国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 今期の審議について(文化庁長官説明)

清水会長

 次に,文化庁長官から,今期の審議についての御説明をお願い申し上げる。

林田文化庁長官

 先ほど大臣から今期の審議について先生方にお願いしたところであるけれども,今期の審議の進め方について,これまでの経緯を踏まえて,もう少し詳しく御説明を申し上げたいと思う。
 さきの平成5年11月に,文部大臣から「新しい時代に応じた国語施策の在り方について」の諮問が行われた。これを受けて,第20期の国語審議会においては,言葉遣い,情報化への対応,国際社会への対応について御検討が行われたわけである。また,前期の第21期では,第20期において検討された課題の中で,特に緊急性が高いと判断された敬語を中心とする言葉遣いに関する問題,それから主としてワープロ等における字体の問題の二つについて審議をいただいたわけである。
 本日の資料としてお手元にあるけれども,それぞれ「現代における敬意表現の在り方」「表外漢字字体表試案」として審議経過をおまとめいただいたということである。この報告の概要については,後ほど国語課長から御説明申し上げることとするけれども,この報告は,既に各方面に広く配布をしているし,また,新聞報道などにおいてもかなり大きく取り上げられたので,御記憶の方も多いのではないかと思う。
 さらに,今年の9月21日,22日の両日に,さきに申し上げた前期の報告をめぐって,ここ数年続けている国語施策懇談会を開催いたしたわけである。ここでは前期報告の内容に関し更に問題を掘り下げるために,関係方面の識者の方々の御意見を承るということをさせていただいた。
 このような経過を経て,このたび第22期の国語審議会が発足する運びとなったわけであるが,今期は,大臣からも申し上げたとおり,前期報告にある二つの事項について更に深めた御審議をいただくとともに,前期において審議が中断している日本語の国際化に関する問題について,改めて御審議をいただければ有り難いということである。
 一つは,前期報告にある「現代における敬意表現の在り方」についてである。前期の報告では,コミュニケーションを円滑にする言葉遣いを考えた場合,敬語のほかにも,相手や場面に応じた様々な配慮の表現が使われており,それらが敬語を含みつつ,全体で敬意の表現,すなわち敬意表現になっていることを指摘した上で,現代社会における様々な言葉遣いの在り方を展望し,また敬意表現の概要や理念についてまとめていただいたということである。
 今期は,更に現代敬意表現の使い方として,場面に応じた敬意表現の使い方について御審議をいただければと考えている。その際,現実に行われている様々な敬意表現を整理して,平明な言い方を中心に複数の選択肢を掲げ,併せて頻度の高い誤用例についても指摘していただければ,人々の言語生活にとって非常に有意義なものになるのではないかと考えている。
 言葉遣いに関する問題はなかなか判断が難しいものがあって,お願いしている検討課題についても大変な御苦労をお掛けするかと思うけれども,よろしくお願い申し上げる。
 二つ目は,前期報告にある「表外漢字字体表試案」について,更に深めた御審議をお願いしたいと思う。この検討課題は,ワープロなどで打ち出される漢字の字体の問題が発端となったもので,前期報告では,常用漢字表に掲げられていない,いわゆる表外漢字の字体については,康熙(き)字典を典拠として作られてきた明治以来の伝統的な印刷文字字体を印刷標準字体として位置付けられたわけである。その上で,表外漢字のうち,使用される頻度が比較的高いもので,字体,字形上,特に紛らわしいものについて「表外漢字字体表試案」として御提示をいただいた。また,この「字体表試案」には,併せて一部の略字体について簡易慣用字体として掲げられているものがある。
 表外漢字の字体の問題については,各方面から御意見をいただいているところであるけれども,今期の審議においては,この前期の報告を基に,印刷標準字体の細かい字形や簡易慣用字体の選定方針について,更に深めた御審議をいただき,「表外漢字字体表」としておまとめいただければ幸いだと考えているところである。
 3番目は,日本語の国際化に関する問題である。この問題については,第20期の審議会において一度御検討いただいているところであるけれども,第21期においては,他の審議事項との関係で審議が中断しているという状態である。第20期に御検討いただいた際に,日本語の国際化に関する基本的な認識と国際社会において必要とされる日本人の言語運用能力の在り方,日本語の国際的な広がりへの対応,外来語の増加や外国語の過度の使用の問題,姓名のローマ字表記の問題などについて取り上げて審議が行われた。
 今期においても,これらの問題について更に掘り下げた御検討をいただくとともに,日本語の国際化にかかわるその他の事項についても,御審議をいただければと考えている。
 以上,今期審議会の御審議について,文化庁の考えているところをお話し申し上げた。これらの事項について十分な御審議をいただき,結論が得られた事項から逐次御答申をいただければ幸いである。事務局としても,全力を挙げて御協力を申し上げるつもりであるので,よろしく御審議のほどをお願い申し上げる。

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