国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 ―「審議経過報告」に対する反響等について(報告)

坂本会長

 では,続いて本日の議事に入る。
 6月の総会で中間的な審議経過として報告した「現代の国語をめぐる諸問題について」は,報道機関に公表されるとともに,広く諸方面に配布されたように伺っている。
 また,先日新聞などで報道されたが,国語に関する総理府の世論調査も実施されたようである。さらに文部省の初等中等教育局においても,さきの国語審議会の審議経過報告を受けて,このほど音声教育に関する指導資料を作成することになったとのことである。
 本日は,まず中間報告に対する反響や世論調査の結果,また音声教育に関する指導資料作成等について事務局から御報告いただいて,その後で,これらについて皆様方の御感想やお考えを伺いながら,今後の審議の進め方などについて御相談したいと考えているので,よろしく御了解をいただきたい。それでは事務局から,お願いする。

韮澤国語課長

 まず,中間報告の配布について御報告申し上げる。
 6月18日に文部大臣に御報告いただいた中間報告については,大量に印刷して,約8,000部を各省庁,各都道府県,各都道府県教育委員会,それから全国約3,000ある各市町村,各市町村教育委員会,国公私立大学,短期大学,高等専門学校,文部省,文化庁の所轄機関,さらに報道,出版,印刷,電子機械,電子工業の関係協会等にお送りした。
 そのほかには,文部省の新聞である「文部広報」,あるいは「文部時報」「文化庁月報」といった広報誌に,この概要を掲載した。
 それから,この中間報告の反響であるけれども,お手元の資料に新聞記事の抜粋をお配りしてあるが,これはこの中間報告についての中央紙,主な地方紙の関係の記事である。最初の5枚までが,6月19日の総会の翌日に出た報道記事で,残りはその後に出た関係の記事である。
 これらについては,私どもの理解としては,全体としておおむね肯定的というか,特に反対論とか疑問を呈するといったような記事はなかったのではないかと考えている。
 見出しについては,新聞社によって,ワープロの問題,方言の問題,官公庁の片仮名言葉の問題,敬語の問題,音声言語の問題等,様々な問題が見出しとして取り上げられている。
 それから,新聞以外の反響であるが,各機関に配布したが,特に期限を切って意見提出を求めるという形をとっていないので,今のところ,文書で意見を提出したところはない。
 なお,今月中に,東西2地区で主に小中高等学校の国語の先生等を対象とした国語問題研究協議会を開催する予定であるので,そこで中間報告について御説明し,いろいろ意見を聞く予定になっている。
 次に,「国語に関する世論調査」というものをお配りしてあるが,これについて簡単に御説明申し上げる。
 この冊子の1ぺージ目をめくっていただきたいが,「調査の概要」というのがある。これがこの調査の概要を記したものであるが,この調査は総理府の広報室が行ったもので,それに私どもも協力したという形になっている。
 目的は,「言葉づかいや話し方,文章の書き方等国語についての国民の意識を調査し,今後の施策の参考とする」とあって,調査項目としては,「国語についての関心」「言葉づかいについての意識」「国語の乱れについての意識」「敬語についての意識」「外来語・外国語についての意識」「国語を美しく豊かにするための方策」といった六つの事柄が挙げられている。対象は,全国20歳以上の者,約3,000人で,調査時期は6月4日から14日まで,調査員による面接方式で行われた。回収結果については,約76%の回収で2,284人となっている。
 次に,「調査結果の概要」であるが,3ページ以降にその概要があるので,かいつまんで御説明申し上げる。
 まず,「国語についての関心」であるが,「関心がある」と答えた者の割合が72.9%ということで,約7割の者が「関心がある」と答えている。「関心がない」と答えた者は26.0%という状況である。
 4ぺージであるが,それを性別に見ると,「関心がある」と答えた者の割合は女性で高くなっている。そして年齢別に見ると,「関心がない」と答えた者の割合が20歳代で高くなっている。そういったわけで,性,年齢別に見ると,「関心がある」と答えた者の割合は女性の30代から50代で高くなっているというような状況である。

韮澤国語課長

 次に,5ぺージであるけれども,続いて「関心がある」と答えた者に「どのような点に関心があるか」と聞いたところ,「日常の言葉づかいや話し方」というのが最も多く,以下,「敬語のつかい方」「文字や表記の仕方あるいは文章の書き方」「言葉の意味・由来や国語の歴史」といった順になっている。性別に見ると,「日常の言葉づかいや話し方」「敬語のつかい方」を挙げた者は女性で,「言葉の意味・由来や国語の歴史」を挙げた者の割合は男性で,それぞれ高くなっているという状況である。年齢別に見ると,「ワープロなどの情報機器が国語に与える影響」を挙げた者の割合が若年層になるほど高いという傾向がある。
 次に,7ぺージであるが,「言葉のつかい方に気をつかっているか」という質問についても約7割の者が「気をつかっている」と答えている。
 次に,8ページであるが,「今の国語は乱れていると思うか」ということである。「乱れている」と答えた者が74.8%,「乱れていない」というのが19.7%という状況で,都市規模別に見ると,「乱れている」と答えた者は大都市で高くなっている。性別で見ると,女性が高くなっている。そういうことで,性,年齢別で見ると,「乱れていると思う」と答えた者の割合は女性の30代からち50代で,「乱れていると思わない」という者は男性の20代で多いという状況である。
 次に,10ページであるが,前回昭和52年に似た調査をしているわけで,若干質問が違うが,乱れているかどうかに対して「そう思う」が69.2%と,今回の調査では,約5%ほど「乱れている」という者が増えたというような状況である。
 次に,11ぺージで,どういう点が乱れているかと聞いたところ,「話し方」を挙げた者が最も多く,以下「敬語のつかい方」「あいさつの言葉」といった順になっているという状況である。
 それから,13ぺージで,「乱れていると思わない」と答えた者の理由を聞いたところ,「多少の乱れがあっても,根本的には変わっていないと思うから」というのが最も多く,以下「言葉は時代によって変わるものだと思うから」「いろいろな言葉や表現がある方が自然だと思うから」というような答えが多いようである。
 次に,14ページで,いわゆる「ら抜き言葉」,例えば「見られる」を「見れる」と言うようなものであるが,これについてはどうかと聞いたところ,「気になる」と答えた者が40%,「気にならない」と答えた者が57.9%である。性別に見ると,「気になる」と答えた者の割合が女性で高くなっている。年齢別に見ると,「気にならない」と答えた者は若年層になるほど高い。地域ブロック別では,「気になる」と答えた者の割合が関東地方で高くなっているといった状況である。
 次に,16ぺージであるが,「敬語についての意識」,敬語が必要かどうかということで,「必要だ」と答えた者が93.7%で,大部分は必要だと答えている。
 また,1ぺージめくっていただいて,17ページであるけれども,敬語が必要だという方にその理由を挙げてもらったところ,最も多いのが「相手を尊敬する気持ちを表せるから」というもので,以下,「相手と自分の立場をはっきりさせて,けじめをつけることができるから」「表現がやわらかく,人間関係を円滑にすることができるから」といった順になっている。
 それから,18ぺージで,敬語が必要だと思わない者について理由を聞いたところ「よそよそしい感じがするから」とうのが最も多く,以下,「複雑でわずらわしいから」「敬語による形式的な表現よりも,個性的な表現を優先したいから」といった答えが多いようである。 

韮澤国語課長

 次に,19ページであるが,「外来語・外国語についての意識」である。これについて,使われすぎているかどうか聞いたところ,「つかわれすぎている」と答えた者が70%,そうではないという者が24.9%という状況で,年齢別に見ると,「つかわれすぎている」と答えた者の割合は高年齢になるほど高くなるという傾向である。
 これについて,20ページの下の方にある52年の調査と比べてみると,「外来語が多いと感じることが,よくありますか」という質問では,「よくある」と「たまにある」を合わせると65.3%で,若干質問は違うけれども,今回の方が「つかわれすぎている」と考える方が増えていることが分かる。
 次に,22ぺージの,「国語を美しく豊かにするための心がけ」ということである。そのためにどういうことを心掛けたらよいかということでは,最も多いのが「相手や場面にふさわしい言葉づかいを身につける」,以下,「話し言葉における豊かな表現力を身につける」「正しい発声や発音を身につける」「正確な文章を書くカを身につける」「漢字の読み書き能力を向上させる」といったような順になっていて,話し言葉に関するものを挙げる者が多かったという状況である。
 次に,25ぺージの,「国語の将来のために国や社会に望むこと」である。どういったことを望むかということでは,「学校での国語の教育をより充実させる」というのが最も多く,以下,「家庭や社会での言葉の教育を充実させる」「言葉のつかい方について標準を示し,普及・啓発に努める」「言葉の意味・由来や国語の伝統を大切にし,保存・継承する」「国語に対する意識が高まるよう啓発する」といった順になっている。
 そして,27ぺージであるけれども,これを都市規模別に見ると,「方言を大切にし,保存・継承する」を挙げた者は町村で高くなっている。性別に見ると,「家庭や社会での言葉の教育を充実させる」を挙げた者は女性で高くなっている。年齢別では,「家庭や社会での言葉の教育を充実させる」を挙げた者は20代や30代で高くなっている。それから「外国人に対する日本語の紹介や教育を充実させる」というのは若年層になるほど高くなり,「古典を大切にし,保存・継承する」というのは高年齢層になるほど高くなるという状況である。
 調査の概略は以上のとおりである。
 もう一つ,最後に「音声言語の教育に関する指導資料の作成について」という1枚の紙が入っている。これまでの国語教育に関しては読み書き中心であるということで,聞く話すの指導が不十分であるという指摘があって,新しい学習指導要領においても,音声言語の指導の充実・改善を図ったところである。また,国語審議会のこの中間報告においても,国語教育における音声言語の充実というのをうたっていただいたわけで,こういった点を受けて,今回,具体的に初等中等教育局で音声言語の教育に関する指導資料を作成するための協力者会議を発足させて,9月29日にその第1回の会合を開いたわけである。
 なお,その委員は右側の別紙のとおりで,主査には国立国語研究所の甲斐日本語教育センター長が選ばれている。この審議会からも幸田委員にお加わりいただいている。
 以上である。

坂本会長

 ただいまの国語課長の説明について,まず御質問や御感想はいかがか。
 この後で,御意見の開陳,意見交換をしていただきたいと思うけれども,その前提として,今の報告に御質問がもしあるようなら,お伺いしておいた方がよろしいかと思うが,いかがか。
 一応御了解いただいたということにして,議事進行させていただいてよろしいか。

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