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菓銘をもつ生菓子(煉切・こなし) 編

菓銘をもつ生菓子(煉切・こなし) 編

 食文化を支える無形の“わざ”。私たちが体験する“美味しい”感動は、歴史の中で磨かれ、 受け継がれていく“わざ”によって生み出されます。
 12月4日、学校法人 大和学園 京都調理師専門学校にて、“わざ”継承者による特別講義 「京菓子の美意識〜引き算と余白〜」が開催されました。

 室町時代より織物のまちとして栄えてきた西陣に店を構える「御菓子司 塩芳軒」 5代目当主・髙家啓太さんによる特別講義の様子をレポートします。

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     「生菓子 の“わざ”というと華やかな細工と思われがちですが、“引いていく”のも技術の一つ」と語る、御菓子司 塩芳軒・髙家啓太さん。公家文化、神社仏閣、茶道の文化によって育てられた「京菓子」という文化について、「お茶席には掛け軸、花入れ、茶碗、棗など様々な道具が取り合わされるが 、どれか一つが目立つことの無い様にシンプルな設計になっています。同じ様に京菓子でも余白を大切にし、お客様の想像力をかき立てるということが大切なのではないかと思っています」と、京菓子作りに対する考えを強調しました。

  • 菓銘をもつ生菓子(煉切・こなし) 編 1

     京菓子の写真をモニターに写し、「紅葉をイメージ。そして周りに味甚粉 ( みじんこ )をつけることによって、朝霜を表現し、【秋の朝の寒さ】を連想できるのではないかなと思います」と、見た目だけでも様々な情景を表現出来るということを解説。フランスで講演した際に、「京菓子はポエティック(Poetic)=詩的だ」と言われたエピソードを交えながら、掌にのるほどの小さな一品から無限に想像力が広がる楽しさを説いていきます。

  • 菓銘をもつ生菓子(煉切・こなし) 編 2

     実演では、こし餡に小麦粉などを混ぜて蒸し、砂糖を加えて揉み込み、色付けして 様々な形に成形する、京都発祥の「こなし」の技術を紹介し、こし餡に粉を混ぜて蒸すと蒸し羊羹になり、練って仕上げていくと「こなし」になる、と説明。さらに、ピンクと白のこなしによって作られた京菓子を見せ、「濃いピンクなら梅、淡いピンクなら桜になり、上から氷餅をかけると雪の中の花を表現することが出来ます」と語り、季節感を映し出す繊細な表現力に、会場は深い関心に包まれていました。

  • 菓銘をもつ生菓子(煉切・こなし) 編 3

     講義の最後に、受講者たちは髙家さんが作った京菓子を実食しました。ひと口味わうごとに感想を交わしたり、形や色合いを間近で確かめたりと、会場には和やかで熱気のある空気が広がりました。「色々なものを見て・聞いて、勉強して、自分の想像力を膨らませていくことで、京菓子の楽しさは倍増していきます」と髙家さんは語ります。自身も、外に出て風景を眺めたり、俳句を通して情景を感じ取ったりすることで、日々感性を磨いているそうです。

     京菓子の歴史から思想についての座学、実際の技術実演まで分かりやすく丁寧に進められたこの日の講義。受講者たちは熱心にメモを取りながら耳を傾け、実食の時間には学びを確かめるように京菓子と向き合う姿が印象的でした。