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次第・議事要録 現代の国語をめぐる諸問題について

坂本会長

 続いて,本日の議事に入りたいと思う。お手元の「現代の国語をめぐる諸問題について(報告)」には,まだ〔案〕と付いているが,先日5月19日の全員協議会で御了承いただいたとおり,本日のこの総会で最終的にお諮りして,決定の上,文部大臣に報告するという運びにさせていただきたいと思う。
 全員協議会で会長預かりとさせていただいた若干の文言については,その後,主査,副主査に御足労をいただいて,その取扱いについて御検討をいただいた。そのことについて,これから林主査から御説明をいただくことにしたいと思う。
 林主査,よろしくお願いする。

林(大)主査

 それでは,簡単に御説明を申し上げる。
 5月19日の全員協議会の際に,「報告〔案〕」の文言についていろいろ御指摘があり,その取扱いが会長預かりとなったものが2か所あった。
 その一つは,4ぺージの下から8行目に始まるところである。左の方の「高齢化社会の到来も確実であるが,それも国語の問題に何らかの影響をもたらすものと考えられる。」というのが今日の案である。前回の案では「それが国語の問題にどのような影響をもたらすかは,なお未知数のことに属する。」と書いてあった。これは,高齢化社会の到来ということが,情報化やいわゆる国際化の進展とともに現代の社会状況の中での重要なファクターであるので,一言触れておきたいということ,ただ,それが国語の問題にどのような影響をもたらすかということについては,まだ具体的な予測は十分できないと考えられるところから,「未知数に属する」と書いておいたものである。
 これについて,そういうことであるならば,これは取ってもよかろうというお話もあったが,書いておくことは良いとしても,「未知数に属する」という突き放したような言い方でなくて,もっと適切な言い回しに改めてはどうかという御指摘があったわけである。
 そこで副主査や事務局の方とも御相談いたして,今日お目に掛けるように,「それも国語の問題に何らかの影響をもたらすものと考えられる。」というふうに表現を改めさせていただいたわけである。御了承いただきたいと思う。
 もう一点の方であるが,6ぺージの2の「情報化への対応に関すること」の(1),第2段落の「また,仮名漢字変換方式の普及によって,漢字を用いることは容易になりつつあるが,それに伴って漢字を読む能力の重要性はむしろ増大することが予想される。漢字を読む能力の伸長を図るために,振り仮名の活用等について社会一般の配慮が望まれる。」という部分である。これは実は前回のままであって,結論的には修正をしていない。
 ここには,「漢字を読む能力」うんぬんということが二度出てくる。ワープロで漢字変換をするときにいろいろな漢字や熟語が出てくるが,ワープロを自由に操作する上では,同音の漢字や熟語の中からどれを選択するかという識別能力が要求される面がある。そこで,上の方の「漢字を読む能力」は,むしろそのような意味に取れる表現にしてはどうかという御指摘があったわけである。
 この点について,御指摘のような面も確かにあるが,一方,そういうふうにだけ解釈するのも少し狭すぎはしないかと考えられる。漢字を用いることが容易になっただけ,いろいろな漢字に接する機会も増えてくるので,いろいろな漢字を読むことが必要になってくるという面もある。
 また,「読む能力」ということを広く考えれば,その中には当然漢字や熟語を識別する能力,適切な表記をワープロの画面から選択する能力のことも含まれていると言ってよかろうと思われる。
 振り仮名を活用して漢字を正確に読む能力や漢字の認知能力を伸ばしていこうということとワープロの画面での選択ということとは,矛盾するものではないので,ここは原文の表現をいじらず,原文のままとさせていただくことにしたわけである。ここは本文が変わっていないことを御了解いただきたいと思う。
 以上,全員協議会で会長預かりになった点についての処理の仕方を御報告申し上げる次第である。

坂本会長

 結論として,ただいまの御説明のような取扱いにさせていただいたわけで,御了解をいただきたいと思う。
 それでは,先般の全員協議会で御了承いただいているところなので,この辺で,「現代の国語をめぐる諸問題について(報告)〔案〕」を総会として採択することについてお諮りしたいと思うが,いかがか……。特に御発言がなければ,御了解いただいたものとして採択させていただきたいと思う。
 ありがとうございました。(拍手)

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