食文化“わざ”継承プログラム
和食・京料理 編
食文化を支える無形の“わざ”。私たちが体験する“美味しい”感動は、歴史の中で磨かれ、
受け継がれていく“わざ”によって生み出されます。
1月18日、京都府の京懐石美濃吉本店
竹茂楼にて「和食・京料理」についての食文化“わざ”継承プログラムが開催されました。
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310年の歴史を誇る京懐石の老舗、京懐石美濃吉本店 竹茂楼。日々、店内でお客様をお迎えする一方で、「ヴェルサイユ宮殿でのケータリングをはじめ、国際的なイベントに料理を提供する機会もあります」と語るのは、調理支配人の佐竹 洋治さん。和食文化が国境を越えて広がっていることを実感させるエピソードに耳を傾けながら、当日は大根の桂剥きや、鰻寿司を切る際の包丁さばきの実践、さらに、美しく見せる盛り付けの工夫について学びました。
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家庭用の包丁では難しく、専用の包丁を用いて行う大根の桂剥き 。包丁を上下に動かすことが重要で、佐竹さんは見事な包丁さばきで、大根をスルスルとむいていきます。しかし、「薄くすれば見栄えは良くなりますが、味が物足りなく感じられることもあります。そのため、あえて歯触りを残す切り方をする場合もあるのです」と語ります。“わざ”を駆使し、合わせる食材やその場の状況に応じて対応する——そうした臨機応変さこそが、料理人に求められる大切な技術であることが伝わってきます。
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江戸前寿司が空気を含ませて握るのに対し、京懐石で供される寿司は「押し寿司」と呼称されるようにしっかりと押して作るのが特徴。棒状に整えた酢飯の上に、丁寧に炊き上げた鰻をのせ、巻き簀を使って力を加えながら形を整えていきます。
「柔らかい鰻寿司を切るのは、とても難しいんです。野菜を単純に切る難易度が1だとすれば寿司を切る作業は10くらいでしょうか。押すのではなく引いて切っていきます。」と佐竹さん。言葉を交えた丁寧な指導のもと、生徒たちも実際に包丁を握り、その“わざ”を体感しました。 -
「盛り付けでは、料理の正面を意識し、食べ手が正面から見た際に、料理の左側、皿の奥側を高くすることが基本です。また、日本では右利きの方が多いため、右側に明るい色の食材を配置することが多いのです」と語りながら、手際よく盛り付けを進めていく佐竹さん。さらに、「変化を感じながら、最後まで美味しく召し上がっていただけるよう、日本料理の五味を一皿の中に取り入れています」と話します。実際に仕上がった前菜には、鰻寿司とからすみの塩味、大根と人参のなますの酸味、トマト琥珀水の旨味、菜の花のからし和えの辛味、黒豆の甘味が織り込まれ、一皿で五味を味わえる“わざ”が凝縮されていました。
最後には、この前菜を試食しながらの質疑応答の時間も設けられました。「今は、こうした継承プログラムや食育の取組も広がっています。少しでも興味があれば、ぜひ0からでも京料理の世界に飛び込んできてほしいですね」と、佐竹さんは笑顔で参加者にエールを送りました。