国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 資料説明

坂本会長

 引き続いて,事務局から資料についての説明をお願いしたいと思う。

韮澤国語課長

 それでは,資料について御説明申し上げる。
 説明に先立ち,先生方のお手元に袋が二つあるが,右側の方の袋に,11月22日付けで,先生方の辞令が入っていることを申し添えておく。
 次に,資料であるが,まず資料1は委員の先生方の名簿,諮問文,諮問理由については資料2であるが,既に御説明申し上げたので,資料3,前期の報告に対する新聞論調等から御説明を申し上げる。
 まず,資料3であるが,前期の6月の報告については各紙で大きく取り上げられ,関連の記事等は多数あったわけであるが,そのうち今回は各種の中央紙の論説をコピーしてお配りした。簡単に御説明申し上げる。
 最初に,朝日新聞であるが,この趣旨は,3段目の右側の方に書かれている言葉の「乱れ」か「ゆれ」かというところにある。言葉については典型的には二つの考え方がある。一つは,言葉は常に変化する。それが,言語の活力であり,豊かさの源であるという考えと,もう一つは,言葉は文化の中核であり,伝統を継承していく重要な規範であるので,乱れを排し,美しい言葉を伝えていくのは必須(す)の事業である。この二つの考え方があるということを御提示いただいている。その段の終わりの方であるが,審議会として一つの結論にたどりつくことは容易ではなかろうということで,結論を急がずに,マクロな視点を失わないで国語問題の論議を深めていく必要があるというような御見解である。
 次のページ,産経新聞である。2段目から3段目辺りであるが,言葉は社会状況や時代を反映して変化するかもしれない。同時に,言葉は一国の文化の基礎であり,文化の伝承や創造にかかわるものであるから,絶えず国語に関心を払い,望ましい姿を求めて話し合う機会を持つことが大切であろうということである。さらに3段目では,このほか,今日的テーマとして,情報機器と国語の問題,相互理解を促進するための手段,国際化への対応といった問題も議論してほしいというような御提示である。
 それから,3ページ目は東京新聞である。2段目であるが,言葉は「乱れ」ているのか「ゆれ」ているのかということで,手放しの楽観は禁物であるが,こうしなければならないと硬直的に決め付けてもうまくいかないというようなことである。そして3段目ではワープロの問題を取り上げており,さらに4段目では国際化への対応ということで,外国人にも分かりやすい日本語にしたいということで,簡明な「第二日本語」が必要ではないかというような御意見である。
 しかし,それによって本来の日本語の深みや美しさがないがしろになってはならないということで,日本語を二つの方向に向けるのが良いのではないか。一つは意味を正しく伝える便利な言葉や文章という方向,もう一つは,日本語の歴史的,伝統的な美しさを保つための言葉や文章という二つの方向に向けるのがいいのではないかという御見解である。
 次のページは日本経済新聞である。この記事の中で特に注目されるのは,「話し言葉の重視」ということである。そして4段目辺りであるが,言葉は生き物であると言っている。しかし,それは一国の文化の基礎を成すものであって,変わるままに放置していいはずがない。従来,言葉遣いの教育については適当な指針さえできていないのが現状であるので、国語審議会が速やかに正しい言葉遣いの「目安作り」に取り組むことに期待したいというような御見解である。
 次に,毎日新聞である。2段目から3段目にかけてであるが,この報告が初めて話し言葉についても審議の対象とするように求めたということは,歓迎したいとしながらも,同時に,話し言葉を国家がどうするかということになると,いろいろと難しい問題を含んでいるということである。そして,今後,国語審議会は「文化水準の向上」を原点に据えて考えていってはどうか。さらに,この点を踏まえて言えば,日本語が社会の変化に伴って変わっていくのを認める一方で,日本文化の伝承という役割を軽視してはならない,という御指摘である。それから記事の最後の方であるけれども,変えてはいけないものと変えていいものとのけじめを付けることが大切だ。そして,日本語の在り方は国語審議会だけではなくて,国民一人一人が考えるべきであろうというような御見解である。
 最後に,読売新聞である。3段目の真ん中辺りからであるが,検討課題の中で,多くの人の目を引くのは,話し言葉に対する問題提起であろうということが書かれている。さらに,その段の最後の行からであるが,言葉は生き物だから,時代とともに変化していく性格がある。しかしながら,それによって伝達機能が阻害されたり,人間関係に影響を及ぼす面があることも否定できないということで,正しい言葉を大切にする姿勢を保ちながら,ある程度の幅を認めるというのが大方の意見ではないかということである。また,国語教育の充実であるとか,テレビなどの放送媒体に良い言語環境作りの配慮が求められることは,言うまでもないということを言っているわけである。
 以上が新聞の社説の概要であるが,全体としては,この第19期の報告を評価するという姿勢がうかがえるわけで,同時に,今後の審議に対する考え方等については,各紙によっていろいろとニュアンスの違いがあるのではないかと思う次第である。

韮澤国語課長

 次に,資料4であるけれども,「国語施策懇談会等について」ということである。1ページ目をお開け願いたいのであるが,先ほど長官からも御説明申し上げたとおり,この10月下旬から11月上旬にかけて,全国4か所でいわゆる「一日国語審議会」といった性格を持つ国語施策懇談会を開催したので,その報告である。
 まず,1ページの真ん中ごろに表があるけれども,福岡,大阪,仙台,東京の4か所で,地元の大学,県等の御協力を得て,それぞれ開催いたしたものである。
 参加者は,各界有識者20名程度ということで,次のページ以降にその名簿が付けてある。全体的に申すと,それぞれの地域の国語の先生方,マスコミ,経済界,教育界等を代表する方々約20名にお集まりいただいたというものである。なお,東京については,比較的年齢のお若い方をお選びしてある。
 懇談テーマは,国語施策の在り方全般ということで,次期20期の国語審議会で審議すべき事項とか,審議に当たっての留意事項等について,自由に有識者の御意見をお伺いするということで始めたものである。
 次に,4か所の委員の先生方の名簿が入っているが,その後に,それぞれ4地区ごとに委員の先生方から出たいろんな御意見を要約,整理してある。最初が福岡地区,2ページ後が大阪地区といった具合で,いろいろな御意見について,「言葉遣いに関すること」「情報化への対応に関すること」「国際化への対応に関すること」「国語の教育・研究に関すること」「表記に関すること」といった5項目にそれぞれ整理したものである。
 本来であれば,これを一つ一つ御説明するのが筋だと思うのであるが,何分にも非常に膨大な御意見であるので,後でお時間があるときにお読みいただければと思っている。今回は,全体を通した総括的な御意見と言うか,主な御意見について簡単に御説明申し上げたいと思う。
 まず,全体を通して,第19期の報告について,その問題点の整理の仕方・内容は,おおむね適切であったということが一般的な御見解である。
 個別の意見については,いろんな御意見がたくさん出たわけであるけれども,各会場を通じて特に議論が集中したのは,言葉遣いに関する事柄であったと思うわけである。そして言葉遣いの現状についてのいろいろな御指摘とともに,この問題に関する国語審議会の取り組み方をめぐって様々な意見が出たわけである。
 学校教育の関係者等からは,指導上の見地から,国語審議会において,言葉遣いについての「目安」とか「よりどころ」といったものを求める声が多かったようである。一方,これについては国語審議会ができることとできないことがある。また,表記の問題とは違って,話し言葉等の問題についてはなかなか難しい点も多いので,十分慎重に取り扱うべきであるという御意見も多く出されたわけである。
 マスコミの関係では,テレビ等の言葉遣いについては非常に大きな影響力があるので,関係者は十分な見識を持ってほしいという御意見が多く,また,なるべく耳で聞いただけで分かるようなきちんとした言葉を話すよう努める必要があるという御指摘もあった。
 情報化の問題に関しては,ワープロと国語能力の問題,あるいは学校教育に導入される情報機器が子供たちに与える影響等について意見が集中したわけである。
 国際化の問題に関しては,今後は,日本語政策,言語政策といったレベルで問題を考えるべきであるという御意見のほか,学校における帰国子女,外国人子女等の指導の問題,日本語教育の整備の問題,外来語の氾(はん)濫のことなどが話題になったわけである。
 国語教育に関しては,国語教育の重要性を社会全体に認識してもらう必要があるという意見が多く出され,特に,話し言葉の重要性についての御意見が多かったように思うわけである。
 表記の問題に関しては,「目安」「よりどころ」の趣旨を生かしてもっと弾力的な扱いをすべきであるという意見,交ぜ書きはなるべく解消する方向で考えたい,あるいは句読法についての「よりどころ」がほしい,といったような意見が多く出されたと思っているわけである。
 以上が,国語施策懇談会の御意見の概要である。
 なお,冊子の最後から2ページであるが,「付」として,国語問題研究協議会での御意見が2枚ほど付いている。これは,毎年東西2地区で,全国の小・中・高等学校の国語の先生を中心に,それぞれ約200名から300名程度お集まりいただき,いろいろと研究・協議をしていただく場があるわけであるが,今回この5項目についても話し合っていただいて,その結果をまとめたものである。
 以上が資料3と4の御説明で,あと残った資料としては,資料5として国語審議会に関する関係の法令等が御用意してある。資料6は,先ほど御説明した審議会の傍聴等についての決定事項である。さらに,一番下に,先ほどから申し上げている6月の報告をお配りしてある。
 以上である。

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