国語施策・日本語教育

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次第 前回の議事要録について

福島会長

 ただいまから第104回総会を開会する。
 前回総会の議事要録は前もってお送りしてある。御自身の発言について修正の箇所があったら,どうぞ。後ほど御発言いただいても結構である。(発言なし。)一応確認したことにして,会議を進行したい。
 議事に入る前にお知らせしておくことがある。
 先般学術審議会学術用語分科会から,電気工学の用語の改定案が出来上がり,近く文部大臣に建議する運びになったので,お知らせする旨の通知を頂いた。学術審議会の組織法の関係からあらかじめ国語審議会に連絡することが必要事項になっているということで,御通知を頂いたわけである。
 この案は新たに作成されたというわけではなく,関連学会との用語の調整や技術の進歩による用語の増訂等をしたという改定案であるそうである。当用漢字表の表外字を使っている部分はなく,事務局の検討では全く問題点はないとのことであるので,口頭で御報告しておく。御連絡を頂いたという返事は国語審議会会長の名前で適切にしておきたい。問題点がないとのことであるので,さような手続をとることを御了承願いたい。
 そのほか,御記憶と思うが,日本と中国の略字の共通化のことが,国会議員の関係などで新聞で報道されたことがあった。国会で質問があり,文部大臣がこれに答弁された。文部大臣の答弁を一応紹介しておく必要があると思うので,事務局に報告してもらう。

室屋国語課長

 会長の御説明のように,52年10月18日(火)参議院予算委員会で社会党の小柳議員から日中の漢字の共通化の問題について検討委員会をつくることに対する文部大臣の見解をただした質問があった。これに対して文部大臣から次のような趣旨の答弁があったので,御報告申し上げる。
 「現在国語審議会で漢字表及び字体表の審議が行われており,字体の審議に関連して審議会委員を中心とした調査団を中国に派遣して中国の文字改革の実情を調査したこともある。この問題は両国の文字改革の方向,文字使用の実態に相違があり,両国のそれぞれの文化に根ざした経緯もあるので,今後とも文化庁国語課で中国の文字改革の情報等を収集していくとともに,当面は国語審議会の議論を通じて検討,判断を続けていきたい。」

福島会長

 ただいまの報告のように,日本と中国の略体文字を共通にすることができないかといった趣旨の質問に対して,文部大臣の答弁は,字体問題については目下,国語審議会が審議中であるから,国語審議会の検討にしばらくは任せたいということであったと思う。
 当審議会としても林(大)委員を団長とした調査団の報告を聞いていることでもあり,また漢字表委員会で目下,熱心に御検討いただいていることでもあるので,この問題について総会として今見解を固める必要もなく,漢字表委員会の結論を待つべき筋合いであろうと考える。
 先ほどの文部大臣の答弁も当審議会の考えと同様であると思うので,格別審議会として異議を申し立てる問題でもないと思う。
 それでは,ただいまの事務局の報告について御意見があったら,どうぞ。日中の略字について同一の文字を採用したらどうかといった趣旨で新聞には出ていたと思うが,漢字表委員会の検討の参考にもなると思うので,御意見があったら,どうぞ。
 余談であるが,社会党の小柳議員が日中略字の共通化について中国で話し合われたのは,張香山という人であるが,氏は中国報道団の団長か何かで東京に来ていて,私も一度会食をした。その際に少し聞いてみたところ,中国の略体文字は,中国流の発音に従って整理された面もあるので,なかなか日本での採用は難しいであろう,というようなことを言われていた。そう単純な問題でもなさそうだという気もしている。
 漢字表委員会での御検討を待ってからということで,当面文部大臣の発言のとおりでよいと思うが,特に御意見はないか。なければ,この問題は後の問題ということにさせていただきたい。

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