国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 意見交換1

清水会長

 それでは,これから意見交換のスタートということになるわけであるが,先ほど来,前期までの御説明があったけれども,そういったことについて,御質問なり御意見なりを,どうぞ自由にお話しいただければ有り難い。また,事務方としてもお答えできることがあれば申し上げることにいたしたいと思うので,どうぞ御自由な御発言をお願い申し上げる。

水谷委員

 先ほどの徳川委員の御発言とも関係するし,今の委員会構成の問題とも関係するが,皆さんがどの委員会に所属するかということを希望なさる。それをお取りになるときに,どなたでも会議自体については出席していただけるんだというやり方を前回は採っていたと思う。例えば第1委員会をやっているときに,第1委員会に入っていない方でもいつでも出られるんだというやり方は今期も続けるのか。

鎌田国語課長

 これはどのような形で委員会に御出席いただくかということで,お決めいただく話かと思うが,前期で申し上げると,第1委員会,第2委員会があったが,必ずしもこの総会の全員が委員会に分属なさったわけではない。ただ,例えば第1委員会に所属されている委員の方が第2委員会に出席されたいと御希望なさったときには,出席されていたし,また第1,第2委員会のどちらにも所属されていない方でも,今日は第1委員会に出席したいというときには出席していただくという形を採っていた。
 したがって,今期もそういう形が適切であるということであれば,そのような形が望ましいかと思う。

清水会長

 今,水谷委員からお話があったように,先ほど来,お話があった三つ目の委員会,日本語の国際化という問題になれば,特に合同委員会とかということでなしに,参加したい方が参加するということがあり得ると思う。全員が三つの委員会にそれぞれ一つずつ御参加いただきたいと思うが,どうしても御都合が悪くて参加できない方々にも前期のときには,すべての委員会について開催のお知らせは差し上げることになっていたと思うが…。

鎌田国語課長

 例えば,第1委員会の開催については,第1委員会に所属されている委員の方だけではなく,すべての委員の方々に御案内を差し上げるという形を採っていた。今期についても,そういう形が適切であるということであれば,そのようにすべての委員会の開催について御案内を差し上げたいと思う。

清水会長

 いかがか。その方がよろしいということで考えてよいか。

水谷委員

 自分はこうしたいということを述べなかったので,失礼した。私個人の意見としては,3段階の構えで行くのがいいのではないかと思う。三つの委員会が構成され,専属する委員がいる。それから,先ほど徳川委員がおっしゃったような合同委員会のやり方も採用する。それと同時に,個人の立場で,各委員会に自由に出入りができる。そのかわり,逆に,委員会を運営していくときに,皆さんが参加しやすいテーマの場合と合同でやることに意味のある審議内容をどう用意するかという計画は慎重に用意していかなければならないだろうと思う。

清水会長

 今のような提案はいかがか。

甲斐委員

 私どもの国立国語研究所は,今年でちょうど創立50周年を迎えた。今週,その式典等を行ったのだが,私どもの評議委員会の会長である木田会長がこういう話をしてくださった。
 国立国語研究所ができた時にちょうど木田先生が担当官であった。そして国立国語研究所を作る前に,アメリカのCIEの方から,とにかく日本語をローマ字表記にしたらどうだという強い意見があった。それに対抗するために,日本では大急ぎで当用漢字表などを作っていったんだという話をしてくださった。非常に危機的な状態の中で作ったという話をしてくださった。その時に,その根拠として,国民の読み書き能力の調査も行ったという話が一方である。

甲斐委員

 そして,今度,話は昨日に飛ぶが,国連大学で「国際社会と日本語」というテーマのシンポジウムを行ったわけである。その時に,ある方から,日本人の漢字を含めた読み書き能力の信頼できる調査が欲しい,今までないではないか,国語研究所がやったらどうだという話があった。これはもっともなことだと思ったが,その時に私はこれは基本的人権にも関係するから,調査は難しいなと内心思ったのだが,何とかしないといけない。話は,結局のところ,「国際社会と日本語」というテーマではありながら,日本人の漢字の問題というところにずっと焦点が絞られていったわけである。
 したがって,この三つの委員会で考えていただきたいことは,先ほどお二人の方から合同の委員会はどうだ,自由に参加するのはどうだということがあったが,委員会の構成として,漢字に堪能な人が漢字の委員会に集まるということは避けていただきたい。というのは,現在出ている字体表試案でいうと,かなり古い方ヘ戻るようなところがある。国際化というところから考えていくと,もうちょっと違う方向もあっていいのではないか。そういう意見がちょっと足りないのではないかと私は思ったわけである。そういうことで,三つの委員会にもし主査,副主査が選出されるとすると,主査,副主査はできるだけ相互にその他の委員会に出席していただきたい。それから,委員の構成は,堪能でない人も,例えば国際化の方に強い人も漢字の方に入るというような委員構成を是非していただきたいというのが希望である。

清水会長

 大変いいお話だと思う。実は私もそれに類するような話を聞いたことがある。このごろワープロで文章作成をするので,漢字が書けない子供が多くなってきた。世界の数学コンぺというのがあるが,中国,韓国,日本がトップである。それが漢字がだんだん書けなくなると,どうなっていくのか。その因果関係を考えてみたらどうだという物理学者の話があって,私もはっと思ったのだけれども,漢字の大事さというものが数学に表れてくるということを自分が実証したいんだということで,それに類するお話のような感じがした。

浮川委員

 私は,前回は漢字の委員会の方に参加させていただいたのだけれども,今まで御発言の方の御意見を聞いて,少し後押しされる気になったので,思い切ってお話をさせていただく。
 実は,漢字の委員会の方は,もちろん見識がおありの方々が大半ではなかったかと思うが,私の会社の仕事とすれば非常に関係が深いのであるけれども,そのスペシャリストというか,漢字についても,私よりはるかに見識のある人間が社内にいて,実はその人間に様々な情報というか,支援を受けながらやってきたわけである。その人間と話していたときに,委員の方々もスペシャリスト,本当に見識がおありの方ばかりであったと思うけれども,あるテーマにおいては,委員以外のスペシャリストの方たちが集まって,それをちゃんとオーソライズした形で活動ができた方がいいんじゃないかというふうに感じた次第である。
 そして,先ほどの御発言にもあったように,この委員はいろいろな過程で選任され,委嘱されていると思うけれども,それ以外の方をもう少し柔軟性があるような形で,ちゃんとオーソライズした形のワーキンググループなり何なり,名前はお考えいただいて,定期的にではなくても,そういう活動があれば現実的には非常にいい方向が得られるのではないかと考えているが,いかがなものか。

清水会長

 特に前期の場合にも,御承知のように漢字の方はワーキンググループを別にこしらえてやるということで,大変御苦労をちょうだいした。やり方,進め方については,まず委員会をどのように進めていったらいいのかということを最初に話し合っていただきながら,今の御注意をひとつ生かしていったらどうかと思う。

山口委員

 甲斐委員にちょっとお伺いしたいのであるが,自分の不得意な分野の委員会にも入るということになると,一人が三つの委員会のうちの二つ以上に参加するということを考えていらっしやるのか,それとも一人で一つだけれども,できるだけ不得意なところに行くのがいいのか,そこら辺がもう一つ分からなかったので,よろしくお願いする。

甲斐委員

 私,先ほど申し上げるのを忘れたのだけれども,昨日の「国際社会と日本語」で,あるパネリストが,日本語をどうすれば国連の公用語にできるか,例えば,英語表現と日本語表現にはこれだけ違いがあるんだ。公用語になれば,条約の締結などが日本語できちっと確認できるのだ。そうならないから,これだけあいまいさがあるんだというような事例が出ていた。これはいい方向だなという発言の方へ内容が向かってくれるといいと思ったのであるが,そういう話の方向ではなく,とうとう漢字の問題に行ってしまって,日本人と欧米の者とは脳が違うのかどうかとか,私どもの手の出ないところで話が白熱していったのである。
 委員会の所属については,私は,先生方が自ら望んでお入りになることについてまでどうとは思わないが,委員会を仮に10人で構成するとすると,先ほど浮川委員から出たように,漢字は不得意だけれども,国民の多数を代表して物を言うんだというような形での委員の選定を考えていただければと思うわけである。

小塩委員

 二つ伺いたい。一つは,国際化というときに,1982年の中曽根総理が国会で「国際化を日本の教育の根幹に据える。」とおっしゃった時からの「国際化」という意味は,我々が世界と余りコミュニケートできない,対話できないのを何とかして回復して,日本の門戸を開放しようではないかということであった。それが文部省でも大体踏襲されてきたと思うけれども,実際には,我々日本人同士が日本語で本当の対話をすることさえ非常に難しい。国際化を含めて,読み書きを含めた言語による対話能力というものを国語審議会においては基本的に考えてこられたと思うが,そのことがどの辺の資料にあるのか,教えていただけると勉強になると思う。
 というのは,先生方御承知のように,TOEFLという英語のテストがあるが,ここ20年ほど世界で一番よくできるのがオランダ。これは英語の隣の国であるから。一番できないのはバングラデシュと日本である。それと並んでできなかった韓国は,今トップレベルのところへ上がってしまった。何で日本だけ残ってしまったんだろう。バングラデシュに悪いけれども,日本とバングラデシュがどうして世界最低の成績なのか。英語の先生方に言わせると,「できる人はできるけれども,できない人がたくさん受けるからいけないんだ。バングラデシュはみんなできないんだ。韓国はできる人だけが受けるから上がるんだ。」と言うのだが,これは冗談で,つまり英語教育だけを責めるのではなくて,私どもの言語教育あるいは言語能力開発に何か引っ掛かっている問題があるんじゃないだろうか。ひょっとすると漢字を使う文字生活に原因があるのかもしれないけれども,あるいはそうでもないんじゃないだろうかという気もする。それが1点で,どこかに資料があったらお教えいただけないか。勉強させていただきたいと思う。
 2番目であるが,文化庁からお電話があって,この委員に加われというお話をいただいたときに,決して迷惑は掛けない,お前のように忙しい人間は年に1度か2度委員会に出ればよろしいという確約をいただいて出てきたのだけれども(笑い),さっきのお話だと,どこかの委員会に必ず入らなければいけない,年に40回近くも出ろというお話で,驚嘆している。実は昨日,東大の前教授で,前に委員をしていらした方がわざわざ電話を下さったのだけれども,「お前な,専門委員会に出たら必ず死ぬから,絶対に出てはいけないぞ。」と御忠告を賜って,「はい」と返事して,今日出てきたわけである。2番目は,どうぞよろしくお願いいただきたいと思う。前もって申し上げておく。
 1番目は何かお教えいただければと思う。今回でなくても結構である。

鎌田国語課長

 これまで国語審議会で御検討いただいているものだけ,ちょっと申し上げたいと思う。
 最初に,20期の国語審議会の審議経過報告であるが,その中の22ぺージから「国際社会への対応に関すること」について書いてある。そのうちの23ぺージの「2 日本人の言語運用能力の在り方」ということで,日本人の,特に国際社会においての対応を踏まえたときの今までの言語運用の在り方がどうだったかということについての指摘が書かれている。
 また,それと似たような話になるが,21期の審議経過報告の4ぺージ,上の方の(7)のところに「外国人との意思疎通と言葉遣い」ということで,今まで日本語においては,いわゆる同質的な関係を前提としていたけれども,外国人との意思疎通においては別な配慮が必要であるという記述がされている。
 第20期,21期においては,そのような御指摘があったところである。
 それから,小塩委員の指摘の2点目である。先ほど会長の方からも御案内があったかと思うが,私ども事務局の方で,各委員会の分属の希望について事務連絡をお送りするので,その中に,例えば第1委員会希望とか,第2委員会希望とか,あるいは特にお忙しいので,分属は希望しないという印を付けて御返送していただく方式を採りたいと考えている。

山口委員

 特に分属を希望しないという選択肢はなしにして,どこかに必ず属しているけれども,忙しいために出られないという方がいいような気がする。というのは,今まで委員会,ワーキンググループですごくやらなくてはいけない場合と総会に出てきて意見を言えばいいという場合があったけれども,どれかにやっぱり属していた方が皆さん気持ちがいいし,忙しい時には欠席してもよいという方が何かいいような気がするので,「分属は特に希望しない」というのはなしにしていただければと思う(笑い)。

清水会長

 事務局から提案された方法で行くか,それとも,山口委員の御意見のようにするか。どちらもあり得ると思うが。

西尾副会長

 私,前期,前々期のことを考えてみても,もちろんお互いに忙しいことは同じで,欠席ということが認められているわけであるから,いずれの委員会にも属していないと,審議会そのものへの親しみがわいてこないというか,少し遠いところから見ていらっしゃるような方も出てくるので,私の立場で申し上げていいのかどうか分からないけれども,私見としては,いずれかに属していただくのがよろしいのではないかと思う。

加賀美委員

 私も初めてで分からないのだが,今まではどういう状況だったのか。

鎌田国語課長

 前期の実績で申し上げたいと思うが,第1委員会に15名,第2委員会に14名の方が,それぞれ所属されていたと思う。したがって,委員の総数が45名であるので,45名のうち,15名,14名で大体30名ぐらいの方が委員会に入られて,残り15名の方は委員会に属さないという形になっていた。

楢崎委員

 委員会の開催の状況というか,本当に40回もあったのか。選択を迫られているために,教えていただきたいと思う。

鎌田国語課長

 特に多かったのは字体の関係の委員会であるが,委員会そのものではなくて,更に,その中に字体小委員会という小委員会を作っていた。そういうものを含めてトータルで40回近いということであるので,委員会そのものとしては,大体1か月か1か月半に1回ぐらいの開催頻度ではなかったかと思う。

清水会長

 それと総会はせいぜい年に5回ぐらいということになるので,できれば委員会に御参加をいただいていた方がいいのではないかと思うが,いかがか。

小塩委員

 了解した。

清水会長

 どうしてもという方もおありかと思うので,先ほど課長からお話があったような形で,各先生方に御案内を差し上げて,お返事をちょうだいしてから進めるということにさせていただくので,今までの御意見をどうぞお含みの上,御判断をいただければ有り難いと思う。

徳川委員

 ちょっと違うかもしれないが,名簿に載っているのが委員であるけれども,委員以外の方のお話を伺うヒアリングとでも言うか,そういうことは前回もあったのか。最後に報告するときには,委員の責任だろうと思うけれども,その辺はどのようになっていたか。

鎌田国語課長

 特に専門委員という形ではなかったが,第2委員会などで,特に漢字の字体の関係で,JISの関係の方とか,そういう方々においでいただいて意見を伺うという機会はあった。

清水会長

 そういうことで,各委員会に専門委員をお願いするということではなくて,ボランタリーにお願いするという形を採らせていただいたり,この総会でも,特にあることについてどなたかにお願いをして御意見を伺うことはあるということで進めさせていただきたいと思う。
 ほかのことで何かあったら,伺わせていただきたい。

平野委員

 新米委員なので,今のお話よりももっと初歩的で,基本的なことを一つお伺いしたいと思う。
 委員委嘱のお話があったときには,意外だったけれども,面白そうだと思ってお引き受けしてしまった。今お話を伺っていて,出席がたくさん要求されるということも,これは大変だぞと思ったのだが,お引き受けして送っていただいた報告書を読んで,これはなかなか大変だと思った点があるので,審議会の委員として,どういう基本的なスタンスをとったらよろしいのかをちょっと教えていただきたいと思う。

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