国語施策・日本語教育

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次第・議事要録 第3委員会

清水会長

 それでは,時間も超過して大変申し訳ないけれども,第3委員会の方に入りたいと思うので,よろしくお願いする。

水谷(第3委員会)主査

 第3委員会から御報告申し上げる。
 第3委員会の原案に対してパブリックコメントで寄せられた意見は,ファイルの一番最初のぺージにあるように,団体等からは17件,個人からは26件,期限外の参考意見として8件という形で,全部で51件。それにもう1件あったかと思うが,意見が寄せられている。
 この意見の全体的な傾向は,資料3-3のプリントにあるように,全体を通じては,第3委員会の基本姿勢――文化・言語の多様性の尊重といった考え方で貫かれているが――例えばIの「国際社会における日本語」,IIの「日本語の国際化を進めるための方針」,これらの部分については大筋において異論を唱えたものはなかった。団体の意見は,大学が四つ,大学連合組織が一つ。ここではいずれも試案全体について貴重な提言であるとか,おおむね妥当だなどという意見を示して,支持を表明していただいた。
 それから,もう一つの傾向というか,特徴としては,団体に所属する個人の意見を団体名で出したものが一つと,個人が提出した意見の中の多くが姓名のローマ字表記の問題に触れておられる。全体としては賛成意見が多かったが,具体的な数は,1の「姓名のローマ字表記の問題」のところに表があるが,「姓ー名」順のローマ字表記にすべきだという方針についての賛成・反対の数は,合計で申し上げると,賛成が20,反対が7,その他が5。全体では32の意見があったが,こんな割合になっている。
 賛成をした人たちの意見のおよそは,その次のところにあるように,賛成理由は,@文化・言語の多様性を生かす方針に賛成である,A時代の流れを反映した提案と評価する,B歴史上の人物は「姓ー名」で現代人は「名ー姓」では不合理である,C固有名詞を訳すべきではない,D実際に自分の名を「姓一名」順で表記しており問題はないなど,それぞれ違っているけれども,こういったような理由を掲げておられる。
 反対の理由としては,@郷に入っては郷に従えと考える,A英語コミュニケーションには「名ー姓」がスムーズである,B明治以来の伝統に反する,C表記の変更による混乱を懸念するなどといった理由が挙げられている。
 その他が五つあるが,その他の部分に当てはめられている提言の内容は,例えば,@状況によって決めればよい,A人によってばらばらでもよいというような意見があったわけである。
 それから,姓名のローマ字書きについて,原案の中では「YAMADA Haruo」という例示が一つ出ていただけであるが,姓と名の間に「,」を入れるやり方を提案したものが3件あった。本日の答申案原案では新しく書き直しをして,この提案を生かす形にした。
 2枚目のぺージに行くが,2の「外来語・外国語増加の問題」については,意見の概要は,賛成意見が7,反対の意見が一つということで,これも全体的に支持してくださっている。賛成の意見の理由は,@国語審議会の問題把握・対応策とも妥当である,A片仮名語はできるだけ避け,美しい日本語を話し,明快な日本語を書くべきである,B長い間使われてきた日本語を,深い意味も分からない外国語に置き換えるのは,日本語と外国語の伝統を共に破壊することになる,C外来語は外国人の日本語習得に障害となるなどである。一つの反対意見に掲げられた理由は,日本語の変化を止めるべきではなく,言語に関する方向性を国が決めることも理解しかねるというものであった。
 それから,(2)に官公庁等についての取扱いについて入れておいた。「宮公庁や報道機関等における外来語・外国語の取扱いの表について」であるが,語例の増補を望む意見が個人としては二つ,官公庁・報道機関からはなかったという状況である。
 この辺りまでのIの部分,IIの部分,それから外来語の問題の部分については,全体の方針も変更しないし,表など,いろいろな面についても,ワーディングの問題は別にして,ほとんど変更なしで進めるということにした。
 その下,3の「その他の問題」には多少いろんな提言が挙がっていて,例えば(1)の「日本語教育について」は,@日本語教育と日本語学に従事する者同士の連携が必要である,A日本語をいかに習得させるかについての貝体策を盛り込んでほしい,B職業としての日本語教師の社会的身分の保全及び待遇改善と,職業としての日本語教師とボランティアとしての日本語サポーターの役割分担が急を要するといったような提言があった。これらについては,@の部分については,原案よりもやや明確な形に表現を変える努力をした。そのほかの事柄については,基本的な考え方としては,国語審議会は日本語教育に関してもその重要性を大局的に把握し,支援するという形にとどまるべきであろうと考え,また,具体的な事柄については日本語教育の協力者会議などが提言をしているので,そちらの方に任せていこうということにした。

水谷(第3委員会)主査

 (2)の「国際化に対応する日本人の言語能力について」ということであるが,「同質性を前提としない明確な自己表現のための日本語の在り方」を提案しているはずなのに,一方で伝統的な察し合いのコミュニケーションの価値を述べているので,主張が不明確になっている。これはもっともであるが,二つの要素が大切だということを伝える方法が本当に難しいんだなということを感じさせられた。日本が置かれている現実の状況というのは,両面性を明らかに持っている。それを客観的に意識して,どう解決していくかということがやはり課題なので,この問題については変える必要はないと判断した。
 (3)の「日本語の表記等について」であるが,ここに挙がっている@からCの問題については非常に貴重な提案であって,将来どうなるか分からないけれども,今後の国語審議会でも配慮をし,考え,扱っていく可能性のあるいい提言であろうと思っている。@外来語由来の新しい音が入り込んでいること,長音表記の混乱があること,発行体によってつづりが違っていることなどから,ローマ字のつづり方について検討すべきである(3件),A国際社会における日本語,あるいは外国人の日本語学習を念頭に,日本語の正書法について提案すべきである(2件),B日本文の中でも外来語を原語のつづりで表記すべきである(3件),C漢字圏の外国人名の読み方も課題だと考えるというようなところが,パブリックコメントで寄せられた意見の概要である。
 具体的に,案文を変えた内容については,この後,朗読をさせていただくが,その朗読をお聞きいただく前に,資料3-2のプリントを御覧いただくと,訂正したところに下線等が引っ張ってあるので,そこのところを注意していただきながらお聞きいただきたいと思う。
 1ぺージの「はじめに」の部分は,第1,第2,第3委員会共通に形を整えたということもあって,ワーディングを多少いじって,整理した形になっている。それから,しばらく何も変更はなくて,その後は8ぺージの一番下の部分「また,日本語教育の内容・方法の改善に当たっては」と,先ほど申し上げたことと関係があるが,「連携を図る」ということが加えられている。その後,10ぺージの中ほどに1か所,それから,13ぺージの上から3分の1ぐらいのところ,細かい訂正であるが,「今後の」の「今後」の位置が変わっている。表などについては変更はない。一番最後の16ぺージのところ,姓名のローマ字の例示の仕方などが変更されている。以上が変更部分である。
 それでは,朗読をお願いしてよろしいか。

野村国語調査官

 時間が大変迫っているので,IIIだけを朗読したいと思う。12ぺージである。

〔「資料3-1」朗読〕

清水会長

 何か御質問,御意見があるか。
 先ほど水谷主査の方からも御説明があったように,前の方は修正するところのお話があったので,後の方だけ読ませていただいたということである。よろしいか。
 姓名表記は,御案内のとおりで,このように直させていただいたということである。
 それでは,これを答申案として次回総会に提出させていただくということで進めさせていただきたいと思う。そういう意味で,基本的に,この三つの委員会の原案を御了承いただいたことにさせていただくが,よろしいであろうか。

〔「異議なし」との声あり〕

 ありがとうございました。

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