国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 第2委員会における審議状況

樺島(第2委員会)主査

 第2委員会の審議状況の報告を申し上げる。
 資料2の後ろに参考として「略字体・俗字体等で,印刷標準字体及び簡易慣用字体とするもの」というのがある。それを参照していただく。また,資料や全体の流れについては,同じく参考のA3の表に出ている。それから,資料として机の上に積み上げられている大きな資料集を活用しているので,是非,中身をおのぞきいただきたい。
 資料2の6ぺージの頭のところに,「表外漢字字体表の適用範囲」という見出しで出ている。表外漢字字体表というものを第2委員会は作っている。「法令,公用文書,新聞,雑誌,放送等,一般の社会生活において,表外漢字を使用する場合の字体のよりどころを,印刷文字(情報機器の画面上で使用される文字や字幕で使用される文字などのうち,印刷文字に準じて考えることのできる文字も含む。)の範囲」で,字体の標準を示していこうということである。
 この表外漢字字体表に掲げる表外漢字をどのようにして選ぶかということは,今までも御報告申し上げてきたが,常用漢字とともに使われることが比較的多いと考えられる表外漢字に一応範囲を定めて――括弧の中に1024字とあるが,ちよっと動いて1022字になると思う――それを定めて,その範囲に限って,印刷標準字体とそれに対応するものがあればであるが,簡易慣用字体を決める。簡易慣用字体については,最後の参考の紙を見ていただくと,簡易慣用字体として22字挙がっている。括弧の中は,それに対応する印刷標準字体になっている。
 印刷標準字体の方であるが,資料2の3ぺージの下から5行目を見ていただきたい。「明治以来,活字字体として最も普通に用いられてきた印刷文字字体であって,かつ現在においても常用漢字の字体に準じた略字体以上に頻度高く用いられている印刷文字字体」を印刷標準字体とするか,その後に出てくる「及び」の次の,「明治以来,活字字体として,康熙(き)字典における正字体と同程度か,それ以上に用いられてきた略字体や俗字体などで,現在も康熙字典の正字体以上に使用頻度が高いと判断される印刷文字字体」は,先ほどの後ろの参考の左側の上の方にその例が出ている。例えば「もち」「兎」が7番,8番に入っている。その右横の括弧の中に入っているのが康熙字典で正字体としている文字であるが,そういう略字体や俗字体も印刷標準字体として入れる。
 それから,4ぺージの上から4行目の頭から「略字体等(印刷標準字体とされた少数の略字体・俗字体などは除く。)については,現行のJIS規格や新聞など,現実の文字生活で使用されているものの中から,使用習慣・使用頻度等を勘案し,印刷標準字体の簡易字体として,印刷標準字体と入れ替えて使用しても支障ないと判断し得る印刷文字字体を簡易慣用字体と位置付けた。」というふうにして,表外漢字の字体表は,まず印刷標準字体を挙げる。その次に,対応する簡易慣用字体があるものはそれを出す。その後に,備考として,ちょっと形は違うけれども,これはデザインするときの差の範囲だと認められるものがあるものはその旨を備考に記す。そういう形の表を今作っている。
 今日,本当は例をお見せしたかったのであるが,標準字体の文字フォントを作らなければいけないし,デザインの差があるときに,そのデザインの差がある文字の中のどれを例として出すか。デザイン差の範囲はどの文字でもいいということなのであるが,やはり例として出すからにはきちんとしたものを出したいということで,机の上に積み上げられている資料を見て,現在,各会社が作っている字体,明治以来よく用いられている文字の形はどれかということを考えて,今例として出す文字を定めているので,今日は残念ながらお見せすることができない。
 余り時間がないので,簡単になってしまうけれども,この表外漢字字体表で,これが標準だと示すのは,飽くまで印刷するときの印刷標準字体である。手書きを拘束するというものではない。それでこの資料2の9ぺージを御覧いただきたい。「印刷文字字形と筆写の楷(かい)書字形との関係」というところで,例えば「さつ」というのは,明朝体をそのまま筆写した形もあるし,「文」のところを「立」という形にした常用漢字に倣った書き方も,手書きの文字ではあるだろう。そこに,こういう形は手書きではあり得るということをいろいろ出していて,「手書き上の習慣に従って筆写することを,この字体表が否定するものではない」という趣旨を十分に世の中に理解していただきたいということで,そういうものを含めようということになっている。

樺島(第2委員会)主査

 それから,部首のしんにゅう,しめすへん,しょくへんについては,常用漢字に準じた字形で使うことを認めるという言い方で入れてある。印刷標準字体とそれに対応する簡易慣用字体があるものは,その文字の形を示す。そして,前文の中で,今申したように,筆写する場合に字体表が縛るものではないというところを具体例を掲げて出す。
 それとともに,もう一つ重要な問題としてあるのは文字のデザイン差である。ほんのちょっとの違いで,これはデザインの差として認められるもので,文字の字体そのものを変えるものではないというものについては,その在り方を,常用漢字の場合は既に示されているが,常用漢字のデザイン差項目だけでは済まないので,それを示そう。画数が変わるものと変わらないもの,特別にその文字だけに認められるデザイン差,そういう三つに大きく分けて,その表も示そう。そういうことで作業を進めていて,今月の下旬には字体表がほぼ完成できるかというところに至っている。
 以上である。

清水会長

 これは実態を踏まえながら,それぞれの字体,また表現形式,デザイン,そういったことについて十分御検討いただき,今,整理をされているということである。
 何か御質問なり御意見等があったら,いかがであろうか。
 この問題は,今までのデータの積み重ねの上で,このような形で作られてきたということであるので,一字一句云々というわけでもないかと思う。第2委員会の方で,これから整理をされて,その中で出てくる略字体のところで何かあるかもしれないけれども,それはこれからの答申に向けての運営の中で,合同委員会なども開いて最終的にはまとめをしたいと思っているので,その節にまた伺うということで進めさせていただきたいと思う。
 何か特別に御意見でもあろうか。ここだけ見たのではなかなか分かりにくいところがあるけれども。

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