう関係があるのでしょうか。低廉な使用料で認めている理由というのがどの点にあるのかというところを,確認の意味でお伺いしたいと思います。

【末吉座長】ありがとうございます。

日本シナリオ作家協会さん,いかがでございましょう。

【日本シナリオ作家協会(関氏)】大きな理由としては,まだサービスが始まったばかりで利用者数がかなり少ないということです。それと,まだ実績が何も出ていないということで,暫定的な形で我々も認めているということです。

【今村委員】分かりました。ありがとうございます。

【末吉座長】ありがとうございます。

ほかに御意見,御質問はいかがですか。

大渕座長代理,どうぞ。

【大渕座長代理】これは大きな問題にはなり得るのですが,例えば,借用素材の辺りなどで,放送の許諾で,放送付随の配信の許諾も推定するとか,いろいろ法律的にはテクニックがあり得るわけです。そのようなものができた場合には,完全に2つに切って,放送と放送附属配信のそれぞれの利用料率を決める場合と,推定規定がついて,いわばワンセット的なものになった場合とで,追加の送信に対する対価には影響があるのかないのかという辺りはいかがでしょうか。

【末吉座長】これは,どちらに御質問なさいますか。

【大渕座長代理】もう全員でもよいぐらい重要な点です。

【末吉座長】全員だとちょっと答えづらいかもしれない。どなたか御指名なさったらいかがですか。

【大渕座長代理】そうであれば,実演家の方とか,いかがでしょうか。

【末吉座長】いかがでしょうか。実演家の方々とおっしゃっていますが。

【日本芸能実演家団体協議会・著作隣接権センター(椎名氏)】ちょっと何かお答えに窮しますけれども。要は,僕らの説明資料では,いろいろな制度的な対応があったりしても,きちんと対価が還元されなければならないということを申し上げていて,借用素材等々の中での実演って,ちょっとにわかにイメージできかねるところがあります。すいません。

【末吉座長】ありがとうございます。

どなたかイメージできる方で結構ですが,ちょっと借用素材,使ってしまいましたけれど,放送と配信が法律上別なのはどうかという点では全員に共通かと思いますので。

【大渕座長代理】どなたですか。

【末吉座長】大渕座長代理,ちょっと待ってください。

内山委員,何か御質問ですか。

【内山委員】流れの質問です。

【末吉座長】どうぞ。

【内山委員】借用素材問題が大きいので,その観点で乗っかりたい部分とすれば,写真と美術で,今,大渕先生が御質問されたようなことに関して御回答いただけるとうれしいなと思いますが。

【末吉座長】ありがとうございます。

どうぞ。お願いします。

【日本写真著作権協会(瀬尾氏)】基本的には,やはり放送と送信については,別途きちんとそれをおっしゃっていただくというのは原則になると思います。ただ,セットで許諾を出せるという話は聞いていますので,最初のときに同時送信を含めて契約をしているという話も,実は個人の場合には聞いています。なので,対価はいろいろあるんでしょうけれども,別途に取って,きちんと契約するということで問題がないだろうかと。ただにして一緒にみなしてというのは,ちょっと勘弁してほしいという話は聞いているんです。お答えになっていればいいんですけれど,すいません。

【末吉座長】ありがとうございます。

内山委員,よろしいですか。

【内山委員】ありがとうございます。

【末吉座長】ありがとうございました。

ほかに御質問どうぞ。

【内山委員】もう一点よろしいでしょうか。

【末吉座長】どうぞ。

【内山委員】これ,どっちだろう。CPRAさんのほうの資料なので,椎名さんとレコ協,高杉さんにお伺いしたいのは,CPRAさんの資料の5ページ目,これ,数年置きに聞いたような気がするんですけれども,「なお,日本レコード協会とウェブキャスティングの集中管理に係る協議を進めており」という,ここの文言です。現状,どうでしょうかというのが1点目でございます。

今度aRmaさんの資料で,大体カバー率,約90%(非一任型を含む)と記載されておりまして,追加でちょっと教えてほしいのは,非一任と一任の大体の割合を教えていただければと思います。以上です。

【末吉座長】じゃ,まず,CPRAさんからお願いします。

【日本芸能実演家団体協議会・著作隣接権センター(椎名氏)】私から。最初の御質問は,レコード協会との集中管理のお話ですよね。これに関しましては,現在交渉中でございます。管理範囲でありますとか,対価の配分の在り方でありますとか,なかなか我々が理想と考える形にまで,まだ交渉が妥結しているわけではないというところなんです。仮に集中管理によって,我々が想定するような形まで実現する場合には,制度的な対応も必要なくなってくるんではないかという意味で,ここに書いておるということでございます。

【日本レコード協会(高杉氏)】レコード協会,高杉です。今のウェブキャスティングについて,私どもの認識として申し上げます。集中管理の開始について,CPRAさんとの協議が長きにわたって事実上止まっておりましたけれども,今,具体的な協議を再開いたしまして,管理開始に向けて,具体的に今,椎名さんがお話しになった条件などの細かな詰めを進めさせていただいているという状況でございます。以上です。

【末吉座長】ありがとうございます。

【内山委員】あと,一任と非一任の大体の割合を。

【日本芸能実演家団体協議会・著作隣接権センター(椎名氏)】すいません。急な御質問で,人数的にどのぐらいかというのは,ちょっと今,数字を持っていないんですが。人数的に,ほぼ均衡しているんではないかなというのが実感でございます。

【末吉座長】ありがとうございます。

【内山委員】ありがとうございます。

【末吉座長】もし後でお分かりになったら,事務局にお寄せいただけたら,椎名さんのほうから。よろしくお願いします。

【日本芸能実演家団体協議会・著作隣接権センター(椎名氏)】分かりました。

【末吉座長】ほかに御意見,御質問いかがですか。

よろしいですか。

長時間にわたり,どうもありがとうございます。ちょっとここら辺で切らせていただきたいと思います。ありがとうございました。

続きまして,議事の(2)番に入りたいと思います。検討の進め方及び主な論点に移りたいと思います。事務局で,今後の検討の進め方及び主な論点と諸外国の制度の概要につきまして,資料を用意していただいておりますので,説明をお願いいたします。

【大野著作権課長補佐】それでは,まず資料2について御説明いたします。今後の検討の進め方及び主な論点について,議論のたたき台として御用意した資料でございます。

まず1ポツ,検討の進め方(案)でございます。

1つ目の丸は事実関係です。総務省で取りまとめいただいた放送事業者の要望によりますと,制度的課題について検討が必要な事項として,枠囲みの丸1から丸5まで5点が挙げられております。また,別途,裁定制度についても見直しが求められております。

一方で,2つ目の白丸ですが,前回の議論でもございましたように,様々な課題がこの中には混在しておりまして,それぞれについて実効的かつ合理的な解決策を検討するためには,一定の仕分が必要だろうと思っております。本日の権利者団体からのヒアリングなども踏まえながら,(1)制度改正により対応すべき事項と,(2)主として運用面で対応すべき事項の2つに分類整理してはどうかと考えております。

その際,米印にありますように,丸1から丸5で大ざっぱに分類整理するだけではなくて,そこに含まれる内容を丁寧に分析した上で分類整理していくこともあり得ると考えております。その分類をした上で,(1)制度改正をすべきものについては,規制改革実施計画で,令和3年通常国会での法案成立を目指すとされておりますので,優先的かつ集中的に検討を進めてはどうかと考えております。

その際,米印にありますように,著作権制度上の課題は,総合的に解決しないといけませんので,(1)に振り分けられたものについては,全てを優先事項として扱うことを想定しております。ただ,優先的かつ集中的に検討しても,関係者間で引き続き丁寧な議論が必要とされた事項については,可能な限り早期に措置することを目指して,議論を継続するものと理解しております。

他方で,一番下の白丸ですが,運用面の課題につきましては,別途総務省の勉強会におきましても,関係者からのヒアリングなどが進められていると承知をしております。このため,(2)に振り分けられた課題については,その勉強会の状況,制度改正についての検討の状況を踏まえながら,対応を検討してはどうかと考えております。

その際には,2ページ目の米印に記載のとおり,要望のまとめの中でも必ずしも著作権法上の課題ではないと位置づけられた様々な課題についても,併せて検討を行うことが想定されるものと理解しております。

次に,2ポツ,検討に当たっての主な論点(案)でございます。

まず,(1)総論としまして,制度改正によって利用円滑化を図るべきサービスの範囲をどのように考えるかという点がございます。米にありますように,具体の対象サービスの範囲につきましては,後ほど述べます各論点・規定ごとにきめ細かに対応を検討する必要があると思っております。全て一律のサービスを対象にするということでなくて,論点・規定ごとに対象サービスが異なってくる可能性もあるかと思いますが。ここでは基本的な考え方について議論いただきたいということでございます。

まず,検討に当たっての視点を4点書き出しております。(ア)が,放送に準じた公共性を有するか,(イ)が,利用者による視聴機会の拡大・利便性向上への影響,(ウ)が,権利者の利益への影響,(エ)が,放送の同時配信等以外のインターネット送信等とのバランスでございます。

この視点を踏まえながら,次の対象サービスの範囲を画する要素,丸1から丸7について御議論いただきたいと思っております。丸1が,放送のタイミング・期間でございます。同時,追っかけ,一定期間の見逃しを対象にするということでよいのか,見逃し配信を対象とする場合,具体的にどの程度の期間を対象にするのかという論点でございます。丸2は,放送対象地域にかかわらず,同時配信を可能としてよいかという論点でございます。丸3は,放送で流す番組との差異として,同時配信等に当たっての番組の内容変更について,フタかぶせなど,最小限の変更を認めてほしいという御意見や,CMについては差し替えを認めてほしいという御意見があったところ,そういう取扱いでよいのかどうかという論点でございます。

3ページに参りまして,丸4,配信の形態でございます。こちらは,前回の放送事業者様のヒアリングでも,ストリーミング形式での配信を想定しているとおっしゃっておりましたが,それでよいのかどうか。丸5,実施主体につきましては,これもヒアリングの中で,放送事業者が主体的に実施していると評価できるサービスであれば,配信プラットフォームが自前かどうかは問わずに対象にしてほしいということでしたが,それでよいのかどうか,また,その場合,主体的に実施しているか否かをどういうふうに判断していくのかという論点でございます。丸6は,配信に当たって,視聴者から対価を徴収しない無料サービスだけを対象にするのか,有料サービスも対象にするのかという論点でございます。丸7はラジオや衛星放送・有線放送等の取扱いでございます。これまで主に地上波のテレビ放送を念頭に議論がされてきたところでございますが,こうしたその他のサービスについても対象に含める必要があるかどうかという論点でございます。この点,そもそもの制度改正のニーズ・要望につきまして,総務省さんのほうで把握が進められていると承知しておりますので,その状況を踏まえて検討を行うことが必要かと思います。その際には,先ほどの(ア)から(エ)までに記載した視点を踏まえまして,地上波のテレビ放送と取扱いを異にするような事情が認められるかという観点からの議論も必要かと思います。

(2)からが各論でございます。丸1は,権利制限規定の拡充でございます。34条1項をはじめとして,6つの規定をここに挙げております。このそれぞれについて,同時配信等を対象に含めるかどうか,具体的にどこまでのサービスを対象に含めるかという議論をいただきたいと思っております。

4ページに参りまして,丸2,借用素材の関係でございます。1つ目の丸は,今日のヒアリングでも幾つか御説明がありましたが,借用素材を含めた著作物につきましては,放送での利用の許諾を得る際に著作権者と交渉することになりますので,その際に併せて同時配信等につきましても交渉を行うことが可能でございます。こういう点で,現行制度の在り方が同時配信等を特に困難にしているという事情はないものと理解しております。

ただ,借用素材について,放送はできるけれども配信はできないという場合もあるというのは事実でございます。その要因としては,2つ目の白丸の(ア)と(イ)に記載した2つがあろうかと思っております。(ア)は,当事者間での交渉の結果,放送でのみ利用可能という条件で借り受けることとなった場合,すなわち著作権者が同時配信等を認めていないことが明らかである場合。(イ)は,借り受ける際に,同時配信等の可否を明示的に確認できていなかった場合,すなわち著作権者の意向が明らかではない場合。この2つがあろうかと思います。

この点,(ア)の場合は,許諾契約において著作権者が配信を認めないという明示の意思を表示しておりますので,それに反して強制的に同時配信等ができるというような制度改正を行うことは,制度の本質に鑑みまして,著作権者の理解も得られず,難しいのではないかと考えております。一方で,(イ)の場合におきましては,著作権者の利益を不当に害しないということを前提にしながら,何らか円滑な利用が可能となる措置が考えられるのではないかと考えておりまして,具体的な措置の内容について御議論いただきたいと思っております。

5ページに参りまして,丸3,商業用レコードなどのアウトサイダーへの対応でございます。ローマ数字の(i)レコード・レコード実演につきましては,放送と配信で制度がずれていることで,配信での利用が困難になっているという指摘をいただいておりますところ,いわゆるアウトサイダーの部分についての円滑化を検討してはどうか,その際,具体的にどのような措置を講ずるか,どこまでのサービスを対象に含めていくのかという点が論点になろうかと思います。

その際,2つ目の白丸にありますように,「アウトサイダー」というものについてどのように定義・範囲を決めていくのかということが,論点としてございます。集中管理の有無だけで判断してよいのか,もしくは,文化庁の委託事業に基づき構築されている権利情報データベースに登録していることもを加味するかどうか。また,外国原盤については,日本の管理事業者が管理していないものが多いわけですが,それをどのように扱っていくのかという点についても議論が必要かと思います。

また,米にありますように,「アウトサイダー」という用語の取扱いについても御指摘いただいておりますので,定義・範囲が整理されましたら,それを的確に表す言葉遣いということも議論する必要があろうかと思います。

3つ目の丸は,仮にということですけれども,アウトサイダーのレコード・レコード実演につきまして,放送と同じように報酬請求権(補償金)化していくということになった場合,それをどのように運用していくのか,放送の二次使用料と同じようなスキームにすべきなのか,異なるスキームとすべきなのかという論点でございます。

ローマ数字の(ii)が,映像実演と著作物の取扱いでございまして,著作物については特に原作・脚本・音楽が要望に挙げられておりました。これらにつきましては,放送と配信で制度上の差異はなく,いずれも許諾が必要という点で,レコードとは少し状況が異なりますが,同時配信等の円滑化のためにどのような措置が考えられるのかという点について御意見をいただきたいと思います。

丸4が,リピート放送の同時配信を行う場合の映像実演の取扱いでございます。過去の放送番組のリピート放送に当たりましては,94条の規定に基づきまして,実演家の許諾は原則不要で,報酬の支払いをすればいいという仕組みになっております。ただ,そのリピート放送の同時配信を行おうとすると,許諾が必要となるという課題がございますので,そういった部分の円滑化のための措置を検討してはどうかと考えております。具体的な措置,サービスの範囲について,御議論いただきたいと思います。

その際,今日も説明がありましたけれども,aRmaにおいて一定の範囲で集中管理が行われておりますので,それとの関係をどのように考えるのか,また,先ほどのレコードと同様,報酬請求権という形にするのであれば,その運用スキームについても議論が必要かと思います。

6ページに参りまして,丸5,楽曲の支分権管理に関する事項でございます今日も団体から御説明がありましたが,1つ目の丸に書いておりますように,実態上,著作権等管理事業者の設定する利用区分は,放送とインタラクティブ配信で分かれておりまして,それぞれ別の事業者が管理している場合がございます。これによって同時配信等での利用が困難になっているのかどうか,また,困難になっているとして,どのような措置が考えられるのかという点について,御議論いただきたいと思っております。

前提として,米1に記載のとおり,著作権法上,著作権については,放送と配信が一体化した公衆送信権となっておりまして,また,管理事業法に基づく利用区分に関するルールといたしましても,公衆送信という大くくりの基準が設定されておりますので,制度上,放送,自動公衆送信といった細分化を求めているわけではありません。あくまで実態上の話だろうというふうに理解しております。

また,米2のところで記載しておりますけれども,複数の管理事業者と契約を行う場合には,それぞれの管理する楽曲の利用割合を算出して費用を案分する必要があるということも負担だという御指摘がございます。この点については,運用的にどのような解決が図れるかを議論していくべきものだろうと理解しております。

他方,その下の白丸は少し事情が異なりまして,個々の権利者が,放送については権利委託等をしつつ,配信については自己管理をしているという場合もございます。この場合,配信に当たっては個別の権利処理が必要となるため,手続コストが高くなることが想定されます。ただ,この場合は,個々の著作権者が,配信については自ら利用をコントロールしたいということで自己管理をされておりますので,その事情も踏まえながら,どういった措置が考えられるのかについて,議論する必要があろうかと思います。

丸6,裁定制度の見直しにつきましては,事務的に検討すべき事項が多いかと思いますが,68条の協議不調の場合の裁定については,放送だけではなくて同時配信等にも活用できるようにすべきではないか,その場合,具体的にどこまでのサービスを対象に含めるのか。また,現状,隣接権には準用されておりませんが,今回の見直しに伴って準用すべきかどうかという点が論点になろうかと思います。

67条の権利者不明の場合の裁定につきましては,放送業者からの要望に基づきまして,補償金の事前供託免除の対象範囲の拡大,相当な努力の要件緩和としてCRICのウェブサイトへの広告掲載の在り方,申請手続の電子化のそれぞれについて,検討を進めてはどうかと考えております。

資料2については,以上でございます。

あわせて,資料3についても御説明いたします。放送の同時配信等に関する諸外国の制度の概要でございます。昨年度,文化庁で委託調査を実施しておりますところ,それを基に簡単に状況を整理した資料でございます。

まず1ポツ,放送や同時配信等が,法律上どのように位置づけ・区分されているかという点でございます。まず前提といたしまして,各国とも放送・通信法上の位置づけと著作権法上の位置づけは,基本的に一致しているということがございます。その上で,著作権法上における放送と,それ以外のサービスの区分については,下の表に記載したとおりとなっております。

アメリカにつきましては,明確な定義・区分がない一方で,その他の国については,一定の線が引かれております。イギリス・フランス・ドイツにおいては,放送と同時配信までが著作権法上の放送と扱われ,見逃し配信・VODなどは放送ではないという位置づけになっております。一方で,韓国・日本におきましては,いわゆる放送のみが著作権法上の放送でして,同時配信以降の配信は,全て放送ではないという位置づけになっております。

なお,下に小さい米で書いておりますように,2019年にEU指令が成立しておりまして,この中では,放送の中に同時配信のほか見逃し配信まで含むということも記載されているようでございまして,今後EU加盟各国においては,この概念整理も変わってくるものと理解をしております。

2ページ目に参りまして,2ポツ,著作権法上の権利の在り方でございます。まず,著作権と映像実演につきましては,条約上の要請もあり,各国全て許諾権を付与しているところでございます。レコード・レコード実演につきましては,各国ごとに制度が異なっております。詳細は割愛いたしますけれども,同時配信につきましては,条約上,報酬請求権の付与が最低基準とされておりますけれども,ここに記載のとおり許諾権を付与している国が多いものと受け止めております。また,日本では報酬請求権となっている放送での利用についても,例えばイギリスのレコード,フランスでは許諾権が付与されているところでございます。見逃し配信・VODにつきましては,条約上の要請から,各国とも全て許諾権という扱いになっているところでございます。

簡単でございますが,事務局からは以上です。

【末吉座長】ありがとうございました。

それでは,ただいまの事務局の説明を受けまして,検討の進め方などについて,議論を行いたいと思います。ただいまの資料2においては,1,検討の進め方(案)と,2,検討に当たっての主な論点(案)の(1)総論と(2)各論に分けて記載されておりますので,この3つに区切って議論を進めたいと思います。

まずは資料2の1ページ,1,検討の進め方(案)に関しまして,検討の進め方がこのとおりでよいか。また,各課題に関する対応については後ほど別途議論いただきますが,課題の分類整理などを中心に,現時点でもし何か御意見等あれば併せていただきたく,よろしくお願いいたします。それでは,委員の皆様,どうぞ。

(「異議なし」の声あり)

【末吉座長】分かりました。よろしいですか。

ありがとうございます。もし必要があれば,後でまた御意見,御指摘をいただきたいと思います。

それでは,続いて資料2の2ページでございます。2,検討に当たっての主な論点(案)でございます。まず(1)総論とございます。これにつきまして,御意見,御質問等ございましたら。2ページから3ページにかけてでございますけれども,御発言をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。

【池村委員】池村ですけれど,質問いいですか。

【末吉座長】どうぞ。

【池村委員】2ページの2.の(1)の①「配信のタイミングや期間」のところの見逃し配信に関連して,一点お聞きしたいんですけれども,先ほど資料3①の一番下の米印のところで,EU指令では「「放送」には同時配信のほか見逃し配信も含むこととされており」と書いてあるんですけれども,ここで言う「見逃し配信」というのは,どういう定義になっているんでしょうか。

【末吉座長】この点はいかがですか。

【内山委員】私から言ってもよろしいでしょうか。

【末吉座長】恐縮です。

【内山委員】具体的に例えば日数とか,その定義はされていません。ただ,文言としてキャッチアップという形で定義がされています(補足:より正確には2条“for a defined period of time after their broadcast by the broadcasting organisation”と定義。)。ただ,これはEUディテクティブなので,各国が各国法の中に落とし込まなければいけないお話でして,先ほどの資料のように,来年6月までに,各国はそれなりの解釈をして落とし込むという形になるはずです。

【末吉座長】ありがとうございます。

池村委員,それでよろしいですか。

【池村委員】ありがとうございます。

【末吉座長】ほかに御意見,御質問はどうでしょうか。

どうぞ,龍村委員。

【龍村委員】2ページの2ポツ,(1)総論の中の検討に当たっての視点というのが4点くくり出されているわけですけれども,先ほどの御報告を伺っていますと,どうも集中管理が結構進んでいる分野と進んでいない分野が,かなり分かれているなという印象を受けました。殊に進んでいる分野については,かなりの既存のライセンス体制が,ある程度もうできてしまっている部分があるというところが見えるわけです。このような既存ライセンスについては,ライセンス優先の観点であるとか,既存のライセンスとの関係性というのが,視点の一つとして結構有力にあり得るのではないかなというように拝見するところです。

それともう一つ,4ページ。先の話の借用素材のところでも出てきましたが,明らかに権利者が,同時配信についてはノーだと言っているようなケースがもしあるのだとすると,どういう場合にそういうことがあるのか。もし,それがあるのであれば,これは検討に当たっての視点の(ウ)に関係するのでしょうけれども,そういう問題があるのであれば,それはどうするのかということもあるのかなと思います。

それから,検討に当たっての視点の(ア)は,ほかのものとはやや毛色が違っている話かなと思います。公共性を要求するのかどうかという問題でしょうか。あるいは公共性を担保する必要があるのかという問題でしょうか。これはむしろ放送法などと類似の規制をかけるべきかどうかという,行政的な関係の問題になりますので,この(ア)(イ)(ウ)の中で,(ア)はやや特殊な観点といいましょうか,規制の観点が入る問題点かなという感じを受けました。以上でございます。

【末吉座長】ありがとうございます。

ほかにいかがでございましょうか。

【前田委員】前田です。よろしいでしょうか。

【末吉座長】どうぞ,お願いします。

【前田委員】今,龍村先生がおっしゃった(ア)のところなんですけれども,「放送に準じた公共性」と書いているということは,同時配信等の持つ公共性という意味なのでしょうか。あるいは,その対象となる放送の公共性,放送自体の公共性という意味なのでしょうか。

放送とその同時配信等は基本的には同じ内容なので,放送が公共性を持つのだったら,その同時配信等も公共性を持ち,逆に,放送の中でも例えば特定の趣味に特化した放送がございますけれども,そういったものについては放送自体の公共性が低いからその同時配信も公共性が低いという評価をすると。そういう御趣旨なのでしょうか。これは事務局にお伺いしたいと思うのですが。

【大野著作権課長補佐】(ア)の視点につきましては,今回,同時配信等について,制度改正を議論していくということになりますので,著作者の権利の制限などを行うに当たって,それに値するだけの公共性,いわゆる公益性というものがあるかという視点として書かせていただいているものです。

基本的にコンテンツの内容が放送と同じという御指摘でございましたが,対象地域やタイミングが違うという点もありますし,また,番組の内容の変更についても論点に挙がっております。また,対価を徴収するかどうかを含め,放送と取扱いを異にする部分が出てくる可能性がありますので,そういう視点で,どこまでの違いであれば公共性・公益性が担保されていると言えるのか,そういう視点で,それぞれのメルクマールについて,御議論いただきたいという趣旨でございます。

【末吉座長】ありがとうございます。

どうぞ。

【龍村委員】今の公共性についてですが,私も誤解していましたけれども,例えば3ページのところですが,これは実施主体の関係についてのことなのかとも思いました。例えば放送局自身がそ運営する,あるいは経営主体になっているのかどうかとか,あるいはCMとの組合せ。番組編集の自由度や,CMなり広告媒体なり資金供与者などの観点からの問題性であるとか,そういう問題意識なのでしょうか。むしろ御質問ですが。

【大野著作権課長補佐】全体を通して,丸1から丸6のメルクマールを議論するに当たって,放送と同じようなものと評価できるのか,少し違うのかということが……。

【龍村委員】広く考えればいいということでしょうかね。

【大野著作権課長補佐】そうですね。

【末吉座長】よろしいですか。

大渕座長代理,どうぞ。

【大渕座長代理】もともとが,放送というのは放送法で認められているような公共性があるものだということが前提です。娯楽番組がそうなのかどうか,よく分かりませんが,放送というのは公共性があるということであれば,それと同じものが地上波でなくてインターネットで流れても,公共性があまり変わるとも思えないので,一応挙げてありますが,公共性があると,放送と同じような取扱いをすることに積極に働く強いメルクマールになります。そのような意味ではこれを最初にピン止めしておくというのは当然のことです。何にもないものであればなかなか特権を認めてあげるということもないのですが,内容的には放送と同程度の公共性があるのなら,さほどひっかからずに,それだけで決まるわけでもないのでしょうが,考慮要素にはなるのかなという気はいたします。その程度の軽い意味で取ってよろしいのでしょうか。

【末吉座長】なるほど。御質問ですね。

事務局,いかがですか。

【大野著作権課長補佐】繰り返しになりますけれども,コンテンツの中身としては,基本的に同じような番組を流すと思うんですけれども,タイミングや地域,実施主体,対価の有無など,放送と異なる形で実施されるサービスもあり得るわけですので,その限界を議論するときに,放送とどの程度の差異があるのかを視点として持っておく必要があろうかと思います。著作者等の権限を制限するなど,制度改正を行うに値するサービスなのかという意味で,それぞれのメルクマールについて御議論いただくために必要な視点であろうと事務局としては考えております。

【末吉座長】ありがとうございます。

内山委員,どうぞ。

【内山委員】今の論点は,放送法で規定されている放送事業者に課せられている様々な義務があって,その義務のどの程度まで適用というか,重要度として考えて組み込んでいくかということではないかと思います。

【末吉座長】ありがとうございます。

ほかに御意見,御質問どうでしょう。

よろしければ,各論の次の点に入ってもよろしゅうございましょうか。2ページの2,検討に当たっての主な論点の(2),これは3ページになります。各論,3ページ以下について,御意見,御質問等ございましたら,どうぞ。

本格的な議論は次回以降やりますので,本日の時点での御指摘を。

まず池村委員からどうぞ。

【池村委員】(2)の①の権利制限のところです。38条の3項については,ほかの権利制限規定と違って,放送事業者の行為ではなくて受信者側の行為に関するものなので,放送番組の同時配信等を直接推進するという関係にはないんじゃないかなと思いました。また,反対意見も多かったので,ちょっとこれは別に考える必要があるんじゃないかなと思いました。

【末吉座長】ありがとうございます。

大渕座長代理,どうぞ。

【大渕座長代理】今の点に関連して,まず,全体としては,各論は,今までの我々の議論などをよく盛り込んでいただいて,細かい議論はこれからやるのですが,検討の枠組みというのはよく出していただいているかと思います。

その上で,私も気になったのは,この38条3項のところです。これが直接当たるのか当たらないのかも含めて,どうも先ほどのお話を聞いていると,ピンポイント的にここというよりは,昔からの38条3項についてのベルヌ条約違反等々の御不満がかなりの程度あるようですので,そこのところは,本件の話と38条3項の大きな論点を混ぜずに,むしろ38条3項の大きな大きな論点は,将来に先送りにして本格的に検討するということにした上で,現実的な路線を取ったほうがよいという気がしました。

それから,44条も問題が根深そうですが,お尻も切られていることなので,一般論は後回しで,本件に必要な最低限のところだけ押さえるほうがよいのではないかと思いました。

4ページの下のほうは工夫で,また推定規定とか,そのようなことになるかと思います。見れば見るほど,重要な新兵器たる補償金が至るところに出てきて,ほかの論点もそうですが,今の論点でもこの補償金をどううまく組み込めるかが,このプロジェクトが成功するかしないかの大きな決め手になっているように思います。

ということで,あとは粛々と進めていけばよいのではないかと思っております。

【末吉座長】ありがとうございます。

ほかにいかがでございましょう。

現時点ではこの程度でよろしゅうございますか。

内山委員,どうぞ。

【内山委員】また次回にまたがってということなので,思いだけ伝えておきます。4ページ目,丸2の米印で,借用素材の場合に問題というのは著作権。同じく6ページ目の丸5の米1,著作権云々ということで,公衆送信権という大枠の権利設定をしているだけですよ。でも,両方の実態を取らなきゃいけないよと。ここが法制度なのか運用なのかというところで,(権利者,利用者,行政の間でとらえ方の)ブレの可能性があるのではないかというふうに受け取ります。集中管理が進んでいる領域であれば,契約自由の中で解決していくということもあり得るでしょうけれども,集中管理が進んでいない領域に関しては,やっぱり何がしか考えていただきたいなというところがございます。

【末吉座長】ありがとうございます。

ほかにいかがでございましょうか。

よろしいですか。

ありがとうございました。現段階でということではほかにございませんようですので,本日は長丁場になりました。このくらいにしたいと思います。

最後に,事務局から連絡事項がございましたらお願いします。

【大野著作権課長補佐】本日は,遅い時間に,また長時間にわたり御議論いただきまして,誠にありがとうございました。

次回につきましては,既に御案内しておりますとおり,9月28日月曜日の17時からを予定しております。詳細は追って御連絡いたしますので,引き続きよろしくお願いします。

【末吉座長】それでは,本日はこれで第2回ワーキングチームを終わらせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

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