【アフレコ】ワンポイントレッスン~釜石方言編~
台本に見られる釜石方言の特徴には,次のような点が挙げられます。
① 語頭以外のカ行・タ行が,ガ行・ダ行の濁音に
○○カ,○○キ,○○ク,○○ケ,○○コ ⇒ ○○ガ,○○ギ,○○グ,○○ゲ,○○ゴ
○○タ,○○チ,○○ツ,○○テ,○○ト ⇒ ○○ダ,○○ヂ,○○ヅ,○○デ,○○ド
例
青森編
(台詞(せりふ)番号10)
起きろーーっ!! ⇒ 起ぎろーーっ!!
(台詞番号17)
目覚めた? ⇒ 目覚めだ?
岩手編
(台詞番号5)
したしき仲にも ⇒ したしぎ仲にも
(台詞番号19)
わりかった ⇒ わりがった
宮城編
(台詞番号1)
よおく,おでんした ⇒ よおぐ,おでんした
(台詞番号38)
あー,いかった ⇒ あー,いがった
② 「イ」段の音を「ウ」段に近く発音(特に「シ」「ジ」「チ」の音は「ス」「ズ」「ツ」と同じように発音される)
例
青森編
(台詞(せりふ)番号13)
朝市(あさいち)
岩手編
(台詞番号29)
確か(たしか)
(台詞番号47)
あー,わりわり ⇒ あー,わるわる
宮城編
(台詞番号2)
ひさしぶり
(台詞番号22)
わりわり ⇒ わるわる
③ 母音(ア・イ・ウ・エ・オ)の音が連続するときに,一続きの母音に変わり,やや短く発音される
例
青森編
(台詞(せりふ)番号4)
わるいわるい ⇒ わりわり
(台詞番号44)
わがんない ⇒ わがんね
岩手編
(台詞番号10)
目のまえ ⇒ 目のめえ
(台詞番号42)
ブリがいっぱい ⇒ ブリがいっペー
宮城編
(台詞番号4)
どんなうんまい ⇒ どんなうんめい
(台詞番号19)
わかんない ⇒ わかんね
④ 意志や推量などの助動詞「ベー」を使用(動詞の種類によっては「ぺー」になる場合があり,「べー」に由来する「べっちゃ」「べんたら」などの多様な表現もある)
例
青森編
(台詞(せりふ)番号23)
じゃあ,何から食うべかなあ
(台詞番号36)
食いてえものしゃべってるだけだべ
岩手編
(台詞番号5)
礼儀ありだべんたら
(台詞番号10)
あだりめだべちゃー
(台詞番号28)
その魚っことはなんだべー
(台詞番号52)
おら,どうすっぺー
宮城編
(台詞番号8)
仙台城だべ
(台詞番号29)
花持たせっぺってやっただけだべんたらー
(台詞番号43)
牛タン焼き定食にすっぺし
⑤ 共通語の「に」や「へ」に相当する助詞として「さ」を使用
例
青森編
(台詞(せりふ)番号42)
まずはあそこの店さ行って,
(台詞番号43)
どこさ行けば
岩手編
(台詞番号14)
うめいもの食いさいくべ
(台詞番号25)
おらそこさいったことあるー
(台詞番号48)
ブッコちゃんここさいっから
宮城編
(台詞番号4)
うんめいまんま食いさ連れてってけんの?
(台詞番号34)
おらひとりじゃどこさ行けば
⑥ 共通語の助詞「は/wa/」とは別に,間投助詞的な「は/ha/」を使用
例
青森編
(台詞(せりふ)番号―)
該当する台詞なし
岩手編
(台詞番号38)
あねさん,もはもはいい
宮城編
(台詞番号 ―)
該当する台詞なし
⑦ 共通語の「やる」「くれる」「あげる」に相当する区別を持たない動詞「ける」を使用
例
青森編
(台詞(せりふ)番号6)
あと五分だけ寝かせてけろ
(台詞番号27)
早く問題出してけで
(台詞番号44)
機嫌直してけねべかなあ
岩手編
(台詞番号2)
今日はよんでけでありがとう
(台詞番号22)
うんめいもの食いさ連れてってけっから
(台詞番号49)
そんたなことしゃべんねーでけで
宮城編
(台詞番号4)
うんめいまんま食いさ連れてってけんの?
(台詞番号19)
フッコちゃんから教えてけっからー
(台詞番号31)
うんめいまんま食いに連れてってけねもん
⑧ 語頭以外のカ行・タ行が,ガ行・ダ行の濁音に
例
青森編
(台詞(せりふ)番号15)
いっぺーお店っこ並んでぺんたら?
(台詞番号19)
うめそうな匂いっこ,あっちからも
こっちからもするー
岩手編
(台詞番号28)
その魚っことはなんだべー
宮城編
(台詞番号 ―)
該当する台詞なし
アクセントやイントネーションは,独特のものがあるので,音が高くなるところと低くなるところに特に注意しましょう。