国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第8期国語審議会 > 第63回総会 > 次第 部会の審議経過報告について > 漢字部会審議経過について

〔漢字部会審議経過について〕

 漢字部会は,当用漢字全般についての具体的な審議にはいるまえに,部会委員全体が問題点について共通の理解をうる目的で,まず資料「検討すべき問題点の説明資料」〔総−1〕をひととおり検討することとした。以下は,これまでの検討の過程において,特に問題になった点である。

(当用漢字表)

  1. 使用する漢字の範囲の問題について,「範囲」を「基準」と改めるかどうかの問題があるが,これは,当用漢字の字種・音訓,固有名詞等すべてに関連する問題であるので,総合的に検討することが必要であることを確認した。
  2. 適用範囲については,これを教育だけ,また法令だけに限定してはという意見もあったが,適用範囲の問題とは別に,われわれの取り扱おうとする対象は,国民一般の社会生活のためであるということを念頭において審議すべきものであることを了解した。その場合,法令・公用文・新聞等は,国民一般に理解できるものであることが理想であり,義務教育は,これらを読むための基礎的な力を与えることが目標であるという意見であった。
  3. 固有名詞に用いる漢字を当用漢字表内に入れていくと,当用漢字表の性格があいまいになるので,別にして考えるべきであるという意見に対し,固有名詞に用いる漢字もじゅうぶん考慮するのでなければ,国字問題の解決には至らないという意見があった。
  4. 専門用語は,一般社会にも使われる可能性があり,教育にも関連があるので,必要な漢字は,当用漢字表にも入れるべきではないかという意見があった。
  5. 当用漢字別表の問題点については,別表の性格,学年別配当表等について根本的に検討する必要があり,児童・生徒の学習能力の限度,習得率等についての科学的な資料の上に立って検討する必要があるという指摘があった。

(当用漢字音訓表)

  1. 音訓の制限を合理的に緩和して,必要なものは追加する方向で検討すべきであるという意見が多かった。なお,熟字訓についても考慮する必要があるという意見があった。この音訓の問題は,社会一般において早急な解決が望まれていると思われるという指摘があった。

(当用漢字字体表)

  1. 簡易字体の採用にあたっては,漢字の構造原理などを考慮して検討すべきであるという意見と,日本における慣用に従って検討すべきであるという意見があった。

(その他)

  1. 個々の具体的な審議とともに,国語問題に関する基本的な考え方を明らかにする必要があるという意見があった。

トップページへ

ページトップへ