国語施策・日本語教育

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次第 文部大臣あいさつ

安達文化庁長官

 今日は第12期第1回総会であるので,永井文部大臣が出席して,直接ごあいさつ申し上げるべきところであるが,あいにく国会開会中であって国会を離れることができないので,大変失礼ではあるが,私が大臣あいさつを代読する。永井文部大臣はかつてこの国語審議会の委員でもあったので,くれぐれもよろしくとのことであった。

文部大臣あいさつ

 本日,第12期国語審議会の第1回総会を開催するに当たり,一言ごあいさつを申し上げます。
 このたび,国語審議会委員就任をお願いいたしましたところ,皆様には,御多忙にもかかわらず,快くお引き受けくださいまして誠にありがとうございました。新たに発足した国語審議会には,これまでの審議に並々ならぬ御尽力を頂いた委員の多数のかたがたに引き続いて就任をお願いいたしましたほか,十数名の新しい委員をお迎えいたしました。今期につきましても,よろしくお願い申し上げます。
 国語審議会は,その歴史も古く,我が国の国語問題の解決を図るために一貫して並々ならぬ努力を払ってこられ,今日まで幾多の貴重な答申や建議あるいは報告を頂いてまいりました。
 申すまでもなく,国語は我々日本人の人間形成に欠くことのできないものであり,また我々の社会生活各般に深いかかわりをもつものであります。更に,歴史的・伝統的なものであるとともに,国民の思想・文化の発展及び社会の向上進展の基盤をなすものであります。
 国語審議会は,このように,我々個人にとっても社会にとっても重大な関係を有する国語問題の解決を図るための施策の樹立をその使命としております。
 戦後,我が国の国語施策は,昭和21年以来,国語審議会の答申・建議を受けて,政府が公布した一連の内閣告示・内閣訓令によって行われてまいりましたが,その実施の経過の中でさまざまな問題も指摘されてまいりました。そこで昭和41年6月,これからの国語施策の方途を定めるため,国語審議会に対して「国語施策の改善の具体策について」という諮問を申し上げました。
 この諮問において,検討すべき問題点として掲げたもののうち,「当用漢字音訓表」及び「送りがなのつけ方」については,既に御答申を頂き,昭和48年6月,これに基づく内閣告示・内閣訓令が公布され実施に移されていることは,皆様よく御承知のとおりでございます。
 更に,前期の国語審議会においては,残された審議事項のうち「当用漢字表」及び「当用漢字字体表」について終始熱心かつ慎重な御審議を頂き,その任期終了に当たっては,「第11期国語審議会審議経過報告」を世間に公表されると同時に私どもに御報告いただきました。前期の審議においては,具体案が示されるところまでには至りませんでしたが,「当用漢字表」については,「漢字表の具体的検討のための基本的方針」を立てられ,「漢字選定の方針に関する具体的観点」を整理されるなど,今後の検討の基礎を築かれました。
 今期は,これらの前期の御審議の成果を踏まえて,更に詳しい検討を進め,できれば具体案をお作りくださいますようお願い申し上げる次第でございます。
 実は,私は第10期国語審議会の審議に委員の一人として参加いたしましたので国語問題の審議にはいろいろな角度からの検討が必要であり,技術的にも種々の困難があることも承知しております。特に,第11期以来の問題である「当用漢字表」及び「当用漢字字体表」は,国語施策の中心をなす問題でもあり,国民もまた国語審議会の審議に強い関心と期待を寄せていることと存じます。今後の審議において種々御苦労をお掛けするかと存じますが,皆様の高い識見と国語問題に対する御熱意によって,より良い国語施策が樹立されることを期待しております。よろしく御尽力くださいますようお願い申し上げます。


昭和50年1月31日

文部大臣 永井道雄

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