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3 人名用漢字の問題
鏡(おもてに添える文書)
昭和26年5月14日
文部大臣 天野貞祐殿
法務総裁 大橋武夫殿
国語審議会会長 土岐善麿
建 議
昭和26年5月14日第11回総会において別紙「人名漢字について」を議決しましたので,建議いたします。
[別紙]
人名漢字に関する建議
国語審議会は,漢字に関する根本政策に基き,人名に用いる漢字について,次のことを建議する。
子の名にはできるだけ常用平易な文字を用いることが理想である。その意味から子の名に用いる漢字は当用漢字によることが望ましい。しかしながら,子の名の文字には社会慣習や特殊事情もあるので,現在のところなお,当用漢字表以外に若干の漢字を用いるのはやむを得ないと考える。
国語審議会では,この見地から,従来人名に使われることの多かった漢字を資料として審議し,慎重に検討を加えた結果,別紙に揚げる程度の漢字は当用漢字表以外に人名に用いてもさしつかないと認めた。
この問題は国語政策に及ぼす影響がすこぶる大きいので,その点じゅうぶんに考慮し,善処されることを要望する。
(別紙)
丑 丞 乃 之 也 亙 亥 亦 亨 亮 仙 伊 匡 卯
只 吾 呂 哉 嘉 圭 奈 宏 寅 尚 巌 巳 庄 弘
弥 彦 悌 敦 昌 晃 晋 智 暢 朋 杉 桂 桐 楠
橘 欣 欽 毅 浩 淳 熊 爾 猪 玲 琢 瑞 甚 睦
磨 磯 祐 禄 禎 稔 穣 綾 惚 聡 肇 胤 艶 蔦
藤 蘭 虎 蝶 輔 辰 郁 酉 錦 鎌 靖 須 馨 駒
鯉 鯛 鶴 鹿 麿 斉 龍 亀
国語審議会は,上記の建議と同時に,この問題に対する国語審議会の態度と見解を社会一般に公表し,国語問題の処理について協力を求めるため,「人名漢字に関する声明書」を発表した。