国語施策・日本語教育

HOME > 国語施策・日本語教育 > 国語施策情報 > 第21期国語審議会 > 第1回総会 > 次第・議事要録

次第・議事要録 今期の審議について

清水会長

 次に,今期の審議についてである。
 先ほど大臣からお話があったように,前期でいろいろ問題提起がなされた。そのことに引き続いて,今期はそれにできるだけこたえ,まとめることができるものについては,それを答申していきたいといったようなことで進めてまいりたいと思うわけである。
 前期の資料等もちょうだいしているので,こういったことを含めて,初めに長官から今期の審議について概要説明をいただき,その後,事務局の方で少し詳細に説明をしていただければと考えている。よろしくお願いする。

吉田文化庁長官

 先ほど文部大臣から,今期の国語審議会の審議について先生方にお願いをしたところであるが,私からもこれまでの経緯を踏まえて,補足して御説明を申し上げたいと思う。
 前期の第20期国語審議会は,平成5年11月に発足した。そして,現代社会における様々な国語の問題のうち,社会の各方面で, 特に検討を要請されていると思われる問題から取り上げていこうということになり,言葉遣いを担当する委員会,情報化・国際化を担当する委員会という二つの委員会を設けて御審議をいただいたわけである。その結果,平成7年11月の最終総会に御提出いただいたのが,本日資料としてお手元に配布した審議経過報告である。
 この報告の概要は,後ほど国語課長から御説明を申し上げるが,既に各省庁,都道府県,市町村,大学あるいは報道関係機関等に広く配布している。
 さらに,本年2月29日,3月1日の両日には,国語施策懇談会を開催した。ここでは「言葉遣いの標準は立てられるか」及び「漢字字体の統一を考える」と題する二つのパネルディスカッションを中心に議論がなされ,その中で,前期審議会の報告の内容について各方面の識者の方々の御意見を承り, 更に問題を掘り下げることができたと考えている次第である。
 以上,申し上げたような経過を経て,このたび第21期の国語審議会が発足する運びとなったわけであるが,今期は,次に申し上げる二つの課題を中心に,各方面の意見や調査結果を踏まえて,更に具体的に御審議をいただき,結論が得られた事項について,答申としておまとめいただければと考えている。
 一つは,前期報告の「情報化への対応に関すること」のうちのワープロやパソコンにおける漢字の字体の問題である。JIS規格により,ワープロで打ち出される漢字の中で,「常用漢字表」に入っていない漢字の一部には, 辞書や教科書等にある漢字の字体と異なっているものがある。
 御案内のとおり, 例えば,森おう外の「オウ」の字を伝統的な「」と出したいのにワープロでは「鴎」で出てしまう。一体どちらが正しいのかとか,「」の字体は出ないのかといった問題があるわけである。
 前期報告では,この「」のような伝統的字体を本則とし,「鴎」のような略体については,現行のJIS規格や新聞などで用いられているものに限って許容していくという一つの方向も御提示をいただいた。今期は,前期報告の考え方の妥当性を検討し,本則の字体及び許容していく字体を具体的に示すことも含めて,更にこの問題の解決を目指した十分な御審議を行っていただければと考えているところである。
 この問題が,国語審議会という開かれた場で審議され,時宜にかなった適切な判断が速やかに示されるならば,情報化という大きな状況への対応にとどまらず,社会生活の各方面で生じてくる字体の問題への対応という点でも,非常に有意義なものになるのではないかと考えるわけである。
 もう一つは,「言葉のゆれ」や敬語使用の問題を中心とした「言葉遣いに関すること」である。前期では,敬語を中心として,時代の変化に応じた言葉遣いの在り方について審議が行われ,将来において,言葉遣いに関する緩やかな標準を示す必要もあろうとの御提示をいただいた。今期は,これを踏まえ,言葉遣いにかかわる緩やかな標準の具体的な在り方について,更に御審議を深めていただければと考えている。
 ただし,この問題は,国がどこまで取り組むべきものかということ自体,なかなか判断が難しい問題である。したがって,ある程度時間を掛けて,慎重な御審議をお願いしなければならないのではないかと考えている。
 以上,申し上げた二つの課題は,前期審議会においても,広範な検討事項の中で,特に長い審議時間を費やしたものであるが, 今期はこの二つの課題について重点的に十分かつ慎重な審議を重ね,結論が得られた事項から逐次御答申をいただくのが適当ではないかと考えているところである。
 以上,今期の国語審議会の御審議について,文化庁の考えているところを申し述べた次第である。私ども事務局としても,全力を挙げて御協力申し上げたいと思っているので,先生方におかれては,国語施策の重要性について御理解を賜り,御尽力をいただければ幸いである。
 今後ともひとつよろしくお願い申し上げる。

トップページへ

ページトップへ