国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 今後の運営について

坂本会長

 長官のお話も含めて,以上の事務局側の御説明について御質問があるか。もし格段の御質問がないようであれば, これから9の議事に入りたい。
 まず,「今後の運営について」であるが,従来,国語審議会では若干名の委員から成る運営委員会を設けて,審議会の運営上の問題について,会長を補佐し,運営の円滑を図ってまいった。そこで今期も,引き続いて運営委員会を組織していただいた方がよろしいのではないだろうかと考えるわけであるが,いかがか。


(「異議なし」との声あり。)

坂本会長

 それでは,運営委員会を設けることとするけれども,運営委員会の委員の指名というのは, これまた先例によると,会長一任ということになっているが,そのように取り計らってよろしいか。


(「異議なし」との声あり。)

坂本会長

 では,御異議がないようなので,指名をお許しいただきたいと思う。
 浅野委員, きょうは御欠席の江藤委員,大出委員,尾上委員,加藤委員,服部委員,林大委員,林巨樹委員,この8名の方に私と沖原副会長が加わって,合計10名ということにさせていただきたいと思う。
 それでは,今後の運営については,皆さんの御意向を伺いながら,また運営委員会で御相談しながら取り進めていくこととしたいが, この際,特に御注文があればお聞かせいただきたいと思う。できるだけこの機会に御発言をお願いしたいと思うが,いかがか。何でも結構である。せっかくの機会で, きょうは時間も十分あるので。もし御要望があれば,その場合は運営委員会に預からせていただこうと思っている。

中西(進)委員

 私,初めてここに参加させていただくが,何でも自由に発言していいから, この会に来ないかという文化庁からのお話であったので,勝手なことをいろいろ申すけれども, さっき国語審議会の決まりの文言を御紹介いただいた。その中に,「文部大臣又は文化庁長官の諮問に応じて国語の改善をする。」という一項目があるが,果たして我々が,国語という一般的な,大衆的な,かつ正体の分からないぬえのようなものを改善することができるのかどうか, という大きな疑問がある。
 言葉というのは, さっきの大臣のお話にもあったように,ーつの時代性とか趨(すう)勢とかいうものを持っているわけであるから,それをたかだか四,五十人の人間が, 自分たちの判断とはいえ,それに従って何か方向を出すことが果たして改善と言えるか,そういう問題が大きくあると思う。それで,私どもがここで何をやるかということを,まず最初に伺いたいのである。
 おそらく国語のあるべき姿といったもの,ーつこういう方向があるのではないかといった提言をするというようなことではないかと思うが,我々のコンセンサスとしてどういうことを考えたらいいのか,それを古い委員や会長からお示しいただけたらと思う。

坂本会長

 今の委員の御発言に対して,何か御意見はないか。私から言えと言われても,なかなか難しい。しかし,大事な問題であるから,ぜひひとつ御自由に……。

山川委員

 私も実は同じような疑問を持ってこの会場に来ているわけである。今までNHKのアナウンサーは,「美しく」「正しい」ということばかり強要された余り,魅力のある話をする人が少ない。正しい,美しいということは確かに大事だが,むしろ魅力ある話し方,魅力のある言葉,あるいは言葉は面白い,国語は面白いということが小さいときから教育されていたならば,もっと生き生きとした表現ができるのではないかと思うので,そんなこともぜひ国語審議会に組み込んでいただきたい。
 それから,こういう会議場でぴしっと整列してやるのではなくて,ある一部の委員が地方へ出ていって,地方の人たちと話し合って,そこからまた新しい方策を何か考え出すというようなことも,必要じゃないかと思うわけである。

坂本会長

 これも私が直接答弁するには難しい点もあるが,長年,言葉で苦労されてきた山川委員のことであるから,言われてみると,なるほどと思わないでもないが,なるほどと言ってしまっていいかなという気もあるので,その辺はひとつペンディングにさせていただいて,ほかの先生方の御発言もいただきながら取りまとめていきたいと思う。
 ほかに何かないか。非常に重要な御提言,御質問かと思うので,ぜひ御自由に御発言いただきたいと思う。

川村文化庁長官

 今の中西委員,山川委員のお話のお答えになるかどうか分からないが,御参考までに,お手元の資料5の70ページを見ていただくと,この審議会でかつてそういう御議論をしていただいているわけである。
 69ぺージのところに,昭和25年,当時の土岐善麿会長から天野貞祐文部大臣に対する報告があり,「国語審議会の性格と任務」という御議論がある。
 70ぺージの上の方に,「およそ言語は,歴史の裏づけをもった社会慣習であるから,法令などによって拘束したからといって,ただちに改善できるものではない。」ところが,国語というものが余りに複雑化するなどのことがあって,そのために,「国民の社会生活や文化の発達にとってさまたげとなっている点も少なくない。したがって,国語の現状に照して将来を見とおし,その改善に積極的な努力を試みることはきわめて必要である。国語審議会は,これらの努力に対し,適正な方向を与え,これを助成して,国語の改善,国語教育の振興をはかるという使命をもつものである。」というようなことで,御議論をいただいた経過がある。
 昭和25年であるから,この当時と国語をめぐる状況が全く同じということではないと思うが,国語審議会の仕事という基本のところは,こういう考え方をべースにして進めていただくことが今でも必要なのではないか。これはまたぜひ御意見をいただきたいと思う。

坂本会長

 今の長官の御指摘で,一応の筋道が分かったような気もするけれども,それはそれとして, ほかに何か御意見はないか。中西委員,いかがか。

中西(進)委員

 結構だと思う。ただいまの文章の中にも,適切な方向を与えて「改善」をはかるということがある。もちろん,その言葉にこだわるわけではないが,基本的に,言葉というものを大事にするということ,個人の意思ではなくて,歴史的な趨勢を大事にするという方針をもしお認めいただけるのならば,私も喜んで議論に参加したいと思うわけである。大変よく分かった。

坂本会長

 それでは,今後の運営ということについては,とりあえずはそういうことで……。

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