国語施策・日本語教育

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〔かな部会審議経過について〕

 かな部会は,「送りがなのつけ方」および「現代かなづかい」の問題について審議するにあたって,この二つの問題を並行して審議してほしいとの要望もあったが,問題の性質や審議の能率等から考えると,並行審議にはむりがあるので,この場合,どちらの問題を先に取り上げるべきか,まず,それを決める必要があるということになった。しかし,そのためには,部会委員全体が,「送りがなのつけ方」および「現代かなづかい」におけるそれぞれの問題点をはっきり知る必要があるというので,まず,資料「検討すべき問題点の説明資料」〔総−1〕をひととおり検討することとした。以下は,これまでの検討の過程において,特に問題となった点である。

(送りがなのつけ方)

  1.  まえがきにおいて,「(1)活用語およびこれを含む語は、その活用語の語尾を送る。(2)なるべく誤読・難読のおそれのないようにする。(3)慣用が固定していると認められるものは,それに従う。」の3か条を方針として並列させているところに問題があるという意見が多かった。
  2.  特に,.誤読・難読や慣用の固定といっても,人それぞれの年齢や教養,属している社会環境等によって違ってくるので,その取り扱いについて検討する必要があるという意見があった。
  3.  前項に関連して,送りがなのつけ方を法則化することには困難があり,送りがなはある程度,個人の自由に任せるのがよいのではないかという意見があった。いっぽう,国民一般のコミュニケーションや学校教育の立場から考えた場合,厳密な意味での正書法は成り立たなくても,できるだけ,一語一語の書き表し方を統一する方向にもっていくのが望ましいという意見もあった。
  4.  送りがなの問題を審議するにあたっては,今日までの送りがな法の移り変わりや,各方面における送りがなの実態を考慮する必要があるという意見があった。

(現代かなづかい)

  1.  かなづかいとは,語の書き表わし方であること,また,現代かなづかいは,だいたい,現代語の音韻組織に基づいて,文法・語構成等を考え合わせて定めたものであるということを了承した。
  2.  「現代かなづかい」が,歴史的かなづかいと関連させて説明してあるということについては,これは,制定当時には,社会一般に広く歴史的かなづかいが行なわれていたので,それを現代かなづかいに移行させるための過渡的な措置としての説明のしかたの問題であって,制定以来20年経過した今日では,すでに,歴史的かなづかいと対比させて説明する必要がなくなってきており,現段階では,説明をもっとすっきりしたものに改定してはどうかという意見があった。しかし,いっぽう,歴史的かなづかいと関連して説明してあるということは,中学校や高等学校における古典学習の助けになりはしないかという意見があった。
  3.  助詞「を,は,へ」の書き表し方は,学校教育,特に低学年では,いくらか問題があるようでもあるが,助詞であるということを示す機能もあり,このままでよいのではないかという意見も多かった。
  4.  2語の連合における「じ・ぢ・ず・づ」の書き分けについては,語構成の分析的意識の有無ということは,いちおうの基準にはなるが,実際には困難な点がある。けっきょくは,一語一語について決めるほうがよいとの意見があり,さらに,「じ・ず」に統一してしまうべきであるという意見もあった。
  5.  「おお・おう」,「こお・こう」等の書き分けの問題,「カ・クヮ」,および「ガ・グヮ」の書き分け原則としてなくなったことによる同音異義語の増加の問題,その他「むずかしい」「むつかしい」といったような語音のゆれに関する問題などについても意見があった。

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