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次第 庶務報告/前回の議事要録の確認/仮名遣い委員会の審議状況について(報告)

有光会長

 定足数を満たしておるようであるので,ただいまから国語審議会第2回総会を開会いたしたい。
 初めに,事務局から庶務報告をお願いする。

後藤国語課長

 本日の会議の資料であるが,お手元には,本日の議事次第と,後ほど仮名遣い委員会の主査から御報告がある「仮名遣い委員会の審議状況について」という報告資料と,二種類がお手元にお配りしてある。
 なお,前回の総会の議事要録は青いファイルの中にとじ込んである。
 また,8月23日付けで,国語課の課長補佐が若松から田渕に代わったので,併せて御報告する。

有光会長

 お手元のファイルの中に入れてある前回の議事要録の確認をお願いいたしたい。既に委員の皆様へは5月の下旬にお送りしてあるので,お読みいただいたことと思う。修正すべき点があれば,おっしゃっていただきたい。なお,後ほど事務局へ連絡していただいても結構である。この際御発言があったらどうぞ。
 別段御発言がないようであるので,先ほど申し上げたことを前提として,前回の議事要録は御承認をいただいたことにさせていただきたい。
 それでは本日の議事に入る。
 本年4月23日の第1回総会で,前期と同様「現代かなづかい」の問題点に関する技術的,専門的事項について,仮名遣い委員会での検討をお願いしているが,その後の検討経過について,主査の林(大)委員から御報告を伺い,その後協議に入りたい。

林主査

 それでは仮名遣い委員会の審議状況について御報告を申し上げる。
 お手元の資料に従って説明を加えてまいりたい。
 仮名遣い委員会は,5月11日に第1回,9月18日に第5回と5回開いた。その間において小委員会を,5月22日から9月14日までに7回開催しており,仮名遣いとしての表記上の具体的な問題と,それから仮名遣いの法則の立て方及び運用上,あるいは適用上の問題について検討してまいった。その審議の状況について御報告申し上げる。
 第一に表記上の問題であるが,問題点については,従来,総会でも繰り返し御報告いたしたし,また審議していただいている。それらについて具体的な結論を得るために検討してまいった。
 その一つは四つ仮名についてである。すなわち,「じ・ぢ」「ず・づ」の問題であるが,これについては従来「二語の連合」それから「同音の連呼」という二つの場合において「ぢ・づ」を使うということになっている。
 二語の連合は,「はなぢ(鼻血)」というように「はな」と「ち」が連合したために「ぢ」ができたのは「ぢ」にする。「みかづき(三日月)」も「つき」であるから「づ」にする。
 同音の連呼というのは,「ちぢむ」「つづく」というふうになっているものであるが,それについて「ぢ・づ」を使うという現行の考え方は,このたびも踏襲するのがよかろうというふうに考えてきている。それについて,「地面」の「地」というようなものは,呉音で濁ることになっている。漢音で「ち」,呉音で「じ」というふうになるものであるが,一方に「地球」の「地」が漢音であるから,「ぢ」の方がよくはないかという考え方が,明治以来あるわけであるが,語頭において濁るものであるから,現行のとおり「じ」で書くことにして,新しく「ぢ」で書くというような特例は設けないのがよかろうというふうに考えている。
 次に,二語の連合については,四つ仮名の書き分けに問題になる語がある。すなわち二語の連合を認めてよいかどうかについて問題があるものであって,学問的な語源主義にはよらないことにして,昭和31年の「正書法について」で取り上げられている問題の語について,現在の立場で検討をいたした。問題は,本日の資料にあるTの1の(2)のア,イ,ウという三つの点になるかと思う。
 アでは,例えば「こぢんまり」「ぬかずく」「さしずめ」「いなずま」「ひざまずく」という例であるが,「こぢんまり」は,いま「正書法について」は「ぢ」にしている。これは「ちんまり」という言葉もあるからということで「ぢ」になっているわけである。「ぬかずく」「さしずめ」「いなずま」「ひざまずく」は,「正書法について」で「ず」にしているが,これについては,やはり「つく」ではあるまいか,「つめ」ではあるまいか,「つま」ではないかというような御意見があるわけである。
 それから,イの「正書法について」には掲げられていないものであるが,なお現在使われないわけではない言葉がある。「きづま,きずま」というのがよく使われるかどうか分からないが,「きづま・きずま」とか「組んづほぐれつ・組んずほぐれつ」「でづっぱり・でずっぱり」「ときわづ・ときわず」「いえづと・いえずと」などという言葉があるが,こういう言葉については,どっちにしたらいいかということを改めて考えなければならないということがあるわけである。
 それからウであるが,これは漢語である。「連中」は「れんちゅう」とも読むが,「れんじゅう」という言葉もある。「融通」,「神通力」も「じんつうりき」と読む習慣も若い世代では大分一般化しているかと思うが,しかし「じんずうりき」と言ったときに,それを仮名でどう書くかという問題があるわけである。

林主査

 これらの問題について,ここに挙げないその他の語を含めて,仮名遣い委員会の範囲でアンケートを行って,大体の意見の傾向は分かっている。けれども,まだ最終的な結論は得ていない。これについては,なるべく疑いの起こらないように決めることが必要であろうというふうに考えている。
 なお,(3)に許容を設けるかどうかであるが,原則を「ぢ」にしておいて「じ」に書いてもよろしいとか,「ず」としておいて「づ」と書いてもよろしいといったような許容を設けるかどうか。この問題についてもいろいろ議論をしているけれども,最終的にはまだ決めたわけではない。
 次に2のオ列の長音をめぐる問題である。「おお」と書く場合と,「おう」と書く場合と,両様の書き方の可能性があって,「現代かなづかい」では「おう」と書くのが原則になっている。これを「おお」一本にしてはどうか。ア列の長音は「ああ」と書く,イ列の長音は「いい」と書くというのであるからオ列の長音も「おお」と書く,こういう一本にしてはどうかという御意見もあるが,(1)オ列の長音は「おうさま」「とうげ」のように,オ列の仮名に「う」をつけて書くのが「現代かなづかい」の原則であり,これは現行のままとしようというわけである。
 次に(2)のオ列の長音について。現行では,備考の第五に「オ列のかなにうをつけて書くことを本則とする。」とあるので,これについては,先ほど申したように「おおさま」「とおげ」というふうに「お」をつけて書くことも許容される形になっていると解釈されるわけであるが,この許容は残しておかなくてよい。これは「おうさま」「とうげ」と決めるというふうにした方がよかろうと考えている。
 それから(3)の「とお(十)」「こおり(氷)」「おおい(多い)」「とおい(遠い)」などの書き方は,「現代かなづかい」で,このとおり「とお」「こおり」「おおい」と書くことになっているが,歴史的仮名遣いでこれらは「を」又は「ほ」と書いていたものであって,これはやはり現行のまま「現代かなづかい」のように「とお」「こおり」というふうに書くことにしようと,考えているわけである。「とう」「こうり」「おうい」というふうには書かないということである。これについては,これらは長音であるかどうかという問題はあるわけだけれども,理屈はともかくとして,これらの語については現行の書き方を変更しないのがよかろうと考えているわけである。
 それから3のウ列の拗長音であるが,これも現行のままとしよう。「キュウリ」「ウレシュウゴザイマス」というとおりである。これについて,「きうり」「うれしう」というふうに書こうという考え方もあるわけであるが,現在,「ゆ」を小さく書く書き方になっているので,これを変えないでおく。付け足りとして「いう(言う)」という言葉がある。これは「現代かなづかい」では「ゆ」の長音とは認めていないので「いう」と書くことになっている。発音はどうも我々「ユウ」と言っているけれども,「現代かなづかい」では「ゆ」の長音とは認めていない。これも我々は現在のとおり「いう」と書くことを踏襲しようというふうに考えているわけである。
 それから4のエ列の長音や「経営」等の書き方についてである。これも現行のままといたしたい。これについて「ケーエー」ではないか「エーセー」ではないか,エ列の長音ではないかという問題があるけれども,それについての説明を加えるという問題については,なおこれから考えていくことにする。現行の仮名遣いでは「ねえさん」とか,返事をするときの「ええ」という例を挙げているだけであって,「えいせい」とか「けいえい」の類はエ列の長音のところには挙げない。だから,エ列の長音とは「現代かなづかい」では認めていなかったわけである。しかし,これをエ列の長音と認めるかどうか,これはやはり問題があるが,一般にエ列の長音に発音する習慣は認めないわけにはいかないと思う。その説明の仕方はなお考えてまいるが,仮名遣いとしては,これらは従来のとおり「えいせい」「けいえい」と書き,「ええせえ」「けえええ」という書き方は新たにとらないというふうに考えているわけである。
 5は,助詞の「を」「は」「へ」の問題である。これらの書き方も現在のとおりに残したいと考えている。「は」「へ」については,「現代かなづかい」ではそれぞれ「は」「へ」と書くことを「本則とする」とあって,「わ」「え」と書くことも許容される形になっている。しかし,いろいろ議論をした結果,許容というものは,なるべく複雑にしない方がよかろうし,現在は「は」「へ」と書くことがほとんどもう定着していると考えていいというふうに認識して,この許容はもう残しておかなくてよいというふうに,仮名遣い委員会では大体考えている。

林主査

 次に「を」か「は」か,あるいは「お」か「わ」で書くか問題になる語があって,それを検討したが,「てにをは」という言葉があったり,「をこと点」という言葉がある。これは専門的な言葉であるけれども,こういう場合どうか。これは「てにをは」そのものであるから,このまま「を」を使ってよかろう。「いまわの際」とか,「すわ一大事」とか,「かわたれどき」という言葉がある。これは語源的に申せば当然「は」であるけれども,いまやこれは「いまわ」とか「すわ」とか「かわたれどき」と一語になっているから,ここでは「わ」でもいいのではあるまいかと考えている。しかし「ものかは」とか「ものはづけ」とか「こんにちは」「こんばんは」「こんちは」というたぐいは,まだ助詞としての「は」が効いているものとみてはどうかというわけである。この辺については,なおまだ問題があって,「こんにちは」「こんばんは」というあいさつ言葉については,「わ」でもよくはないか,という意見もないわけではない。
 6は,現行の「現代かなづかい」の注意一というのにある地方的発音に関する問題である。地方によっては「カ」と「クヮ」というのを発音し分けている。「ガ」と「グヮ」というのを発音し分けている地方があるわけである。それから,これは私うまく皆さんにお聞き取りになるように発音できないが,「ヂ」と「ジ」,「ヅ」と「ズ」というのを発音し分けている地方がある。これについては,こういう地方に限りこれを書き分けても差し支えないという注意が「現代かなづかい」にはあるわけであるけれども,「現代かなづかい」制定以来,この条項は余り生かされてこなかった。あるいは無視されてきたという実情からすると,この条項は残しておかなくていい,こういう地方的な条件は要らないというふうに考えている。もしこれを書き分けたいという人は,これはまた後に関係するが,個人的な仮名遣いとしてお考えいただけばいいのではないかということである。
 7の促音化する語中の「キ」「ク」の問題について。これは「現代かなづかい」の中で説かれていない問題であって,下に例があるように「てきかく」か「てっかく」か,「すいぞくかん」か「すいぞっかん」かという問題である。これについては,多少の傾向はあるけれども,はっきりしたルールを立てることが甚だ難しくて,これについて決定的に,この語は「き」,この語は「っ」というふうになかなか決め難いところがある。例示,解説その他でどのように言及するか,なお考えていくことにする。この問題は,現在の「現代かなづかい」では全く触れていない。
 それから「てきかく」か「てっかく」かといったように人によっては,はっきり「テキカク」と言う人もあるかもしれないが,例えば「ほっぺた」という言葉については「ホオ」と言う人と「ホホ」と言う人とがある。「シワス」と言う人と「シハス」と言う人とがある。これは歴史的仮名遣いで「しはす」と書き「ほほ」と書いていたものだから,実際には「ホオ」になっている人が多かったにもかかわらず「ホホ」と仮名遣いのとおりに読む人ができてきてたわけである。「シハス」も多分そういうことだろうと思う。これは両様あると認めないわけにいかない。しかし,これらについては,現代の標準の発音はこうである,「ほお」は「ホオ」と言うんであって「ホホ」と言ってはならないのであるとか,「シワス」が正しいのであって「シハス」と言っては間違いであるといったような,そういう標準を決めるわけにはいかないから,これらについては両様の書き表し方があってもよかろうと考えている。また「むつかしい」か「むずかしい」かという問題がある。関西の方では「ムツカシイ」が多いようであるし,東京では「ムズカシイ」というふうに言っているが,これをどちらがいいというわけにもなかなかいかない。東京を標準にすれば「ムズカシイ」であるが,しかし関西の「ムツカシイ」が誤りであると決めつけるわけにもまいらないだろうと思う。こういうような言葉については,両様の書き表し方があってもよかろうというところで考えている。
 以上が具体的な問題で検討を加えたところである。
 概観すると,審議の間には,もっと表意的な工夫をすべきである,言葉の意味がよく分かるような仮名遣いというものを工夫すべきであるというお考えも出たし,また反対にもっと表音的な原則の適用を徹底すべきである,「じ・ぢ」という書き分けなど考えずに「じ」に統一してはどうかといった御意見もあった。両端あるが,審議の大勢においては,ただいま述べたようになお工夫しなければならない点はあるにしても,結果としては,現在の「現代かなづかい」の書き方を大体において変える必要はないと考えることになったと申すことができようと思う。

林主査

 次に,Uの法則及び運用上の問題について申し上げる。第1に,仮名遣いの性格や適用分野等の問題についてである。これも先般からいろいろ総会の皆様方にもアンケート等でお答えいただいているところであるけれども,仮名遣い委員会としても議論をした結果,(1)の性格については「よりどころ」を示すものというふうにしよう。これは昭和48年の「送り仮名の付け方」の書き方を踏襲するものである。これについては,青いとじ込みの一番上に参考資料がある。そこに「現代かなづかい」と「常用漢字表」と「送り仮名の付け方」の性格や適用分野等の問題についての対照表があるが,仮名遣いの性格については,「送り仮名の付け方」の「よりどころ」という言葉を採用しておこうというふうに考えている。
 (2)の適用する文体であるが,これは「主として現代文のうち口語体のもの」とする。これは,現在の「現代かなづかい」の前書きがこのとおりになっているので,これもそのとおり踏襲いたしたいと考えている。
 (3)の適用分野については,「法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活」に適用するというふうにいたしたが,これは「送り仮名の付け方」「常用漢字表」の前書きと歩調を合わせるわけである。
 (4)にあるように,「科学,技術,芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。」ということも書いておく。これも「送り仮名の付け方」「常用漢字表」の考え方をそのまま残すものである。仮名遣い委員会の議論の中では,仮名遣いというのは送り仮名や漢字とは多少性質を異にしているものであるから,「科学,技術,芸術その他」となっているところを,例えば「文芸,学術」といったような言い方にした方がよくはないかという御意見も出たわけであるけれども,現在の「送り仮名の付け方」「常用漢字表」の考え方をそのまま残そうと考えているわけである。
 (5)の「原文のかなづかいによる必要のあるもの,またはこれを変更しがたいものは除く。」であるが,これは現在の「現代かなづかい」の前書きにあるとおりであって,例えば古典を引用するところ,古語のことわざなどを引用するところが,あるいは原文のとおりに書く必要があるかもしれない。そういう場合には,必要があれば原文の仮名遣いを使ってもいい。また変更しがたいもの,例えば固有名詞などで店の名前とか商品の名前とかで変更しがたいものがあるので,それに及ぼそうということは考えていないということをはっきりさせておこうというわけである。
 (6)であるが,特殊の音,例えば擬声語,擬態語や,嘆声,方言,外来語,外国語の音などに特殊な音がある。そういうものを書き表す場合は,この仮名遣いでは対象にしないということをはっきりさせておいた方がよかろうということである。方言,特殊な音がいろいろあるわけである。東京などでも「ツァ」とか「ツェ」という発音が出ないわけではないし,先ほど申した,地方によっては「クヮ」という発音がまだ残っているところもある。例えば「エャァ」「ケャァ」という特別な音もある。そういうようなものについてどう書くかというようなことは,ここでの問題ではない。方言の問題ではない。外来語では,日常会話の中にも外来語がたくさん入ってきて,「ファ」とか「フィ」とかいう言葉も大分,我々耳にすることがあるし,それから「ワン・トゥー・スリー」というのを「ワン・ツー・スリー」でなくて「ワン・トゥー・スリー」,「トゥー」というような音が入るし,例えば今の「クヮ」であるが,「クヮルテット」という「クヮ」というのも入っていると言えば入っているわけである。そういうようなものについてはここでは問題にしない。前の総会でも御報告したが,我々は外来語は後の機会の問題にしたいということを申しておるとおりであって,今度決めようとする仮名遣いを外来語に適用するということは,ここでは一応考えていないということである。外国語ももちろんである。外国の人の名前,土地の名前その他,「ティ」「ディ」とか「テュ」「デュ」という発音があるけれども,それについてもここでは対象に考えていないということを明らかにしておきたいというわけである。
 その下に丸印で書いてあるが,仮名遣いの原則として,現在は「大体,現代語音にもとづいてうんぬん」と書いてあって,表音主義ということが一応表に出ているわけであるけれども,我々としては,この仮名遣いは,語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とする──それは「現代かなづかい」の原則である──とともに,表記の慣習を尊重して一定の特例を設けるということを明らかにしておくことが必要であろうと考えている。「現代かなづかい」には「大体」という言葉があるけれども,「現代語音にもとづいて」とあるのに,現代語音に基づかないものがあるのはどうかというような言いがかりもつけられていることを考えると,ここでは,我々は慣習に従って,慣習を尊重しているということを明らかにしておいて,「語を現代語の音韻に従って書き表すことを原則とするとともに,表記の慣習を尊重して一定の特例を設ける。」ということを書いておくか,説明をしておくか,することが必要と考えている。
 それから,2の規則の立て方であるが,「現代かなづかい」は一見,非常に複雑な様子を示している。分かりづらいというような批判があるので,今度立てる規則は,構成の上で,(1)現代語音との対照を骨子とした構成にするか,現代語音はこうだから,それをこう書くといったような対照構成にするか,あるいは(2)現在の「現代かなづかい」のように旧仮名遣い,すなわち歴史的仮名遣いとの対照ということを骨子とした構成にするかという,両様の考えができるわけである。「現代かなづかい」に慣れた人にとっては,新旧対照ということがよく分かると考えられるし,また現代語の音韻に従って書き表すというようなことを言っている以上は,現代語音との対照を主にして考えるべきであるという考え方もできるわけであって,いずれをとるか,まだ具体的な箇条立てについては論議が進んでいないけれども,現在のものに比べて簡潔な形をとりたい,より分かりやすく,簡明なものにする,なるべく疑義が起こらないように,例えば例外的なものを立てるにしても,あるいは限定列挙するというようなことができるかどうか,そういうような点を検討してまいりたいと考えている。
 以上が,私,主査として一通りのまとめである。もし審議の報告の内容として補足修正すべき点があったら,委員の方々にも,御指摘御説明をお願いする。

有光会長

 ただいま「現代かなづかい」に関する表記上の問題点や法則及び運用上の問題点等について,仮名遣い委員会及び小委員会でいろいろの角度から協議された様子をお伺いした。また今回の御報告では,仮名遣い委員会としての一応の方向も示していただいている。

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